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じじいと頑固じじい

「テメェらに売るもんは無ぇ、とっとと帰ぇりやがれ!!」

紹介された細工師の工房をたずね、入り口の戸を開けた瞬間ノミが飛んできた

当てるつもりは無かったのじゃろう、近くの柱にそれは刺さった

よく見るとその柱は穴だらけじゃ

普段から投げとるのじゃろうな、それにしても子供に取る態度じゃ無いのぅ

じじいじゃが

「えっと、人違いじゃないでしょうか?」

困惑して声の主の方に向かってワシは言う

「テメェに言ってんだ、大貴族野郎!」

普通に不敬罪なのじゃがのぅ

声の主はワシよりはずっと若い、我が子と同世代くらいの7~80の爺さんじゃった

「テメェがここらの職人を垂らし込んでるって情報は入ってんだ」

爺さんはエラい剣幕で怒鳴る

また代官絡みかのぅ…

「垂らし込んだつもりは無いのですが…皆さん嘆きの森から取れる素材に興味を持たれただけです」

ワシへの文句は構わんのじゃが放置するのもパーパスの顔に泥を塗ってしまうからのぅ

不敬罪で捕まえるのは容易いなのじゃが代官が絡んで居るとそう話は単純では済まなくなるでな

七歳児に要らぬ気苦労をさせ居って、代官は何れ〆る

「ガキ共はそれで騙せたかも知れんが俺の目の黒い内はテメェら貴族の思い通りにはさせねぇからな!」

そう言うと今度はワシ目掛けて金づちが飛んでくる

ただしそれは脅しのつもりなのじゃろう、子供のワシでも容易に避けられる緩やかな速度じゃった

ゴツッという鈍い音がしてそれはワシの額に直撃する

血を流しながら平然と立つワシを見てその狂気に爺さんの怯えが伝わってくる

「怒りではなく恐怖からの行動でしたか、でもこんな子供の私の何に怯えているのですか?」 

ワシは止まらぬ血を無視して続ける

本気で投げた訳ではないので出血の割には傷は浅い

「…何故避けなかった?」

爺さんは絞り出す様に掠れた声でようやっとその一言を口にする

「なんか負けた気がしたので」

ワシはそう言うとニッコリとぷりちースマイルを見せる

顔中血塗れなのでちょっとしたホラーじゃろうがのぅ

それを聞いた爺さんの目に光が灯った様にも和しには見えた

かと思えばワシに近付いてきて手にしていたクスイから貰った薬箱をぶん取られた

薬箱の中の液体を頭にぶっかけられ雑に包帯を巻かれる

治療してくれとるのじゃろうか?

「済まねぇ、当てるつもりは無かった…俺も負けたくなかったんだ…」

爺さんはそう言うと深々と頭を下げる

「俺は死刑でも何でも構わねぇ、どうか息子夫婦と孫娘は助けちゃくれねぇか?」

王族に怪我を負わせたのじゃから普通に一族郎党連座は免れんじゃろうな、普通は

「ダメです、それでは父や国王の沽券に関わりますので」

ワシは冷たく言い放つ

「この場で罰を言い渡します、ここまでした理由を聞かせてはくれませんか?」

ワシも勝手にぶつかって行った以上怪我の責を爺さんに負わせる気なんぞ毛頭無い

気がないのはワシの前の身体と目の前の爺さんじゃがのぅ、ってやかましいわい

民の間で今何が起きとるのか、その方がワシの怪我なんぞよりよっぽど気になるからのぅ

「あ、いや…その…」

急に尋問が始まったのかと思ったか爺さんはしどろもどろになる

「安心してください、正直に離してくれたら今回の件は不問にしておきます」

ワシはぷりちースマイルで言う

鏡を見て訓練したからぷりちースマイルには自信があるのじゃが、どうにも打率が悪い気がするのぅ、何か手を打たねばなるまいか?

「実は…」

爺さんは重い口を開き始めた

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