じじい疾風のごとく
メイが拐われたわ
迂闊じゃった…
大人としてこういう危機管理はしておくべきじゃった
メイが母神の加護を失っている年齢だったらと思うとゾッとする
ワシは後の事を衛兵隊長に任せて詰所を飛び出す
ガイダンスさんのさん!
ワシは心の中でガイダンスさんを呼ぶ
『戦神の加護を使って目的地を特定しますか?(Y/N)』
機械的な女性の声が頭の中に入ってくる
ワシが指示を出す前に最適な案を提示してくれた
これも学習機能なのじゃろうか?
勿論答はイエスじゃ
戦神の加護、それはワシが望む戦いをさせてくれると言うワシを担当してくれた女神様の戦神バトル様が与えてくれた力じゃ
戦う事しか出来んのじゃが色々と応用は利く
『スキル戦神の加護を発動しました』
ガイダンスさんのアナウンスでワシの五感が冴える
敵の居場所が解る
ワシは頭の中で風を纏うイメージをする
『スキル風神より飛翔を発動します』
ガイダンスさんのアナウンスと共にワシの身体は宙に舞う
コントロールも今回はばっちりじゃ
スキルのなんの言うてもやはり学んだ事は無駄にはならんという事じゃ
ワシは目的地まで文字通り疾風のごとく飛んで行った
「ここは…」
目を覚ますと私は暗い倉庫の様な場所に縛られていました
はっきりしない意識の中で男性の声がなんとなく聞こえてきます
「ガキなんて面倒臭いだけだろ、何が良いのやら」
「そこが良いんじゃねえか」
「勝手にしろ、ただし騒がれるなよ?」
二人の男性はそんな会話をしていました
「嬢ちゃんも生意気なガキになんかに仕えなけりゃこんな目に遭わなくて済んだのになぁ」
一人の男性が私に近付いて下品に笑うのが解りました
助けて…
「その子を一体どんな目に遭わせるのですか?」
少年の声が聞こえる
ああ、カタナ様…
ワシは縛られ倒れているメイを見るや近くに居た男を派手に蹴り飛ばす
「グヒャッ」
間抜けな声を発して男は壁に激しくぶつかる
「いってぇなあオイ!」
男が元気に飛び上がる
別に今ので無力化したかった訳ではない
メイとあの下品な男を引き剥がしたかっただけじゃ
「あなたが何者かに興味はありません、大切な家族を傷付けた罪、万死を以て償って貰いますよ?」
そう言うとワシは拳を構える
ワルド様は殺さん方がいいと言っておったからのぅ
今だけは助けてやる
拳を構えるワシを見た男が腰の短剣を抜いて下品に笑う
「ガキが、少しは喧嘩が強い様だが大人を…」
男が言い終わる前にワシの拳が男の顎に思い切り当たる
「軍隊仕込みじゃ、あまりナメるでない」
脳が揺れて足下のおぼつかない男の腹にワシはトドメの一撃を当てる
嘔吐してのたうち回る男をロープで縛り、ワシはようやっとメイを解放する
「カタナ様ぁ」
解放されて安心したのかメイがワシに抱きつく
うーん、あと90年若ければのぅ
そう思いながらワシはメイの頭を優しく撫でる
「貴族としての配慮が足りず申し訳ありませんでした」
メイの頭を撫でながらワシは謝罪する
「騒ぐなって言ったろが、アニキにバレたら殺されるぞ!!」
さっきの男の仲間じゃろうか?
体格のいい男が怒鳴り込んでくる
どうやらまだアニキとやらが居るらしいのぅ
「感動の再会を邪魔するとは随分野暮な方ですね」
ワシはそう言うと拳を構える
「ステゴロか?嫌いじゃ無いぜ?」
そういうと男も拳を構える
拳が交わる刹那男が腰のベルトに手をやるとベルトのバックルに隠していたナイフを握りワシに突き立ててくる
「ガキは素直で助か…」
男は言い終わる前にその場に崩れ落ちる
「本気で騙す気なら日頃から練習しておけ、このたわけ」
なんの事はない、バレバレだったからそのまま腹に一発入れてやっただけじゃ
「メイ、済みませんが詰所まで行って衛兵をここまで連れて来てはくれませんか?」
ワシはメイに人を呼ぶ様に言う
街その物が治安のいいところなのでアニキとやらに遭遇しなければ問題あるまい
メイは無言で頷く
年のため大通りまでメイを連れて出た
ここまで来れば大丈夫じゃろう
ワシは急ぎ奴らの居た倉庫に戻るのじゃった




