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第12話  予想外の強敵

大所帯です。


 クエストを受注した冒険者が全員集まったのだろう。

 人数を確認するとギルドの人が各パーティのギルドカードを確認していく。

 どうやら5つのパーティがいるようだ。三人組が2つ、二人組が2つ、ソロで一人の計11人だった。


 三人組A:戦士ライザ 戦士マーク 魔法使いルタ Eランク

 三人組B:戦士エルト 戦士リーザ 僧侶マイト   Eランク

 二人組 :戦士マタ  戦士ミラルタ          Fランク

 ソロ   :戦士ジーク                  Dランク


 俺たちは軽く自己紹介をした。最初に俺たちに話しかけてきたのは、戦士ライザだった。

 全員が俺たちと同じで3つのクエストを受けてきていた。なので全員が同じ報酬になるだろう。無事に済めばだが・・・。


 出発前にフォーメションを決める。


 エルトチーム 『馬車』 ライザチーム

 マタ チーム 『馬車』 俺たち

 殿しんがりにジーク


 なかなかバランスが取れていると思う。低ランクを高ランクが挟み込む形だ。殿しんがりのジークは退却時に敵の足止め役になる。一番の高ランクでソロプレイヤーなら序盤では相当な実力のはずだ。


 作戦だが、討伐が最優先になる。これは敵が強ければかなりの被害が出る可能性が大きい。最悪全滅の危険がある。だが倒すことができれば、次から心配せずに荷物の運搬ができるようになる。

 次に馬車を西に届けることだ。これはモンスターが現れなければ簡単に達成できる。現れても逃げ切ればいいのだ。そうなると殿しんがりのジークの活躍がキモになる。

 続いてモンスターの正体を掴む事だ。正体が分かれば何か対策を打てる可能性があるし、討伐経験がある冒険者を指名することもできる。

 最悪の場合は荷物を捨てて戻っても問題無いと言われている。これは完全にクエスト失敗になるので避けたい結果だ。

 まあ、俺とレイの実力があれば初級クエストなんて問題が無いだろう。



 作戦会議が終わると俺たちは出発した。順調に行けば4時間程で到着するはずだ。


 1時間半ぐらい歩いたが、出てくるモンスターはザコばかりだ。1~2匹で出てくるのでみんなで囲んで攻撃するので全く問題無い。

 もうしばらく歩くと目の前に林が広がっている。謎のモンスターが出るのがここらしい。

 俺たちは警戒しながら中に入って行く。


 30分ぐらい歩くとだんだん寒くなってきた。



 更に20分歩くと雪が降ってきた。

 俺は、寒いから雪ぐらいは降るだろうと思っていたが、他の冒険者は「こんな所で雪なんか降ったことないぞ!」とか言っていた。なにか異常な事態のようだ。

 俺が林に目をやると、1つの影が動いた。正体を確かめようと目を凝らす。『スノーラビット』と頭に浮かんできた。


 ん!? 『スノーラビット』だって!? 名前は雪ウサギだが、そんなカワイイものではない。見た目は大体ウサギだが、体格は熊ほどで手には鋭い爪がある。しかもウサギの脚力なのか素早い動きだ。更に悪い事に、こいつは魔法を使う・・・。氷の槍を飛ばす『アイスランス』だ。


 魔法はスピードが速いので躱すのが難しい。能力値が低い冒険者ではまず無理だ。せめてレイぐらいの能力が必要になってくる。なのでこの中で躱せるのが俺とレイの二人だけになる。しかも威力が高いので一撃で致命傷になる可能性が大きい。

 総合力ではこの大陸で最強のモンスターより2~3ランクぐらい上がる。


「スノーラビットだ! 気を付けろ!」

 俺は全員に向かって叫ぶが、反応が悪い! 低レベルの冒険者なら仕方がないが、この状況では命取りだ。


 ドン! ドン!


「うわっ!」


 俺の背後から叫び声が聞こえて馬車が揺れた。

 反対側にもいるのか?


「おい! エルト大丈夫か!」

「う 腕が・・・。」

「ヒール! ヒール! ヒール!・・・。こんな魔法じゃ・・・」

 聞こえてくる声で、反対側は危機的状況のようだ!


