じじい商売をする(その2)
材木を売ったワシはその足で加工品を扱う商人達が集まるエリアに向かった
半加工された木材の購入の為じゃ
やはり過去にこれに似た物を持ち込んだ異世界人は居った様じゃがそやつは門外漢だったらしく技術が拙くあまり広まらなかったそうじゃ
ワシのは軍が運用するレベルの物じゃからのぅ
大量生産が可能で現場にも優しい作りになっておる
設営の基本じゃな
「よう、旦那」
ドワーフの男に声を掛けられる
この職人街には彼の様なドワーフは少なくない
「注文した物は出来ていますか?」
ワシはドワーフの男に切り返す
彼の名はデーク
木材を角材などに加工販売をしている男じゃ
最初にラゴウの村に来ていた職人は彼のところの従業員でその縁で今もこうして加工木材の商いを続けておる
「勿論ですぜ旦那」
そう言うと書類を渡される
加工品の目録じゃな
しかし…
「なんです、この嘆きの森の大木の一枚板って?」
注文していない物が目録の中に紛れていてワシはデークに訪ねる
「いえね、立派な大木が入ってきましてね、バカな依頼主が全部柱にしろって言うんでさ」
で、一番良いところを幾つかこっそり一枚板にしてニスで磨き上げてテーブルにどうぞということからしい
「そうですね、ではそれも頂きますが腕のいい職人に頼んでテーブルにしてください」
デークは満足そうにウンウンと頷く
商売人なのか職人なのかよくわからん男じゃ
「それを父の所と国王陛下のところにラゴウ村名義で献上してください、余りはそのままラゴウ村に送ってください」
デークに送り先の指示を出す
ジョンもこれだけの物があれば鼻高々じゃろう
それにしても柱にして満足してしまうのは見る目がないのぅ
「国王と領主様ですかい、そいつは腕が鳴るってもんでさぁ」
お前が作るんかい
「これでもここらじゃ一番の木工職人ですぜ」
考えを読まれたかデークがカッカと笑いながら教えてくれた「そうなるとこの職人街の腕利き集めて一等良いもんを作らないと末代までの恥になりますな、勿論お代は材料費だけで結構ですぜ旦那」
このソーディアスは良質な鉄鉱石が取れる事からドワーフが昔から住み着いておりこういう職人気質の者が多いらしい
任せてておいて変なもんは作らんじゃろう
「ではお願いします」
完成したらお礼に上物の酒でも贈ってやるとするかのぅ
ワシは残りの売り物を売る為にデークに礼を言うと彼の店を後にする
残りは…
今回初めて売りに来た物があるのじゃ
ヘビーボアやブレイドディアから取れる素材…要はイノシシとシカの毛皮とか角じゃな
一般的には冒険者ギルドとやらに卸すらしいのじゃが如何せんワシ、立場ある身なのでああいうところには大っぴらには行けぬのじゃ
冒険者は世間の評判は武芸で身を立てる無宿人じゃからのぅ
取り敢えずワシは職人街を散策してみる事にした
良質な鉄の産地だけあって金属加工品の品揃えは大した物じゃ
他にも宝石やら摩道具やらの店も目立つ
このランス領の中心地であるガーディナーは嘆きの森の最前線じゃが同時に森からの恵みも受けておりソーディアス第二の都市となっておる
ここに無い物は王都にもおそらくは無かろうか
毛皮売り買いしとるところは無いもんかのぅ
少し歩くと少々懐かしさを覚える異臭がしてくる
獣脂を煮て油を取って洗剤を作る加工工場じゃな
養豚場の近くにはよく有ったモンじゃ
身なりのいいワシを奇異の目が集まる
まあ、いつの世もこの手の仕事は偏見を受けるもんじゃからのぅ
「高貴な身分のガキがこんなところに何しに来た?」
そうワシに声を掛ける者が居った
ワシじゃなけりゃ手打ちじゃぞ
「はい、毛皮を買ってくれる方を探しています」
ワシはぷりちー笑顔を振り撒きながら声を掛けた男に答える
「ふん、だったらジュウゾウのところに行けばいい」
男はワシの反応に驚いたのか素直にそれらしい場所を教えてくれた




