じじい名前を貰う
名付けの儀の日は割りと直ぐに訪れた
と言ってもワシは基本寝てるだけじゃから無限の様な二日間じゃった
この二日でもう一つ解った事がある
「あぁかぁちゃんっ」
シスがワシに顔を近付けてニコニコと笑う
顔は母親似じゃが髪の色は父に似た栗色をしておる
姉のシスからの愛情が重い…
親を取られたと嫌われるよりはマシ…なのかのぅ
あの叔父を見た後では一抹の不安は残る
名付けの儀は神殿で行うという話じゃが、この神殿もまた大きい
東京駅より大きいかのぅ
それはもういい?
神殿の中には荘厳な作りの池がある
水の神の加護を受けておりこの水自体が聖水として機能する物なのだとか
その池の水で洗礼を受ける…と言えば聞こえは良いが、赤子を池に沈めるという豪快な物じゃ
そうして清められてから儀式が始ま…
清められ…
池の水が赤黒く染まる
それはもう血の池地獄の如く
見た事は…あったのぅ
…嫌言う程
「な…何が起きている」
「こんな事は過去に一度も無かったぞ!」
神官達が慌てる
イレギュラーなのかい
ワシの存在自体がイレギュラーなんじゃ、無理もないかのぅ
『申し訳ありません…』
頭の中に直接水の様に清んだ女性の声が聞こえてくる
割りと最近経験したがはてさて
『私の名前は水を司る神メイスイ、あなたの前世の業が深過ぎて私では浄化出来ませんでした…』
そう言うと青く長い美しい髪をなびかせた女性が姿を現す
メイスイはそう言うと池の水に手をやる
すると池の水が光輝き元の正常な清らかな水に戻る
何が起きているのか理解が追い付いていない神官達が右往左往している
『彼らには私の姿は見えておりません、どうかこの件はご内密に…喋れませんでしたね』
そう言うとメイスイは美しい青い瞳を細めてイタズラに笑い消える様に居なくなった
というか消えた
漸くして落ち着きを取り戻してから名付けの儀が再開した
赤子を池に沈めた後、赤子を取り出しその池の水に紙を浮かべると紙に文字が浮かび上がる仕組みらしい
そう言えば小一時間水中におったが神の加護で大丈夫らしく何事もなかったかの様に儀式が進行する
普通池が真っ赤に染まった時点で回収せんのかのぅ
などと不満を口に…ダァダァ言っていると神官が池に紙を浮かべる
すると薄茶色の決して質の良くない紙にこの世界の文字が浮かぶ
当然じゃがワシには読めん
早々に学び直しかのぅ
ひ孫が読んどった小説ではチートとやらで文字が自動で読めるそうなのじゃが
そう言えば言葉は解るのじゃなぁ
基準がよく解らんのぅ
「ねぇねぇお母様、赤ちゃんのお名前決まったの?」
四歳児の、同じく文字が読めないシスが母に問う
ナイスじゃ姉
「お姉ちゃんまだ字が読めないもんね、これはね…」




