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真・恋姫†無双〜後漢最後の皇帝   作者: フィフスエマナ
第二章 伝えられなかった真名
17/31

洛陽を発つ

いよいよ、洛陽を発つことになりました。

そこには驚愕の連続が・・・


お楽しみ下さい。

「皇子、あまり言いたくないのですが、彼等にはお気をつけ下さい」

「………」


澪の袖を掴みながら歩く要の横に、後ろから歩みを早めた冬史がやってきて慎重な面持ちで先程の二人について注意するように促したのだった。もし、皇子が彼らと懇意にでもなれば冬史では皇子を守りきれないからであった。そんな想いから注意を促したのだったが、要はそれに対してぼけっとした態度で、冬史の注意に何も反応しなかったのである。


(もはや聞く耳持たずか。澪が一緒にいるのに………どうやら、本当に嫌われてしまったようだ。はぁ~)


三ヶ月前の一件以来、要とは相変わらず気まずい関係が続いている冬史だった。それでも、澪が一緒にいる時だけ以前よりも遥かに要と話す機会があったのだ。しかし、今は澪が一緒にいるのにもかかわらず、話しかけたのだが要は無反応であった。そんな態度を見てがっくりと肩を落して後ろに下がっていった冬史であった。


しかし、要は無視したのではなく物思いにふけていたのだった。そう、先程の張譲と段珪について考えていたのだ。思い出した知識の中では彼等は反乱を確実に起こしていた。ただ、その反乱の詳細は知らなかったのである。知っているのは霊帝崩御の後、母を殺した何皇后と対立して起こすことぐらいだった。また、細かい時期は分からなかった。そして何より今の自分には彼等を止める術はないとも分かっていた。


そんな要と冬史の態度を見ていた澪は、内心で苦笑しながら要に話しかけたのだった。


「皇子?劉協皇子?聞こえてまっすか?」


澪が自分を呼ぶ声で要はようやく考えるのをやめて澪に頷いて反応したのだった。


「皇子、内緒な話しっすけど、さっきの二人はあまりいい噂を聞かないっすから、気をつけた方がいいっすよ〜」

「………うん…」

「おぉ、ちゃんと分かってくれたっすか。皇子はいい子さんっすね〜!」


屈託のない表情と雰囲気を纏った澪の話し方に見惚れていた要は、遅れて返事をしてしまった。そんな要の返事を聞いた澪は尚のこと笑顔になったのであった。また、要もそんな澪の顔を見上げると自然を心が軽くなっていくのがわかった。


(不思議な感覚だな)


実は澪と一緒にいる時だけは苛々衝動が少なくなり癇癪を起こすことがなくなっていたのだ。ただ、澪が一緒にいないと癇癪を起こすため、自然と澪が重要な別の任務に就かない時は冬史と一緒に要の警護をするようになったのだった。


要が苛立ちを覚えないのは澪が要に対して畏まった臣下としての態度ではなく、普通の態度で臣下として接してくれるからだった。それは要が求めていたものなのだ。しかし、冬史はそうではないため、冬史だけと一緒にいる時はよく癇癪を起こしている。ただ、その頻度も以前よりはだいぶ少なくなっていた。


そんな要と澪を後方から見ていた冬史は更にがっくり肩を落として歩いていた。だが、本宮殿の出口が近づいた頃、背筋を伸ばして普段の冬史に戻っていた。


「全体、止まれ!」


さすが冬史も一端の将であった。その声は遠くまでよく通り、それを耳にして全員はその場で止まるのだった。それが分からない要は少しだけ首を傾げて澪を見上げると、澪は袖を掴む要の目線に腰を落とし優しく話しかけた。


「皇子、申し訳ないっすけど、ここから馬車まではあたしは一緒に行けないっすよ」


澪の話を聞いて要はまた一つ疑問が生まれたため、きょとんとした顔をした。そんな要を見て澪は幼子を諭すように優しく話しかけたのだった。


「実はっすね。あそこの出口を出ると宮殿と洛陽の街を繋ぐ長い階段があるんっすけど、その階段の真ん中は皇帝陛下か皇子しか歩いてはいけないっすよ。あたし達はその脇の階段を使わないといけないっすよ。だから横にはいるんっすけど、今みたいに一緒には行けないっすよ。分かってもらえるっすか?」

