じじいのサイドティッシュ
クズの小間切れ大貴族を添えて
うむ、悪趣味じゃ
手紙の内容はシンプルな物じゃった
貸金庫の名前で切られた領収書と貸金庫の鍵が入っとるだけじゃ
異世界に貸金庫? となるやも知れぬがこの世界は地球と存在が近く頻繁に地球人が送られて来るから大概の物はあるのじゃ
これで異世界重箱の隅つつきおじさん達もにっこりじゃな
「一見不親切ですがこうする事であの女性の安全も守れます」
ハモンは言う
成る程のぅ
それにこの駄菓子屋先程から悪意の無い目で監視されておる
そういう拠点の一つなのじゃろう
駄菓子屋で悪党がメケメケを片手に密談とかシュールじゃのぅ
「貸金庫に向かうのですか?」
ワシの問いにハモンは首を横に振る
「この鍵は倉庫の鍵ですね、貸金庫の鍵にしては大き過ぎます」
更に領収書の金額を指差して言う
「それにメケメケが一本銅貨113枚もする訳がないので、これはおそらくは倉庫の登録番号です」
ハモンはトリックを色々と教えてくれる
メケメケの価格は小銅貨一枚、大体五円くらいじゃな
銀貨一枚あれば二ヶ月は豪遊出来るじゃろう
ハモンはマダムに近より金貨を一枚渡す
「大人の戯れですのでお釣りは取っておいてください」
そう言うとハモンは棚の下段にある紐引き飴の紐をわしづかみにして全部一辺に引き抜く
それを見た子供達からどよめきの声が上がる
「子供の頃これに憧れた物ですが、大人になってやっても大して楽しくは無いですね」
そう言いながらハモンはマダムから貰った袋に飴に入れていく
「意外ですかな?」
ハモンはイタズラっ子の様に笑う
「学園に入学したら解りますが、八歳から四年間身分が無くなり同じ事を学び同じ遊びをします、私でもこういう場では童心に帰る事もありますよ」
等と意味不明な供述をしておるが、それにしても金貨一枚のはわんぱくが過ぎる
10万円くらいになるかのぅ
まあ、野暮は言うまい
それはそれとしてパーパスはワシに一般教養を教え無さ過ぎじゃ
「では向かいましょうか、カタナ様」
ハモンはそう言うと一際大きな宝石の形をした飴を口に放り込む
…やはり遊んどるのやも知れんのぅ
向かった先は商業区画のど真ん中
悪い連中など近付きそうもない、そんな目立つ場所にあるそこそこの大きさの倉庫じゃった
ワシが鍵を差し込むとぴったり一致した
中に入るとそこには倉庫の大きさに反してテーブルが一つだけ置いてあるだけの殺風景な空間が広がっておった
「お待ちしておりました、カタナ様」
声の主は真ん中に鎮座するテーブルの横におった
やたらと露出の大きな服を着た誰かさんとは違って服に見合う体型をした褐色の肌の女性じゃった
「主からの言付けです、今日の今日でここが割れるとは思ってなかったぜ、と申しておりました」
抑揚の無い言葉で主とやらの言葉をそのまま伝える
「失礼ですが主とはアッシェさんの事で宜しいですか?」
ワシは一応確認を取る
「これは失礼しました、主は間違いなくくアッシェです、私は使いの者で…名乗る許殿者ではございません」
女は言う
「そうでしたか、用件は我が家のメイドの件で宜しかったですか?」
ワシの問いに女は短く首を縦に振る
そして女がテーブルの上に一冊の手帳を差し出す
「宜しいですかな、カタナ様」
ハモンが飴を食べ終わったのか手帳の確認の許可を求めてきた
「お任せします」
どうせワシでは解らんしハモンに一任する
「では…こ…これは…」
ハモンの顔が今まで観たことも無い様な動揺した顔になる
まだまだ一波ありそうじゃのぅ