「レイ! こっち側を頼む! 敵は魔法を使うから撃ち落としてくれ! 避けると背後の人に当たる! 弱点は火だ! 敵は1匹だ頼んだぞ!」

「わかりました!」

 俺は指示を出して反対側へ回り込む。

 その間に『マジックシールド』『シールド』『スピードアップ』『アタックアップ』全員を対象に補助魔法をかけまくる。

 魔法が使えるか心配だったが、MPが減っている感じがあるので大丈夫だろう。


 反対側は修羅場だった。

 エルトは魔法を喰らったのだろう左腕が無く、わき腹からも出血していた。彼の周りが血で赤く染まっていたが何とか息はあるようだ。その隣には回復魔法でMPを使い果たしたのだろうマイトが座り込んでいた。

 マタとミラルタは爪の攻撃を盾で受けたのだろう、左腕から血を流しだらんと下げている。持っていた盾は割れていた。

 リーザとジークが剣を構えているが、顔面蒼白だった。

 無理もないだろう・・・ こんな状況になったら全滅するのが殆どだ。


 しかも敵は林の奥に1匹と手前に1匹。前衛と後衛に分かれた陣形だ。

 手前の1匹が動いた!

 リーザとジークは恐怖で動けない。


「くそ!」

 俺は二人と敵の間に入り込みウサギの胴を斬る!

 だが 倒れない!

 ショートソードでは攻撃力が足りないみたいだ。


 手前のウサギが予想外の攻撃を受けて怯んだのか後ろへ下がる。

 しかし、目の前のウサギが退いた瞬間にアイスランスが飛んできた!

 小癪にも連携攻撃だと!?


「いけるか!?」

 俺は盾で受ける!


 バキィ!


 盾が砕けるが俺の腕は無事だった。物凄く痛くて冷たいが。


『フルリカバリー』


 敵の攻撃に間ができたので、全員に最高回復魔法をかける。もちろん自分にも。だって痛いし冷たいし・・・。


「え!? うそ・・・」

 背後からマイトの驚いた声が聞こえる。それはそうだろう、目の前でエルトが死にそうになっているのに、自分では救えないと絶望していた状況でエルトが完全回復したのだから。


 だが、俺にはそれを気にしている暇は無い。

 どうするか? ウサギは連携攻撃をしてきて厄介だ。

 遠距離攻撃で後衛を仕留めたいが、あの技かな・・・。仕方ない!


『ソニックスラッシュ』


 後ろにいるウサギに技を放つ。


 ブシュッ!


 よし! ウサギの体が真っ二つになって倒れるのが見えた。何本か木が倒れるがそんな事を気にしている余裕は無い!

 もう1匹は・・・。


 「!?」

 奥のウサギに気を取られた瞬間に、距離を詰められた!

 目の前には左手を振り上げたウサギがいた。

 俺は左側に避けると次はウサギの右腕が飛んできた。

 慌てて剣で受けると、


 バリィィン!


 剣が砕け散った。

 おいおい! 俺の剣が・・・。

 コノヤロウ!

 俺はウサギとの距離を詰めて、ウサギを踏み台ににして高く飛ぶ。

 空中で袋から魔剣を取り出し


『ブルクラッシュ!』


 ベシャ!


 ウサギは俺の放った技でペシャンコになって潰れた。

 本来は敵を弾き飛ばす技だが、ウサギが飛んだ先は地面だったため、潰れてしまった。

 これで2匹倒した・・・。

 周囲を確認するが他の敵はいないようだ。


「ご主人様!」

「ん? おお! レイか。そっちは大丈夫だったか?」

「はい! 敵は倒しました!」

「そうか、こっちも終わったところだ。怪我はないか?」

「はい! 大丈夫です!」

「じゃあ、ちょっと待っていてくれ」

 そう言って反対側の索敵をしに行くが、もう居ないようだ。

 こっちにいた冒険者は怪我もしていないようだし大丈夫だろう。


 戦闘後の状況を確認していると、雪が止んだ。

 しかも、気温が上がってきた。いや 戻ってきたのだろう。

 スノーラビットがこの雪を作っていたのか?

 天候操作なんて事ができる程強くはないのだが・・・。しかし、連携が取れた攻撃なんてしてきた所を見ると普通のスノーラビットより強い気がする。

 なんだか・・・。よく分からない敵だったな。

序盤で強敵が出ると、負けイベントか疑ってゲームオーバーってありますよね?

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