「うん、わかった」

「おぉ〜、皇子は話がわかるっすね〜!」


一度の話では通じないと覚悟していた澪だが、それに反して一度で頷いたため、嬉しくなって要の両肩を優しく叩いていた。


(澪の奴、ここを何処だと思っている。皇子に馴れ馴れしいのも程があるぞ)


澪が皇子の両肩を幼子をあやすように叩いてる姿を見ていた冬史は心の中で毒素ついた。ただ、これは冬史の職務に対して真面目な性格に、要を澪に取られたことからくる嫉妬心が交わっていたとは本人は露とも思ってはいなかった。


冬史は気を取り直して列の先頭に進み出て、目の前に広がる大きな出口まで進む。そして、出口に着くと一度眼下を見下ろして踵を返して、澪に目で合図を送る。それを見た澪はまた腰を落として要に話しかけた。


「皇子、今から姐さんの所まで歩いて行って横で止まって下さいっす。そしたら、姐さんが号令をかけますから、それが終わったら階段を下りてもらえるっすか?」

「うん、わかった」

「いい子っすね〜♪ちゃんと姐さんとあたしも皇子の両横の階段にいるっすから大丈夫っすよ〜」


素直に話を聞いてくれた要を見て澪はまた両肩をとんとんと優しく叩いた。一頻り、叩きおえると腰を上げ冬史を見る。冬史は澪に頷き、澪はそれを見て要に進むように促した。




要は目の前のそれは大きな本宮殿の出口に向かって歩き出した。要の目線でも出口の外には青い空が広がっているのが分かる。そして、近づけば近づくほど眩しい太陽の光が差し込んできて、少し目をしかめる。要が歩いて来るのを確認した冬史は、少し脇にずれ中央の場所に要が立つように自分の立ち位置を調整する。澪は歩みを早めて要を挟む形で冬史の反対の場所に立った。そして、要は二人の真ん中に進んで歩みを止めたのだった。


要は二人の間に立った。自分に照りつける太陽の眩しさの強さに目を細めた。少しすると眩しさに慣れてきたのでゆっくり目を開いていった。その瞬間、そこに広がる景色を見て要の目をこれでもかというぐらいに見開いのだった。


天に広がる青空には雲ひとつなく、はるか彼方まで見渡す限り広大な青空が広がっている。それはまるで無限に続いているような青空だった。そして、その青空の真下には巨大な洛陽の街並みが青空同様に遥か彼方まで続いていた。所々、人々の生活の証がであろう煙が微かに立ち上っているのが見て分かる。その広大な洛陽の街は要の視野の端から端まで続いていた。その街の遥か先には微かに城壁が見えている。その城壁は真横に延びていて要の目には先が見えなかった。ただ、左右に微かに見える城壁も真正面に対して縦に延びていることからどこかでぶつかっていると推測したのだった。


また、真正面に見える遥か先の城壁からは一つの大きな通りが真っ直ぐ本宮殿に延びていた。目をこらすと本宮殿付近には微かに人の往来があるのがわかる。その通りは目の前で閉じられている大きな本宮殿の大門まで続いていた。そして、閉じられた大門から真っ直ぐ本宮殿に向かって延びていて、要の眼下にある長い長い階段に繋がっていた。階段に繋がっている部分の横にはこれまた広い土地が左右に広がっている。そして、そこには一子乱れず兵が左右に別れて立っていた。その数は千人だった。要が最初に聞いた時は、戦場では万単位の時代のため拍子抜けしたが、眼下に広がるそれはまさに圧巻だった。そして階段はしばらくそこから本宮殿に向かい続いた後、少し広い踊りに繋がっていた。その踊り場からまた登ると要が立つ場所にたどり着く。


その圧倒的な景色に要は我を忘れて見続けて言葉すら出なかったのである。そこにはビルなどの高い建物はなく、唯一高い建物は本宮殿だった。そして、本宮殿の出口の真ん中に立ち、その眼下に広がる景色を見下ろすことが出来るのは大陸でも皇帝とその御子にしか許されていなかったのであった。まさに息をするのも忘れるぐらいの景色が広がっていた。しばらく要は圧倒されながら見ていた。そんな要を冬史は優しく見つめながらそろそろかと思い声をかけたのだった。


「伯和皇子、そろそろよろしいでしょうか?」

「………ッ…はい…」


景色に集中していた要は突然話しかけられて一瞬びくッとして答えたのだった。そんな要の姿を澪は優しく微笑みながら見ていた。冬史も少し微笑んだが、すぐに真剣な顔をして眼下を見下ろした。


