じじい商売をする
ワシは狼狩りの準備とラゴウ村から持ち帰った物を売る為に領主邸のある街に戻って来た
立派なお城に住んどる?
まあ、そう言うのも居るのかも知れんが辺境伯の仕事の大半が地方行政の管理監督なんで街に居る方が仕事が早いのじゃ
パーパスは王都と街を行き来して忙しくやっておる
部下を王都なり街に置ければ変わるのじゃろうが成り上がり故使える部下があまり居らんのでハモン・ナイフ男爵が行政を取り仕切っとるそうな
オニのところにちょいちょい来るのもその一環らしいのぅ
そう言えば昔奥さんがハモンの事をコッパーと言うっとったが、ありゃナイフさんが割りと沢山居るからどのナイフさんかを分かりやすくする為に付けるセカンドネーム的な物らしいのぅ
公的な場では使わんそうじゃ
「これはこれはランス辺境伯の御子息様、本日はどの様な?」
男が手をにぎにぎしながら声を掛けてくる
男の名はウド
今日は街の材木商の所に来ておる
嘆きの森の木材を売って加工済みの木材を買う為じゃ
「嘆きの森の木材がある程度まとまったので売りに来ました」
ワシはぷりちー笑顔で応え目録を渡す
このウドとの付き合いは短いが、ワシは木材取り引きはこの男とだけして居る
理由は幾つかあるのじゃが
「現物を見なければ正確な査定は出来ませんが最低保証の金貨20枚は先渡しさせて頂きます」
そう言うと紙に何やら書いてワシに渡す
金貨20枚の証文じゃな
この男、金払いが良く仕事は丁寧かつ誠実で商売でワシを子供扱いせんのが気に入っとる
それに取引相手を広げると貴重な嘆きの森の木材の価値がさがるからのぅ
嘆きの森へは限られた人間しか入る事が許されず、開墾なんてもっての他である
領主の許しを受る以前に魔獣や魔族が強いので伐採にも膨大なコストが掛かるからじゃ
オニという例外を除くとじゃが
その希少性や品質の高さから金持ちの間で大層珍重されとる
「ありがとうございます、では改めてラゴウ村までお越しください」
そう、このウドという男はオニ相手ですら商売相手として認めたら対等の付き合いをする
実際に幾つかの商人がオニが伐採したと聞いただけで足下を見て来おったからのぅ
生きた宝石とも評される嘆きの森の木材を買い叩こうなどと愚かな考えをした物じゃ
「ところでカタナ様、以前より打診しておりますわたくしどもの商店の支部をラゴウ村に作らせて頂く件なのですが…」
これを当たり前の様に頼んでくるからのぅ
ワシを介するのが二度手間じゃから直接商いをしたいと以前より言われとる
もう少し村を大きくして安全圏を広くしてからでないと非戦闘員を住まわせるのは厳しいのぅ
「はい、もう少し安全を確保出来たら必ずお声かけしますよ」
実際にこの男の店、ウド商会が支店を置いてくれるとワシもかなり助かるのじゃ
その為にはパーパスから色んな許可を貰わんとならんがのぅ
殆どハモンがやってくれとるが七歳児の仕事じゃないからのぅ
「では他にも用事がありますので私はこの辺りで」
ワシはそう言うとウドの店を後にするのじゃった




