第1話 ゲームの世界へ
こんな事があったらいいのにな・・・
「またか・・・。」
送られてきた封筒はペラペラで、中には一言『不合格』と書いてあった。
大学を卒業して早2年。在学中に就職ができずに、バイトで生活しながら就活していたが、正社員の道が遠い。
やっぱり、遊びたくて入学した三流大学は厳しいみたいだ。
面接に行っても「そんな大学あったっけwww」などと言う面接官もいた。 クソ! バカにしやがって!
夢に見ていた彼女との甘いキャンパスライフも無かったし。それどころか俺の周りは男だらけ、その男たちの横にも結局女の子が現れる事は無かった・・・。
なんかだんだん腹が立ってきたが、このままでもしょうがないので気分転換にゲームでもするか。
「ぽちっとな」
懐かしいセリフを言って、ちょっと強めに電源を押す。画面にメーカーのロゴが表示され、PCが立ち上がるのを待つ。
確か今イベント中だったよな? なんて事を考えているとPCが立ち上がる。
剣のアイコンをクリックしてゲームを起動する。
少し前に流行ったオンラインゲームで『ソード・ブレイカー』という。
内容は割と簡単だ、剣や魔法を使ってクエストをこなしたり、ザコ敵を倒していって、落とした素材を使って装備を強化する。そして、レベルを上げてダンジョンのボスを倒す。ボスやダンジョンからはレア武器が手に入る事があり、その武器を使って超魔王を倒すのが目的だ。
しかも、出てくるキャラクターが可愛かったり、綺麗な女の人が多い事が人気の一つになっていた。
俺のオンラインゲームのデビュー作であり暇な時間も多かったので、3か月ほど引きこもっていた時期があった。始めたばっかりだったので、「オンラインマナーも知らないのか!」 とか言われるのが怖くてソロプレイヤーになっていた。最初の内はソロでも十分だったが、敵が強くなってきてキツクなってきた。
その時に攻略サイトで、「課金して『経験値100倍』付けると楽勝www 『レアドロップ率UP』もつけると更に余裕wwwwwwww」なんてものを見てしまった。しかも丁度ゲーム内でキャンペーンをやっていて、二つ共100円になっていた。俺は「二つで200円だったら大丈夫! 今回だけだし!」と思って初めて課金をした。
よくあるパターンで、どんどん強くなるしレア武器も出るしで、更にはまっていった。そしていつの間にかバイトで貯めたお金を使って課金しまくって強化しまくった。正気に戻った時には、レベルMax 能力値カンスト イベント限定以外のレア武器コンプリートだった。代償として、貯金が尽きかけていた。
正気に戻った俺はバイトをしながら就活を再開したが、結果はいつもペラペラの封筒だった。
ゲームのタイトル画面でイベント情報を見てみる。
☆超レア武器『魔剣レーヴァテイン』ドロップします!
☆朝5時までドロップ率10倍!
☆『魔剣レーヴァテイン』の最初の取得者には、更に『特殊チケット』を差し上げます!