そして、深く息を吸った。


「こちらに御出になられるのが劉協皇子である!」

「今回、劉協皇子は洛陽を出て襄陽の街で勉学を学ばれることとなった!」

「聞いての通り、劉協皇子は生まれて初めて後宮の外に出られる。それと、同時に初めて洛陽の城壁の外にも出られることとなった!」

「しかもだ、歴代皇子で元服する前に城壁を越えるのは、我らが劉協皇子が初めてのことだ!」

「その我らの大事な劉協皇子の警護を光栄なことに、我々禁軍と軍が受け持つことになった!」

「城壁の外には滞在先の荊北州牧、劉表が寄越した4千の兵がいる!」

「だが、劉協皇子を守るのは我々の役目だ。そして、それを奴等に譲るつもりはない!」

「昨今、我が帝国に楯突く賊の輩が各所で発生している。そのため、道中何があるかわからない!」

「しかしだ、何人たりとも怪しい者を劉協皇子の側に近付けるな!そして、己の命を盾にしでも守ってみせろ!」

「それがこの栄えある任務を任された我々の役目だ!全員、努々忘れるな!」


「おぉーーーーーーーーー!!!」


冬史の声は大きくすべての兵士の耳に届いていた。そして、最後に言葉が終わると兵たちは一斉に手にした槍の緒を地面に何度も叩きつけ大きな声で叫んだのであった。その音は唸りとなり大門から本宮殿の間を瞬く間に通り抜けていった。それは階段に立つ要も例外ではなく、体に唸りをあげた音が突き抜けていった。それにより全身に軽く痺れたのであった。それが一頻り終わった頃、冬史は要の方を向き姿勢を正した。


「さあ、皇子参りましょう!」


圧倒されっぱなしの要にそう優しく話しかけて。


その後、階段をゆっくりと下りて階段の下に着いたのであった。そして、大勢の兵に見守られてながら要は大門前まで冬史と澪を両脇に携えて歩き、そこに止まってある豪華な馬車に一人だけ乗るように促されたのであった。要が馬車に乗り込むのを確認して冬史と澪は別の兵によって連れてこられて自分の馬に騎乗して、馬車の両脇についたのだ。その周りを同じく馬に騎乗した禁軍兵が取り囲み、その周りを軍の歩兵九百人が縦長になって取り囲んだのだった。そして、


「開門!」


すべての兵の準備が整ったのを見届けた冬史は、大門の脇で待機している門番に向かい大きな声で叫んだ。すると、本宮殿と街を閉ざしていた重厚な大門はその重みを表すような低く重い音を上げてゆっくりと開いていき、洛陽の街に本宮殿の姿を晒し始めたのであった。




大通りを歩く人々は普段閉ざされていた大門が突如として、唸るような低い音を立てたため、ぎょっ、として門の方を一斉に振り返ったのだった。そして、少しずつ開いた隙間から見える本宮殿が徐々に大きくなっていくのを目を見開いて凝視していた。普段、有力諸侯の集団もこの大通りを使い本宮殿に行くのだが、彼らが潜るのは大門の脇にある通常の門なのであった。それでも大きな門には違いなかった。


だが、有力諸侯と言えどもこの大門だけは潜ってはならなかった。それは、この門を潜ることが出来るのは皇帝もしくは皇帝の御子とそれに同行する警護だけなのであった。現皇帝の霊帝は後宮に入り浸りあまり外遊をしなかったため、本宮殿の門が開くことはここ数年ずっとなかったのだった。その門がいま突如として開きかけているのだ。それが意味することは・・・


いち早く、その意味に気づいた者が我に返えり周りの者達に道を空けろと叫んだ。周りで門を開くのは見ていた者達は、その声で一斉に我に返り、慌てて大通りの真ん中を空けた。そして、自分達は道の両端に寄り、急いで両膝を付き頭を地面につけたのだった。それは伝染するように大通りの端の城壁まで広がっていった。それに例外はなく、大通りにいた諸侯やその子息を含めすべての人々や、大通りに面した店の者や客もすべて通り出て両膝をつき頭を地面につけたのであった。


それを遠目で確認した冬史は全体に進軍の命令を下した。そして、それを聞いた兵士達はゆっくり城壁の門に向かい進軍し始めたのであった。本宮殿から城門までの移動は皇帝の権威を見せ付けるように半刻ほど掛けてゆっくり行われたが、その一団が目の前を過ぎるまで子供を含め誰一人となく話す者や頭を上げるはいなかったのである。そして一団は城門を抜け郊外で待機していた劉表の兵が、皇子を警護してる禁軍や軍の一団を覆うよう展開して、一行は襄陽に向けて進軍したのであった。


