第18話 港町パルタ
旅の準備です。
俺たちはライアスの誘いを断れずにメルキアまで行くことになった。
今日はパルタの宿で休んで、明日の朝に出発するらしい。
宿はライアスが手配をするみたいで、宿屋トリトンに行けばいいらしい。
今はまだ昼過ぎなので、まだ時間があるので、装備を見に行くか。
そういえば・・・
「なあ? レイ。この大陸に魔武器はあるか?」
「はい・・・ この方向に力を感じます」
ここにあるらしい。レイの指差した方向は南西だった。
メルキアに行くのに西へ向かうから、ちょっと遠回りになるだけだろう。
「じゃあ、メルキアに行ってから向かうか!」
「はい!」
「とりあえず、この町では装備を整える。先に冒険者ギルドへ行ってから魔術ギルドへ行こう」
「わかりました!」
俺とレイは冒険者ギルドで受付に報酬をもらいに行った。
「すいません! 報酬をもらいにきたんですが?」
「はい! ギルドカードを見せてください」
「どうぞ」
「は~い アキラさんですね。あっ! あのクラーケンを倒した人でしたか! えっと ランクは・・・ エ・・・フ・・・?」
受付の女性が固まってしまった。まあ、ギルドランクは強さの基準になる。クラーケンを二人で討伐するならAランクは必要だろう。それをFランクが倒したのだ。
「あのー すいません!」
「はっ! あ・・・ すいません! ちょっとお待ちください!」
何とか復活した女性は俺のカードを持って奥の部屋へ入って行った。
しばらくして戻ってくると、一緒に厳ついおっちゃんを連れてきた。
まさか偽装と思われたか?
「私はこの町でギルド長をしているマリウスです。アキラさんは最近ギルドへ所属したようですね?」
「そうですね・・・」
「アキラさんの倒したモンスターを見ると、スノーラビットも含まれている。これはランクと強さが吊りあっていない。情報によると上級魔法も使えるようなので、私の権限でアキラさんをBランクにしたいと思います。大丈夫ですか?」
「別に問題ないです」
「そうですか。では手続きをするので少しお待ちください」
ちまちまランクを上げるのは面倒臭いので、ランクが一気に上がるのはありがたい。Bランクまで行けば金を稼ぐのが楽になる。
しかし、俺の情報が回っているのか・・・。やっぱり魔剣は人前で使わない方がよさそうだな。
マリウスは受付の女性に何かを言って部屋へ戻って行った。
女性は何か作業を始めたが少し時間がかかっているようだ。
しばらく待っているとカードと報酬と袋(大)を渡された。
カードはBランクになっており、報酬は50万Mもあった。
これで当分金には困らないだろう。
袋も大きくなったのでアイテムの所持数が400個になったので、当分は大丈夫だろう。
次は魔術ギルドへ行くか。
パルタの魔術ギルドには初級魔法と低ランクの杖が売っている。
とりあえず杖なら何でもいいので買ってこよう。
「すみません 杖が欲しいんですが?」
「はい! いらっしゃいませ! どれがいいですか?」
見せてもらった杖は『檜の杖』『銅の杖』『鉄の杖』『銀の杖』『聖銀の杖』の五つだった。
銅や鉄となっているが、全てが金属で作られているわけでは無い。ベースは木で作られており、魔石をはめ込んで特殊な儀式をすると魔法が使える杖になる。
そして、魔石の数を増やすと威力が上がるのだが、魔石と魔石を繋がなければ威力は変わらない。なので銅や鉄などの素材で魔石を繋いで、魔力が流れるようにする。
高級な杖になると様々な種類の魔石を使い、それぞれを繋ぐのに希少な素材を使うので、見た目にも豪華になっている。
ここに売っているのは魔石は檜の杖が1個で、他の杖は2個しか付いていない。魔石を繋ぐ素材も『聖銀』以外は簡単に手に入るものだけになっている。聖銀はダンジョンなどでは多く発見できるが、採掘では出てこないなので少し価値が高くなっている。
「聖銀の杖をください」
「はい 7万Mになります」
銀の杖が3万Mに比べ7万Mなので素材の希少さがわかる。威力もその分上がるので仕方が無いだろう。
そもそも、俺がゲームをしていた頃はパルタでは売っていなかった杖だった。やっぱり少しずつ違ってきているな・・・。
俺は杖を受け取り袋へしまっておいた。
続いて、武器と防具を買いに行った。
ここの品揃えでも『聖銀』一式が売られていた。
もしかしたらこの地方の敵の強さが、上がっている可能性があるな。
一応買っておくか。高いけど・・・。
聖銀装備は魔法防御力が少し高くなっている。
このパルタから先には、魔法や状態異常攻撃を使う敵が増えてくる。
なので聖銀装備は少しありがたい。
『聖銀』一式購入をしたら26万Mになった。
クラーケンの報酬が半分以上無くなってしまったな。
聖銀装備は冒険者用に加工されているので、見た目は騎士ではなく熟練の冒険者に見える。
レイの装備は女性用になっているので、ごつく見える事は無い。
最後に道具屋で状態異常の回復薬を買っておく。
俺が行動できるなら魔法で回復できるが、もし麻痺などにかかって動けなくなったら、薬を使ってもらわないといけない。だから、買っておいた方がいい。
全ての買い物が終わった時には、日が暮れ始めており、少し薄暗くなってきていた。
俺達はライアスが言っていた、宿屋トリトンへ向かう。
トリトンは高級ホテルのような建物になっていた。流石は貴族が泊まる宿だ。
受付で名前を告げて案内された部屋は、最上階の1つ下の階だったが、広い豪華な造りになっていた。
部屋へ入って少し経つとライアスと一緒にいた執事が、食事の準備ができているのでどうぞ。と誘ってきた。宿を取ってもらったりしているので、流石に断れないだろう。仕方ないと思いつつ食事を一緒に食べることにした。
どうやらライアス達は最上階の部屋に泊まっているようだ。流石に俺達一般人と同じグレードでは立場的に不味いのだろう。まあ、グレードが低いといっても十分豪華なんだがな。
明日の出発は日が昇って1時間経ってがら朝食を食べて、その後に馬車でメルキアに向かうらしい。
いつもより少し遅いので朝はゆっくりできそうだ。
俺とレイは部屋に戻ってから、一緒に風呂に入る。お互いの体を洗いっこをする。もちろん素手で洗った。
ベットに入ってからはレイとの行為を十分に堪能し、眠りについた。
ゲームでクエストを一つずつこなしてランクを上げるのは楽しいのですが、なかなか話が進まないのでランクはどんどん上げていきます。
強くてニューゲーム状態なので、低ランククエストでの戦闘は一撃で終ってしまうので・・・。




