じじい企む
「この短時間でダスにたどり着くとは流石です」
街に帰り早速ハモンに状況を説明していた時に返された第一声がこれじゃ
こやつ、最初から把握しとったな
「知っていたのですか?」
ワシは少し拗ねて見せる
まあ、その気は無いのじゃが子供である事は時として武器になるからのぅ
「これは失礼しました、知っていた訳ではなくあくまでも推測の話でしたがこれで確信に変わりました」
拗ねるワシを宥める様にハモンが言う
まあ、ハモンと村民達の関係性を考えると村民から情報を聞くのは難しかろうから他意がないのも事実なのじゃろう
「それでカタナ様はこれからどうなされるおつもりですか?」
ハモンが問う
そうじゃのぅ…
「奴隷の売買契約書はありますか?」
ワシには一つ策があった
「こちらに」
そう言うとハモンは村民を買い取った時の証文を見せてくれる
きっちりハモン・ナイフの名前が入っておる
「これは違法売買の証拠になります、ダスをこれで捕まえましょう」
ワシの提案にハモンの眉が一瞬動く
ワシはそれを見逃さなかった
「ハモンさんはあくまで村民を解放する為に違法と知りながら金銭での解決を行っただけです、私が村での彼らの生活を証言したらハモンさんの無実は証明出来ますよ」
ワシの言葉を聞いたハモンは安心したかの様な表情を見せる
何処までが演技か解ったものじゃないがのぅ
「しかし、それでは元代官に逃げられてしまう可能性がありますが」
ハモンの言う事も尤もじゃがそこは問題ではないのじゃ
「捕まった悪者は誰に助けを求めると思いますか?」
ワシは改めて問う
「元代官…でしょうな、しかし知らぬと言われたらそれまでかと」
そこまでは想定内じゃ
「では悪事が露見したと思った元代官は誰に助けてくれと言いつけに行くのでしょうか?」
ワシの言葉に感心したかの様な顔でハモンはワシを見る
「正直、隙あらば我が子の出世の道具に…等と思った事もありましたが。今はただカタナ様を敵に回さなくて良かったとホッとしております」
ハモンがいう
多分宮廷ジョークの類いじゃろう
「ハモンさんのこれまでの働きを考えたら私なんて使わなくとも」
ワシは笑って返す
正直ワシもどう返したら良いのや分からんからのぅ
「では、元代官の動向に関しましては私にお任せください」
ハモンが一礼をして部屋を去る
正直そういう搦め手がワシには無いので助かるのぅ
村の規模を今後大きくするなら何れは必要になるやも知れんのぅ
後日
「ダス商会の店主ダス、お前を違法奴隷売買の容疑で拘束する」
ワシは執事のセバスチャンと衛兵を引き連れてダスの根城に乗り込んだ
本来は領主であるパーパスの許しが必要なのじゃが生憎とこの数週間王都から帰って来ない
なので代理人でもあるセバスチャンを連れてきたという訳じゃ
しかし、初めて来るが奴隷商というのはもっとこう、暗くて臭くてという印象じゃったが、金持ち相手の商売だからか小綺麗で広いその場所には高そうな調度品が置かれておる
「待ってください。オレ…私はちゃんと国に許可を取って商売を…」
言葉を遮りダスを衛兵達に拘束させる
こんな醜く不快な音を何時までも聞いてはおれんからのぅ
「この場に居る者、奴隷も含め全員詰め所に連行してください」
客であろう金持ち共が何か文句を言うておるが知らん
ワシは権力者様じゃからな
まあ、売買に違法性が無いのならおとなしく帰してやるわい




