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じじいと宮廷政治

結局ワシは他にアテも無いのでハモンに泣きついた

「なるほど、しかし私に声を掛けたのは正しい判断です」

ハモンが言うにはこの代官は反王宮派…

王位を狙うジョンの兄弟であったりジョンの政治を疎ましく思う貴族であつたり、或いは隣国の工作員だったりと要は現国王失脚させたり邪魔したい奴らが居るという事じゃな

「派手に捕らえれば前領主やその息子である現国王の失態となりますし、放置したり目立たぬ様に動けば民は現領主への不満を募らせやはり国王の失態に繋がりましょう」

成る程のう、中々の策士が居る様じゃ

「つまり父上に先に相談していたら巻き込む事になっていた可能性があったと?」

ワシの問いにハモンは無言で頷く

難儀とは思ったが居らんで良かったのぅ

「私の方でも少し探りを入れてみますのでカタナ様はどうか短気を起こされませぬ様に」

ハモンはワシの包帯を見て言う

やはりやり過ぎたかのぅ

「解りました、私に出来る事があれば何でも言ってください」

ワシはハモンに返事をして自室に戻る

傷はとうに癒えておる

以自動回復とやらを手に入れとるからのぅ

軽傷ならあっという間じゃ

宮廷政治、思いの外面倒臭いのぅ

いよいよとなつたら全部斬って逃げる…という訳にはいかん物かのぅ

などとくだらぬ事を考えて居るとドアのノック音が聞こえた

「どうぞ」

すると先ほどワシが怯えさせてしもうた若いメイドが入ってくる

「失礼します、若様、怪我の治療とお着替えを」

彼女は家ではなくワシに使えておるメイさんじゃ

歳は13、パーパスが村の統治をしていた頃からつかえておる従僕の娘さんじゃ

そういう子供は大抵年の近い子供に仕える事になる

なら年も近いシスじゃなかろうか、と思わなくもないのじゃがのぅ

「怪我は先ほど町の方にポーションで直して貰ったので大丈夫です、それより先ほどは取り乱してしまい失礼しました」

ワシは改めて詫びを入れる

立場を考えたら例え八つ当たりであろうとも彼女の責任問題に関わる話じゃ

「謝らないでください、若様があんなにお怒りになるのが初めてでビックリしてしまいこちらこそ申し訳ありませんでした」

メイはぺこりとお辞儀する

非の無い者に頭を下げさせてしもうた、一生の不覚じゃ

「もう大丈夫、今は冷静です」

着替えながらワシは言う

若い娘に見られながら着替えるのも照れるが流石に慣れたのぅ

メイとは生まれてすぐからの付き合いじゃからのぅ

「何があったかそれとなく聞いてこいと上の方に言われて居ますが聞いても宜しいでしょうか?」

メイはこういう時に嘘や誤魔化しが出来ぬ性格をしておる

ただメイよ、それはそれとなくとは言わんのじゃなかろうかのぅ

「小悪党の噂話を聞き少し腹を立ててしまいました、父上に言いつけてやろうかと思ったのですけどね」

ワシはそう言うと苦笑いをした

言いつけて巻き込んで大騒ぎして困るのはジョンやパーパスじゃろうに、ワシは何をしようとして居ったのか

いい加減お貴族様のくだらん宮廷政治とやらにも慣れねばのぅ

子供の様な理由で腹を立てていた事を知るとメイもクスリと笑う

ようやっと笑顔を見せてくれたのぅ

「で、前後不覚になって壁に頭を打ち据えてこうなりました」

そう言っておでこをぺちぺちと叩いて笑う

「取引先の材木商のご主人が偶々近くに居て助けて貰いました」

という事にしておこう

後で口裏をあわせて置かねばのぅ

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