などと書いてあった。確か以前にも同じイベントがあったがドロップ率を絞り過ぎたみたいで、結局のところ取得者ゼロだったらしい。運営に苦情が殺到して、補填として全員に『レアドロップ率10倍』チケットを配布していたらしい。俺はその頃にはゲームをあまりしなくなっていたので、チケットがそのままになっている。
ゲームスタートを押し、サーバーを選択する画面になった。
俺がゲームをしていた頃よりサーバーの数が倍ぐらいになっていた。
まだ、ゲームをしている人が結構いるみたいだ。時計を見ると1時半だった。
ストレス発散でサクサクプレイをしたいので、人数が少ない所を探す。
各サーバー内には大体5~30人が入っている。
一番少ない所を探していると、0人となっているサーバーが一つだけあった。
俺は迷わず選んだ。
ゲームが始まると、画面には俺がゲーム内で建てた『アキラの家』からスタートした。
ゲーム内で俺は『アキラ』と名乗っていた。まあ、本名なのだがアニメキャラとかで、よくある名前だし本人の特定もできないから他のゲームでも使用している。
久しぶりにプレイするので、とりあえず最強装備にして回復アイテムも大量に持っていく。
まずは操作のカンを取り戻すために、イベントの中級ダンジョンに行ってみた。
ザシュ! ザシュ! 敵が紙のように斬れていく。まるで無双ゲームだ。
流石に敵が弱すぎたので、次は上級ダンジョンに変更するが、同じ様に敵は紙だった。
ある程度カンが戻ってきたので、超級ダンジョンに挑んでみた。
時計は2時半を過ぎた頃だった。
超級ダンジョンに向かう途中にサーバーの参加人数が目に入る。
まだゼロだった。やっぱりみんな飽きてきたんだろう。
超級ダンジョンの中ボスを倒していたら、『レアドロップ率10倍』チケットを落とした。
今まで敵がチケットを落とす事が無かったので俺は驚いた。
そういえば持ち物にも以前配布されたチケットがあったはずだ。
確認すると確かにあった。期限は無制限となっており、なんと掛け合わせ可能と書いてあった。さっき拾ったチケットも同じ内容だった。
俺は更に落とすかと思って、中ボスを周回するがダメだった。
仕方ないと諦め時計を見ると、4時を少し過ぎた所だった。
イベントのレアドロップ率UPは5時までなので大ボスまで急いで向かう。
辿り着いた時には、4時35分だった。
時間的には最初で最後のチャンスだろう。
俺は持ち物から『レアドロップ率10倍』を2枚使用する。これでイベントの10倍とチケットの10倍×10倍で1000倍だ!
なかなかの強敵だった、最強装備と能力カンストでも時間がかかる。時計を見ると4時55分になっていた。
俺が諦めかけていた時に、装備固有技があった事を思い出し技をを使う!
祈りを込めて必殺技『ソード・ブレイカー』を使った。タイトル名が必殺技とはどうかと思うが、威力は最強だ。
ダメージを与えた後、ボスの動きが止まる。
そして、ボスの最後のセリフが表示された。
倒した! 後は武器のドロップをするかだ! 1000倍だからかなり期待できる!
『魔剣レーヴァテイン』を手に入れた。
「きたーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
俺は夜中なのを忘れ、叫んで思わずガッツポーズ!
しかも! 『特殊チケット』も手に入れた。
俺が最初の取得者とは、今回もドロップ率がかなり低かったらしい。
俺は『特殊チケット』が気になって説明を見てみる。
☆ゲームの世界を実際に体験してみよう!
???どうゆう事だ? リアルでのイベントがあるのか?
よく分からないが試しに使ってみることにした。
注意:能力値は受け継がれますが、武器は『魔剣レーヴァテイン』のみ所持になります。よろしいですか?
はい / いいえ
と表示される。強くてニューゲームみたいな感じか? まあ、超レア武器もあるしイベントも大体分かっているから大丈夫だろう。そう思って『はい』を選択する。
画面に今まで見たことの無い赤い髪の女の子が表示される。結構可愛いかも。
「それでは、よろしくお願いします」
と会話が表示され、次の会話に進むためにマウスをクリックするが、動かない・・・。あれ? 何度もクリックする。キーボードのエンターを押す。 う ご か な い !
俺が呆然としているとPCの画面が真っ青に! ブルースクリーンだ・・・。セーブしていない オワタ・・・。
PCを再起動させると問題なく立ち上がった。壊れたわけではなさそうだ。
試しにゲームを起動させ、持ち物を確認すると『魔剣レーヴァテイン』と『特殊チケット』は無かった。だが、イベント報告の取得者には1名と表示されていた。
俺は更に落ち込んだ。奇跡のレアドロップ武器だったのに、無くなってしまった。
あまりのショックで泣きそうになってきたので、布団に入って寝ることにした。
寝たら忘れるだろうと思って・・・。
なにか人の気配を感じて目を開ける。俺の目の前にさっきの赤い髪の女の子がチケットを持って出てきた。
ああ夢か・・・ 夢に見る程落ち込んでいたのかと思っていると、
「では、ソードブレイカーへ案内しますね」
と喋ったと同時に眩しい光に覆われた。
一回はやってみたい、異世界の冒険!
もちろん、モブキャラでは無くて最強の主人公として。
そんな感じで進めていきます。




