じじい生まれる
次に目を覚ました時、ワシは金髪の美人の娘に抱かれていた
身体が全く動かんし喋る事も叶わん
出るのはダァという音のみじゃ
どうやらワシは輪廻転生したようじゃ
じゃが意識がハッキリしておるし記憶もある
幼い時は前世の記憶が残るとかいうやつがのぅ
などと考えていると扉を派手に開けて男が大層な勢いで入ってきた
「でかしたママンサ!」
そういうと男は娘とワシを抱き締める
この娘の名前はママンサというらしい
じゃあこの暑苦しい男はパパイヤとか何とかかのぅ
「ぱ…パーパス…苦しいです…」
暑苦しい男の暑い抱擁にママンサが抗議の声をあげる
ちょっとハズレたみたいじゃ
名前が雑じゃのぅ
ワシにキッズとかジュニアとか付けんといいのじゃが
「ハッハッハ、すまんすまん」
パーパスは悪びれもなく笑う
暑苦しいのぅ
これがワシの両親らしい
「でもこの子…」
ママンサが不安そうにワシを見つめる
「生まれてからずっと泣かないんです…」
ああ、そうじゃった
赤子は泣くのが仕事じゃったのぅ
とは言え100を過ぎたじじいに今さら赤子の様に泣けと言われてもそれはそれでしんどいのぅ
まあ、赤子なのじゃが
安心させようと試みても出てくる言葉はダァなので如何ともし難いのじゃが
取り敢えず歳相応に考えすぎて疲れてしもうた
もう寝て誤魔化すかのぅ
明日の事は明日よワシががんばればえぇ
がんばれば、明日のワシ
一夜が明けてワシは他の家族に紹介された
爺さんのグランと婆さんのマーザ
そして姉のシス
この安直な名前はこの世界での流儀なのかのぅ
そしてこの家は祖父グランと父パーパスの二代に渡りそこそこ高レベルの冒険者でありその功績からパーパスが子爵の爵位と村を貰って生活をしているらしい
ママンサは末席ながら王宮の血縁らしい
何れは領地の村人達にも御披露目されるのじゃろう
と祖父グランが言ったおった
女神様がわざわざ生まれ変わらせてくれたのじゃからドラゴンか斬れる世界なのじゃろうて
今から楽しみじゃわい
「さて、この子の名前なのだが」
バーパスが重い口を開く
遂に来たか
この世界では名前はとても重要な意味を持ち、名付けにより職業やスキルとかいう才能の様な物が付与されるらしい
ワシはドラゴンが斬れればそれで良いのじゃが
名付けには大きく三つのやり方があるそうで、一つは名付けによる効果をある程度確認出来るスキルを持った者が名付けるという名付け屋に任せるという物
金が掛かる割りには不確定要素も大きいらしい
次に気にせず名付けをするという物
これが大多数らしい
そりゃそうじゃろうな
メリットとしては希れに希少な職業やスキルに恵まれる事もあるらしい
そして最後、貴族が好んで用いる神殿による神託である
神様に決めて貰うというシンプルな解決法じゃのぅ
確実にその子供の未来を示すスキルや職業にしてくれるらしいのじゃがデメリットとして能力から名前が逆算されるので時々あり得ないくらい変な名前になるらしい
子爵の子じゃから神託になるのじゃろうが何が問題なのかのぅ?
「俺、神殿苦手なんだよなぁ…」
パーパスがこぼす
そこかいっ!