その一団が襄陽についたのは出発の日から数えて10日目の昼過ぎだった。





劉協皇子とその一団が過ぎ去ると、ようやく人々は起き上がり互いに今の一団のことを話しだしたのであった。また、長時間膝をつけていたため、痺れて起き上がれない者が大通りの至るところにいた。




「わたくしともあろう者が、このような痺れで…」

「無様ね、麗羽」


足の痺れでなかなか立ち上がれない金髪の長い髪をした美少女に、先に立ち上がった少しつり目で同じく金髪の髪をした美少女が見下したように言い放った。


「なんですって!華琳さん、そこで見てない。わたしくが華麗に立ち上がって見せますわよ!」

「いいわ、見ててあげるからさっさと起き上がりなさい」


足の痺れた麗羽と呼ばれた美少女が負けずと言ったが、つり目の華琳と呼ばれた美少女は鼻で笑って言い放った。それを聞いた麗羽と呼ばれた美少女は、こめかみの血管を引き攣らせいた。そして…、


「か・り・ん・さ・ん!その発言、後悔しても遅いですわよ!いきますわよ………きゃぁぁ~」

「麗羽様〜、あぶない!」


足が痺れているのに無理に起き上がろうとした麗羽は、上手く起き上がれずよろめいて倒れかけた、間一髪で活発そうな少女に助けられたのだった。


「猪々子さん、助かりましたわ」

「へへ、お安いご用っすよ、麗羽様」

「さすが、文ちゃん」

「えへへ~。斗詩もよろめいてアタイいの胸に飛び込んできてもいいんだぜ♪」


麗羽は助けてくれた、猪々子と呼んだ活発そうな少女に礼を言った。そして、猪々子と呼ばれた少女は、横には控えている斗詩と呼ばれた利発的な少女に誉められて照れていた。


「やっぱり、無様だったじゃない」


そんな三人を余所に華琳はあからさまに毒気づいたが、どうやら三人には聞こえてなかったようだ。そして、華琳も傍で控えていた冷静沈着そうな少女に話しかけていた。


「秋蘭、春蘭は何処に行ったのかしら?」

「華琳様、姉者は郊外で待機してる兵を見に行ってしまいました。止めたのですが……」


少し気まずそうに秋蘭と呼ばれた少女が答えたが、華琳は特に気にしたような素振りは見せなかった。


「ふふ、相変わらず春蘭は軍が好きね」

「華琳様、申し訳ありません」


一つの物に囚われると周りが全く見えなくなる、活発な少女の事を思い浮かべながら、華琳はクスクスと笑っていた。


「いいわ。では秋蘭、私たちは先に行ってましょう。あの子もそのうち来るでしょうから」

「わかりました、華琳様」


華琳は洛陽でも諸侯の子息が多く通う、有数な私塾に向かう途中だった。その途中で、先程の一団と遭遇して足止めをくらったのだった。その一団もすでにいなくなったため、改めて秋蘭を連れて私塾に向かい始めたのである。


だが、内心では今過ぎた一団の事を考えていた。


(たしか襄陽に学びに行くのだったわね。わざわざ襄陽に行かなくとも、洛陽の街には襄陽以上の学舎が沢山あるのに…)


そうなのだ。今回、劉協皇子が襄陽に勉学を学びに行くという噂を聞いた人々は疑問に思っていた。襄陽よりも洛陽の方が優秀な人材を排出した質のよい学舎が沢山あるのだ。それなのに何故、襄陽に行くのだろうか、と。その疑問は同じだが、、華琳には心当たりがあった。


(やはり、噂は本当だったようね。だとしたら体のよいお払い箱ってことね。残る兄の方は宦官と母親の操り人形だと耳に入ってくるし………、間違いなくこれから荒れる時代になるわね。だからこそ私は!)


