じじいとじい様
かつて辺境の魔王を滅ぼした集団が居た
異世界から召喚された勇者を中心とした彼らを人は勇者パーティーと呼んだ
その中に一人の魔法使いがいた
彼の名は大賢人マナ・ライ
人の身でありながら古代エルフ王国の時代の古代魔法を習得した人にして人ならざる天才である
彼は魔王との戦いには直接参加はしなかったが勇者達が魔王と闘っている時、彼は魔王軍四天王闇魔法の使い手である暗黒のダーマという魔人と闘い十日間の激闘の末についには討ち滅ぼしました
大賢人マナ・ライはその後志を同じくする魔法使いらと共に絶海の孤島に研究所を作り仙人の杜と称し、勇者パーティーの中でも親交が厚かったソーディアス騎士王国とのみ外交を開く様になり現在に至っています
勇者物語、大賢人の章より抜粋
という事じゃ
学校行ったら教わる内容らしいが生憎とワシはまだ未就学じじいじゃから知らんかったわい
隊長がこっそり教えてくれた
「知らぬ事とはいえ申し訳ありません、父上がお世話になっています」
ワシはペコリと頭を下げる
「カッカッカ、育ちの悪いパーパスと違ってしっかりしたガキだ、気に入ったぞ」
マナは楽しそうに笑う
どうやら気に入られた様じゃ
「で、何を騒いでた?」
マナが再度聞いてくる
そうじゃった
「近々ここに賊が襲撃してくるハズなんです、それを撃退するのに彼らを危険に晒したく無くて…」
ワシの言葉を聞くと立派な白髭を撫でながら少し考えてマナは口を開く
「で、ガキが戦うと…そりゃ大人は嫌がるだろうよ、それ解るな?」
マナの言い分は尤もじゃ、ワシが同じ立場でも止めるじゃろう
「ですが賊はおそらくは相当な手練れです、彼らを僕の都合で危険に晒す訳には行きません!」
ワシは思いの丈を目の前の初めて会ったじい様にぶつける
言って何になる?
と思わんでは無いがのぅ
「解った、俺様もこのガキの手伝いをする、それなら良いな?」
マナの突然の提案に返す言葉を失い隊長はわたわたとしとる
「心配するな、俺様一人でも釣りは来るし何よりガキは母神様かお守りしてくれるだろうよ」
マナはそう言うと笑う
無いのじゃがな、変態性悪ロリショタババァ最高神の加護…
年齢詐称とか言って剥奪されとるからのぅ
「或いは今日この場にマナ・ライ様が来られたのも母神様のお導きかも知れません」
ワシはしれっと言う
魔王軍の幹部すらタイマンで倒す様なのが一緒に居ると言われては彼らも引き下がるしかあるまいのぅ
その日の夜
ワシは詰め所の一室を借りてマナと食事をしていた
チーズとパンと芋のスープ
大体これじゃ
これも悪くはないがやはり米が恋しいのぅ
「マナ・ライ様は何故私なんかを助けてくださるのですか?」
ワシはマナに問う
用事がある様な事を言ってる居ったし悪いことをしたのぅ
「ガキが困ってたら助けてやるのは大人の義務だろ、何を当たり前の事を言ってんだ」
マナは考えるまでもなく即答した
やはり子供には優しい世界じゃのぅ
それを売り買いしようと考えられるダスやら買おうとしとった金持ちは一体何を考えて居ったのか…
「それにその猪みたいな真っ直ぐな正義感がお前の親父にそっくりで見てられなくてな」
マナはケラケラと楽しそうに笑いながらエールを腹に流し込む
意識した事は無かったが似とるのかのぅ
或いは本来この身体に宿るべき魂の影響?
その辺りどういう仕組みなのかのぅ
のぅ、ガイダンスさん
この問いにガイダンスさんが答える事は無かったのじゃった




