じじい会議をする
会議は現場で起きてるんじゃない、役場でおきてるんじゃ
ってやかましいわい
廃村の復興が進む中でワシは父パーパスからこのオニ達の村の代官を命じられた
七歳児に何をとも思わんでも無いのじゃが、実務は村長に昇格したソンとパーパス領筆頭補佐官でもあるハモンがやるらしく、ワシはオニ達の信用もあるので顔役の仲介役程度で済むらしい
そして今日はこの村の名前を決めようとワシを含めた村の管理者達が雁首を揃えて頭を抱えておった
いい加減廃村も無いからのぅ
「ここは一つ、竜殺しの栄誉を称えてカタナ村など…」
ソンの提案にワシは首を降る
「却下です、その提案はこれで三度目ですよ村長」
ソンはどうしてもワシの名前を付けようと隙あらばこれを提案してくる
困った物じゃ
「何度も説明しましたが辺境の地に王族の名を冠した村が存在するというのは領主である父上や国王陛下に迷惑を掛けてしまう可能性があります」
戦闘種族オニの村を王国の目の届かぬ場所に作り、あまつさえ領主の息子の名を付けたなどとなれば反王宮派やパーパスの出世を疎ましく思うておる連中に痛くもない腹の中を探られる様なもんじゃ
ワシとてお子さましとるから多少は許されとるが一応立場ある身分じゃという事を彼等にも理解して欲しい物じゃのぅ
「カタナ様は何か提案はありますかな?」
ハモンがワシに振ってくる
まあ、事情は察してくれとる様じゃ
流石はシゴデキパパじゃな
「そうですね…」
ワシは少し考えて一つの答えを導き出す
「ラゴウ村…どうでしょうか?」
ラゴウは古代文明が滅んだ際にオニ達の奴隷解放を勝ち取ったオニ族の英雄の名
と本には書いてあった
「ワシらは構いませぬが…若様は本当にそれで宜しいのですか?」
ソンが目を白黒させて言う
何か問題でもあるのじゃろうか?
「カタナ様はおそらく子供向けのオニに関する書物をお読みになられたのでしょう、一昔前はラゴウと言えばどこの国でも国を脅かした異端者扱いでしたからな」
と不思議がるワシにハモンが教えてくれた
なるほどのぅ、立場の違いというヤツじゃな
「そういった危険思想を持つオニともラゴウは戦ったという史料が後に沢山見付かり再評価され今に至りますが、一度根付いた印象と言うのは拭い難く…」
ハモンはそう話を続けた
「なら尚の事ラゴウの村にしましょう、いいオニになれば良いんです」
ワシは力説する、ワシの名の付いた村なんぞ御免被るわい
「ここを差別に苦しむオニ達の心のよりどころとしましょう」
屁理屈でも綺麗事でも良いのでワシはラゴウ案をごり押した
「若様…ワシらの事をそこまで…」
ソンが感動の涙を浮かべる
勝った…
ワシはソンの涙を見てそう確信した
「おぉぉぉぅっ、こうしてはおれん近隣の集落で貧困に喘ぐオニ達をここに呼ばねば!!」
ソンが感動のあまり物騒な事を言っておる
この村の戦力だけでも王宮騎士団二個大隊に匹敵するのじゃが…
ワシの一存で騎士千人に匹敵する軍を動かせるのじゃが…
しゃが力ある者が一人を助けるということはきっとそういう事なのじゃろうな
「ソンさん、因みにですが近隣のオニはどのくらい居るのでしょうか…」
ワシは諦めてソンに訪ねる
「そうですな、ざっと200人程度でしょうか?」
ソンはしれっと答える
今の凡そ倍は居るという事じゃな
「しかし、それは困りましたな」
ハモンが呟く
そう、集めるのは良いのじゃが一つ問題があるのじゃ
「廃村の収容能力を越えてしまいます」
まあ、手はあるのじゃが
「一度父上と相談してみます」
ワシは頭を抱えながらそう彼等に伝えて今日の会議はお開きとなった