華琳は噂を思い出していた。

五歳にもなるのにまともに読み書きも出来ず、たびたび癇癪を起こす劉協皇子。

自分より一つ年上で十二歳にもなるのに何一つ自分の意志で決められず、宦官や母親の言いなりになっている劉弁皇子。

政そっちのけで酒と女に明け暮れてる霊帝。


そして政の私物化している十常侍………。


それらを考えれば大陸がこの先、荒れる運命であることは誰の目から見ても明らかだった。もし、この国の中枢がまともだったら自分はすべてを奉げただろう。しかし、もはや中枢は病魔に蝕まれて、手の施し様がないのだ。だからこそ自分は大陸に・・・。 考えてたことが思わず顔に出てしまい、それを見た秋蘭が華琳に訪ねてきた。


「華琳様、どうかなさいましたか?」

「なんでもないわ」


(そうなったら、この子とあの子は間違いなく私を支える力になるわね)


ここの場所にいない、もう一人の少女の事も思い出して、笑顔で秋蘭に話しかけたのだった。


「秋蘭、私は貴女に期待してるわ。だから、私を失望させないでね!」

「は、はい、華琳様!」


そう言った華琳の足取りは軽かった。そして、秋蘭も頬を赤らめながらそれに続いた。その姿はまるで未来の華琳を象徴するであろう姿だった。




城門付近でも皇子一団が通り過ぎて人々は安堵していた。そんな中で痺れた足を地面に投げたして寛いでいる美少女がいた。その美少女は年齢のわりに胸が大きく赤みがかった髪が印象的だった。そんな、美少女の隣で立ち上がった少女が話しかけていた。


「おい、桃香。地面に座るなんてはしたないぞ」

「えぇ~、だって足が痺れちゃったんだもん。白蓮ちゃんもどう?気持ちいいよ♪」


桃香と呼ばれた胸の大きな美少女は、さも心外だという顔をして笑いながらそう答えた。そのまま大きく背伸びをしたため、大きな胸は更に大きさを強調していた。その強調された胸と自分の胸を見比べて、白蓮と呼ばれた少女はため息をつき、肩を落したのだった。自分の横で肩を落とす白蓮の状況など、お構いなしに桃香は話し出した。


「白蓮ちゃん、今の一団凄かったね」

「あぁ、まさか皇子の一団に遭遇するとは思わなかったよ」


その桃香の声で、ようやく我に返った白蓮が相づちをついた。桃香は今しがた目の前を通り過ぎた馬車を思い出していた。あんな馬車に乗れたらどんなに楽しいのだろう、と思って。それが、思わず口に出たのであった。


「いいな~、あんな馬車乗ってみたいな~♪」

「さすが、皇子が乗る馬車だけあって立派だったな」


その時、桃香は何かが閃いたような顔をして、白蓮に聞いてみた。


「ねぇねぇ、白蓮ちゃん♪私が劉勝の血を引いてるって言ったら馬車に乗せてもらえるかな?うん、きっと乗せて貰えるよね。だって、同じ高祖の血だもん♪ よし、言ってみよう!」


そう決めると、白蓮の反応など聞かずに桃香は立ち上がり城門の方へ駆け出していった。彼女の信念は思い立ったら即、行動なのかもしれない。


「ちょ、ちょっと待て、桃香ー!」


それを見た白連は、慌てて桃香を止めようとして全力で追いかけた。が、桃香が何かを思い出したかのように突然、その場で立ち止まってしまった。そのため、白蓮は上手く止まれずバランスを崩して地面にこけてしまったのであった。


「あっ、そうだ!盧植先生の所に行くんだった。白蓮ちゃん、地面で寛いでると遅れちゃうよ♪先に行ってるね」

「………桃香」


白蓮にそう言うと、通っている私塾に向けて走り出した桃香だった。どうやら桃香と呼ばれた美少女は天然な性格でもあったようだ。そして、その走り出した桃香の後姿を見ていた白蓮と呼ばれた少女はうな垂れていた。その姿にはかなり哀愁が漂っていた。彼女は将来きっと周りに振り回されて苦労するタイプだろう。


こちらもまるで未来を象徴したかのような姿だった。



この場で皇子の一団を見ていた、麗羽、華琳、桃香、白蓮の四人は遠い未来、また洛陽で再会することになるとは誰も思ってはいなかった。その再会が、どんな再会になるかは誰も知らないことであった。



「華琳様〜、秋蘭〜!何処に行ったんだ〜!」


しばらくしてから、叫びながら走り回る少女が大通りではたびたび確認されていた。


読んで頂きまして、ありがとうございます。

今回は原作キャラ達に少し登場してもらいました。

一応、彼女達が本格的に登場するのは次章からの予定です。

また、ようやく二章の中盤に差し掛かりました。

まだまだ、続きますので楽しみにしていて下さいね。

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