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じじいの居ぬところ~その2~

「何故です父上!何故長男である私では無く三男の、それもその息子のジョンなのですか!!訳を教えてください!!」

男は玉座に座る父と呼ぶ男に大声で問う

「知れた事…剣を持とうともせぬお前にこのソーディアスの王位は譲れん、それだけだ」

父と呼ばれた男は凡そ子を見るのとは無縁な何か汚い物でも見てしまったかの様な遠い眼差しで我が子を見る

「しかし、一つだけお前の言い分にも尤もなところはある…」

父と呼ばれた男は目を伏せながら呟く

「では!」

その言葉に一縷の望みを掛け男は再び問う

「お前の弟…長らく辺境伯として嘆きの森の魔族の侵攻を抑え続けたジョブもまた偉大な英雄、あれに王位を継がせてやれなかったのは本当に心残りでしかない…」

父と呼ばれた男は本当に悔しいといった風に語る

それを聞き絶望した子はその場に崩れ落ちる

「お前が上位の魔人の討伐や辺境の魔王の討伐に準ずる武功を私が健在の内にやれたのなら考えてやろう、尤も私はお前が剣の稽古をしたなど学校を出てからという物一度も聞いた事が無いがな」

ソーディアスは武を重んじる騎士の国、それを軽んじる者は例え王の長男で在ろうともその許されはしない

「私が何も知らぬとでも思ったか?精々今まで通り光の当たらぬ場所でこそこそと箱庭の王を気取って居るがいい」

その日、ゼン・ソーディアスの長男ロズ・ソードはソードの名を剥奪され王位継承権を持たぬメイスの名を名乗る事を命じられた


それから三年後、ソーディアス国王ゼン・ソーディアスは崩御し、次王として宣言通り勇者パーティーの聖騎士ジョン・ソードが王位を継ぎジョン・ソーディアスとなった


「夢…クソみたいな夢を見たな…」

思い出したくもない過去の記憶が鮮明に甦る

王位継承権を失った事で俺の近くに居た連中は現金な物で散々に旨い汁を吸っておきながら俺に価値がないと知るや蜘蛛の子を散らす様に俺の下を離れて行きやがった…

「ジョンが片付いたら次は貴様らだ…」

俺は思わず呟く

誰かに聞かれて居ないかと周囲を見渡す脳裏にあのクソ親父のこそこそと箱庭の王を…という言葉が頭を過る

「テメエがバカにした箱庭の王がこの国を取り戻すところを精々い指を咥えて見ているが良いさ」

俺は不敵に笑って見せる

「大変です公爵様ぁ」

情けない声を挙げて男が部屋に入ってくる

この男はテゲス、俺の下に残った取り巻きの一人で木っ端役人をやらせている

「ここへは来るなと言ってあったハズだが?」

この男は俺が言うのも何だがクズだ、あまり関係を探られたくはない

「それがダスが捕まりまして…」

ダスは俺が資金源に利用している二流商人だ、この男に負けず劣らぬクズだ

「一体何をして捕まったと言うのだ?」

大方違法取引の現場でも押さえられたか

俺の派閥の貴族や金持ち共とも繋がっているというのに愚かな

「確か領主は王都だったな、俺が何とかしてやるから今日は黙って帰れ」

クソ忌々しい勇者パーティーの一人が今の領主

スキャンダルをでっち上げるには申し分無いだろう

「で…では…」

心配そうな顔で俺に一礼するとテゲスは去っていった

「おい」

俺の合図で黒装束の男が闇の中から出現する

「解っているな」

俺の一言に対して男は頭を一度下げ再び闇の中に消えていく

「出涸らしは出涸らしらしく最後まで俺の為に働け、なあテゲスよ…」

誰も居なくなった部屋で傲慢に笑う声だけが響いた

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