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三角関係-V

忙しい日々が続き玲菜のお別れ会の日になった。

俺達は俺の部屋に集まり3人向き合い、今までの事を語り合った。

嬉しかったこと、ケンカしたこと、悲しかったこと、

全てが鮮明に思い出されていった。

俺と孝明は堪えていたが玲菜は泣いていた。

涙を見ると堪えられそうにないから下を向いていた。


どれぐらいしてからだろう?2時間?3時間?

そんな事も分からないぐらい話すことに夢中になっていた。

突然、孝明が席をはずした。

理由なんていらなかった。

俺と玲菜がどうしてなのかを知っているから。

孝明が席をはずして3分ほどどちらも口を開こうとはしなかった。

何を言っていいか分からない。多分玲菜も同じなんだろう。

「当分・・・会えなくなるな・・・」

口を開いたのは俺のほうからだった。

「うん・・・そうだね」

「ちゃんと戻って来るんだよな?」

「うん」

「そう、良かった」

「ねぇ、優?」

「何?」

「いつになるかも分からないけど私が戻ってきたら、

私はその時も優の彼女でいられるんだよね?」

「あぁ・・・当たり前だろ」

「うん・・・」

二人とも言葉が続かなかった。

思いついた言葉を組み合わせて相手に尋ねる。

そしてそれに答えることしか出来なかった。

必死に伝えたいことを探すけど心に溢れた涙のせいで

探し出すのはとても難しかった。


玲菜の方を見ると玲菜はこっちを見ていた。

今までに見たことのないような真剣な顔で。

俺が目を逸らす事さえもさせないぐらい真剣に。

「どうしたの、玲菜?」

「何でもない。ただ・・・」

「ただ?」

「もう会えなくなると感じると、どうしても見たくなるの?」

「見たくなる?」

「優の顔を見たくなるの。忘れないように焼き付けておきたいの」

「そんな事しなくても忘れないよ」

「うん、分かってる。分かってるけど怖いの・・・」

「玲菜・・・」

「優や孝明に会えなくなるのなんて嫌だから」

「俺も孝明も嫌だよ・・・」

「私どうすればいいの?」

玲菜は涙を流しながら俺にそう訴えた。

俺は手を伸ばし玲菜を抱き寄せた。

「大丈夫、ずっと待ってるから。俺も孝明も。

だから心配するな。お前の帰る場所はいつまでも俺達が用意しておく。

だから泣くなよ・・・玲菜」

「・・・優・・・ありがとう・・・」

「いいって、だから泣くなよ」

玲菜はコクンと頷いて顔を上げた。

俺の目と玲菜の視線が重なった。

俺達はそのまま初めてのキスをした。

初めてのキス。甘いと思っていたものは少ししょっぱかった。


お別れ会から2週間ほど経って・・・

「これで、当分お別れだね」

玲菜が泣き出しそうな声でそう言った。

「あぁ」

俺と孝明は強がって笑顔でそう答えた。

「じゃあ、行くね」

玲菜が言った。

「ちゃんと戻ってこいよ。待ってるから」

俺がそう言うと

「うん」

笑顔でそう答えてくれた。


玲菜の乗った飛行機が飛び立ち二人での帰り道。

「いつまでも3人一緒だと思ったのにな・・・」

孝明がそう呟いた。

「あぁ、でも離れても俺達は一緒だろ?」

「あぁ・・・そうだな。俺達はいつまでも一緒だ」

孝明が笑顔でそう言った。


玲菜、君が僕達から離れていった日はとても空が青い日だった。

きっと君が戻ってくる日もこんな感じなんだろう。

いつまでも待ってるから。



5話にわたって続いてしまいました。全然、短編集じゃない気がします。次回作は失恋をテーマにしようと思います。読んでくれた方ありがとう。これからも宜しくお願いします

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