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じじいとオニ

テント…という上等なもんは無い

粗末なボロで屋根を作りなんとか雨を凌ぐだけの簡素住居に毛皮を敷いただけの場所が彼らの居場所じゃった

幸いにして怪我人は居らん様じゃが病魔の臭いがブンプンする

魔物の類いじゃない

こう言うのは南方でも嫌という程見てきたわい

「話はアカから聞いております、ワシはこの集団のまとめ役をしているソンと申します」

集落の様子を見ているとワシに近い年齢…今のワシはピチピチじゃが

年老いた男に声を掛けられる

「はじめまして、私はこの一帯を領地とするパーパス・ランス辺境伯の子でカタナと申します」

ワシはそう言うと握手の為に手を差し出す

身分の高い貴族の子供が来たと知ると周囲のオニ達がざわつく

「いえ、ワシの手は汚れておりまして…」

遠慮からか握手を拒むじい様の手を強引に取るとワシは握手を交わす

「汚いと言うのならこれから綺麗にしていきましょう」

そう言うとワシはハモンに目配せをする

そうするとハモンはロウで封がしてある手紙をソンに渡す

「主から皆様への手紙でございます」

ハモンは警戒させない、それでいて舐められない絶妙な声色でソンに手紙を渡すとすぐにワシの後ろに下がる

いや、本当にこんな有能な貴族がパーパスの下に付いてて良かったのかのぅ

「これは…本当に…本当によろしいのですか?」

ソンは手紙を読む手を震わせながら短くそう盛らす

「父上が書いた手紙の内容の詳細は解りませんが、廃村を差し上げるという話なら相違はありません」

ワシの言葉を聞いた他のオニ達からも大きなどよめきが挙がる

「読んでくだされ」

そう言うとソンはワシに手紙を差し出す

ワシは受け取った手紙を読む

内容はこうじゃ

遠路よくぞ我が領地に来てくださいました

少し前に魔物の襲撃で廃村になった村があります

魔物や魔族が村に居ますがカタナと協力して倒してくったのならその村は差し上げます

それとは別に報酬も用意させて頂きますので、憐れみと思わず正当な依頼とその報酬と思って魔族の討伐の協力をして頂けたのなら幸いです


ランス領領主 パーパス・ランス


成る程、ワシ滅茶苦茶巻き込まれておるが、正当な依頼やその報酬なら彼らに後ろめたさを感じさせる事も無かろう

ただ大貴族の書く手紙にしては些かノリが軽いのぅ…

「ご返答は?もし受けて頂かなくても人を襲わぬと約束してくれるなら私の名において保護を約束しますが」

強要も良くないので選択肢を与えるが、オニ達の目を見れば答えなんぞ聞くまでも無かった

「これは我が主から友好の証として皆様に差し上げます」

そういうとハモンが馬車の荷台から幾つかの木箱を下ろしてソンの前に差し出した

ハモンが木箱を開けると中には青い透明な液体の入った小瓶が沢山入っていた

「ポーションです、この様な住まいで疲労が溜まれば魔族の討伐の妨げになりますので、あと病人が居たら教えてください」

そう言うと未開封の木箱の上に小さな木箱を置く

アレはワシでも開けずとも解る

ちょっとした病気なら瞬時に治す万能薬の魔法丹じゃろう

魔法丹とは随分と奮発しおったな

ポーションも決して安くはないのじゃが魔法丹は同じ大きさの金と取引すると言われとる貴重品じゃからな

「この様な扱いは初めてです…」

そう言うとソンは身体を小刻みに震わせた

「お前ら、ここまでの恩義になんと答える!」

ソンはそれまでの年寄りの姿からは想像も出来ない様な声量で仲間達に問う

「相手が魔王だろうとぶちのめす!」

「刃にな刃を!恩には命で返す!」

「そうだ、俺達は物乞いじゃない戦士だ!」

男達が口々に声を挙げる

「我ら一同ランス卿とカタナ様にこの命捧げましょう」

ソンは静かに、だが力強くワシの問いに答えるのじゃった

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