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第20話  バザーで・・・

オアシスのバザーは、祭りの出店みたいでワクワクしますね。

 アントス荒野に入るが順調に進んで行く。

 モンスターが度々寄ってくるが、御者の横にいる魔法使いが追い払ってくれた。

 馬車は移動するのに楽でいいが、乗ってから3時間以上経っているので尻が痛い。道があるといってもアスファルトで舗装されているわけが無く、結構段差があるので跳ねるのだ。いくら座席にクッションがあるとしても、ずっと乗っていたら痛くなる。たとえ痔じゃ無い俺でも痔になりそうだ。

 ホントに痔じゃないぞ!! 

 ・・・ホントに痔じゃないぞ!!

 大事なので2回(ry



 俺が痛みに耐えていると、馬車の速度が遅くなってきて、徐々に沢山の人の話し声が聞こえてきた。


「ライアス様! アントスの休憩地に到着しました!」

「わかった! では降りるとするか」

 到着の声に答えたライアスが先に降りて、ミラルダとマリアが続いて、最後に俺達が降りた。

 荒野というだけあって空気が乾燥している。だが休憩地には小さいながらも、湖があるので大きな木や花が多く生えている。

 周りを見渡すと、多くの商人が店を広げ、そこで冒険者が売買をしている。活気があってなかなか楽しそうだ。ここの店は常に物が入れ替わっているので、レアな物が売られている事がある。なので同じ店に何度か顔を出した方がいいが、今回は時間があまり無いし、手間も掛かるので止めておく。


「今日はこの宿に泊まろうと思う」

「え~と バルガスの宿ですか?」

 ライアスの言った方を見ると、宿の名前が書いてあった。

 場所が場所なので木造の簡素な造りになっている。とても貴族が泊まる宿ではない。だが、ライアス一家は何度も来ているのだろう、ミラルダとマリアは楽しそうに何か話していた。


「そうだ、俺の師匠が経営している宿だ。では行くとしよう」

 馬車から降りて俺達が話している間に、執事二人が馬車を宿の隣へ移動させていた。

 


「すいません! 一泊お願いします!」

「お~! これはこれは貴族様、毎度毎度この汚い宿にようこそ! 歓迎しますよ!」

「そうですね! 俺達がこないと、尊敬する師匠がメシも食えなくなりますからね!」

 ライアスと話しているのは、白髪の初老ぐらいの男だった。隣には奥さんらしき女性もいた。

 二人の会話は言葉だけを聞いたらイヤミだが、本人達はじゃれ合っているのだろう。顔は楽しそうに話しているし、周りにいる人達はヤレヤレと微笑ましく見ている。


「ハハハハハ よくきたな! まあゆっくりしてくれ」

「そうさせてもらます」

「ミラルダとマリアも元気そうで何よりだ!」

「はい、お世話になります」

「お爺ちゃんとお婆ちゃんも、お元気そうで私も嬉しいです」

 ミラルダとマリアも気兼ねなく話しているが、俺とレイは蚊帳の外に置かれているな。


「所でライアス。そっちの二人は?」

「あ! すみませんでした。この二人は俺達家族を救ってくれた。アキラ殿とレイ殿です」

 ライアスはやっと俺達を思い出したようだ。このままほっとかれたら、どうしようかと思った・・・。


「もしかして・・・ ドルフィン号がモンスターに襲われたと聞いたが、乗っていたのか?」

「そうです。半漁人と魚人に・・・ クラーケンでした」

「クラーケンだと!」

「よく無事だったな・・・。海上でクラーケンに襲われるとは、絶望的な状況だっただろう」

「そうですね。俺達は死を覚悟していたんですが、この二人と他の冒険者達のおかげで無事に戻ってこれました」

「それはすまなかった。ライアス達は俺の家族も同然だ。本当にありがとう!」

「いや、気にしないでください」

「それは気にしないわけには、いかないだろう。まあ汚い宿だが最高のもてなしを用意しよう」

「ありがとうございます。え~と・・・」

「ああ もしかして俺の名前をライアスから聞いてなかったのか?」

「そうですね・・・」

「相変わらず慌て者だな。俺は『バルガス』でそっちにいるのが妻の『タリア』だ。よろしくな」

「はい お願いします」

「よろしくお願いします! バルガスさん タリアさん」

 ようやく名前を教えてもらった。宿と同じ名前だから覚えやすいな。

 自己紹介が終わった時に執事の二人が入ってきた。もしかしてタイミングを計っていたのか?


「で、だ。今から部屋の準備なんかをするから、ちょっと時間を潰してきてくれ。まあ、2時間ぐらいあれば大丈夫だろう。今からだと大体・・・ 日が暮れ始める時間だな」

「では、私たちもお手伝いします」

「お~ それはすまないな。助かるよ」

 執事達はそう提案して、バルガスと奥へ歩いて行った。


「アキラ殿とレイ殿は、バザーを見てきてはどうだろう?」

「そうですね・・・。何か掘り出し物があるかもしれないし。そうさせてもらうか?」

「はい!」

「よければなんだが、マリアも一緒に連れて行ってもらえないだろうか? 俺とミラルダは、この宿で時間を潰すが、マリアには退屈だろう。だから外に行った方がいいと思ってな」

「まあ、俺達は構いませんよ。でも、大丈夫です? 俺達で?」

「それは心配していない。二人とも信頼できるし、ここの商人達は師匠の知人が多い。だからマリアの事も良く知っているから安心だ」

「じゃあマリア一緒に行くか!」

「はい! お願いします!」

 そうして、俺達は時間を潰すために外に出た。



 ライアスの言っていた安心という意味はすぐに分かった。少し店を覗くとマリアに「大きくなったね」「相変わらず可愛いね」「バルガスさんによろしく」など声をかけていた。これだけ知り合いが多ければ安心だろう。


 俺達三人はマリアを真ん中にして、手を繋いで歩いている。見た目は冒険者と仲良く買い物をする、お嬢様かな? だが俺の中では、なんだか可愛い妹に思えてきて「何でも好きなものを買ってやるぞ!」とか言いそうになる。

 俺には妹は居ないから、今まで分からなかったが、これが妹萌えなんだろうか・・・?

 まあ、実際に妹がいたら「お兄ちゃんはキモニートだから近付かないで!」とか言われそうだがな・・・。そんな言葉をマリアに言われたら、俺は立ち直れそうもないな・・・。


 色々と妄想をしつつも、バザーを回ったが掘り出し物は無かった。

 だが、レイとマリアにお揃いの髪飾りを買って、好感度アップをしておいた。派手さは無いが、細かい装飾が施されたもので、幸運が訪れる魔石が嵌っているらしい。二人は終始笑顔でバザーを楽しんでいて、それを見ている俺も嬉しかった。

 やっぱり女の子にプレゼントするのは、アクセサリーがベターだな!

 そして、デート? が終わる頃に、日が暮れてきたので宿へ戻る事にした。

リアルでデート経験の無いアキラは、異世界で経験を積んでいきます。


注)アキラは一人っ子設定です。

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