じじい異文化交流をする
ようやっと追い付いた赤毛の大男が見たものは返り血を浴びたワシじゃった
「キサマ…」
大男がそう呟くと周囲に赤い光の様な物が宿る
すると大男の額から大層な一本の角が生えてきた
「鬼?」
ふいに出た言葉が赤鬼と呼ぶに相応しい風体じゃった
「だったら…どうしたっ!」
大男がそう吠えると物凄い勢いで大剣を振り下ろす
ワシは腰に着けていたキーホルダー状の剣、妖剣…今は妖刀の魂喰らいを実体化させて大剣をいなす
この一年ゴブリンを虐め続けた結果頼りなかった片刃の短剣も小太刀くらいの長さになっておる
ギィィィィン
二振りの剣の激突で激しい金属音と火花を散らす
「重いっ」
その体躯、その大剣に違わぬ…いや、それらでは説明出来ん一撃に手がヒリ付くのを感じる
パーパスには申し訳無いのじゃがパーパスの剣ではワシ諸ともあの大剣に粉砕されとったじゃろう
「なんだその剣、なんで砕けねぇ?」
大男は砕けるのが当たり前であるかの様な口振りで話す
「まあどうでもいい」
そう言うと大男は出鱈目に大剣を振り回す
出鱈目ではあるのじゃがいい加減という訳ではなくちゃんとコントロールはしておる様じゃ
「見回りの騎士達では太刀打ち出来ないのでしょうね…」
ワシはそう言うと大男の脚を斬る
じゃがどうしても小太刀では入りが浅く大きなダメージにはならない
ならない?
切れて血を流す太ももの傷が見る見る内に回復していく
「なんとっ」
バカみたいな怪力とそれをコントロールする練度にこの回復はちいと厄介じゃのぅ
『妖剣魂喰らいが剛力のスキルLv54を獲得しました、スキル剛剣と統合、スキル金剛剣Lv1になりました』
ガイダンスさん、今はそれどころじゃ無いのじゃ
そもそもワシ、スキルとか魔法とか使う気無いからのぅ
「もうやめてっ」
バカ力から繰り出される凄まじい威力の剣を数合受け取ったらワシと大男の間に娘が割って入る
さっき追い詰めた青髪の射手じゃ
「なっ、ユキ…なんで?」
大男はワシが殺したと思っておった娘が突然現れた事にびっくりして変な声を出す
「何でじゃないでしょお兄ちゃん、命の恩人になんて事してるの!」
突然の事に理解が追い付かず、大男はワシと娘の顔を行ったり来たりして見ておる
「追い付かれてダメかと思ったけどゴブリンが襲ってきてその時私を助けてくれたの」
という事じゃ
言うて誰かが言うとったが女子供を避けて飛んでくミサイルなんぞ無いから手向かうなら誰でも斬るがのぅ
流石のワシでも無抵抗な奴は斬らん
「本当にすんませんしたっ!」
少しして冷静さを取り戻した大男が土下座をして謝ってくる
「いえ、僕は怪我してないので構わないんですけど、なんで突然襲って来たんですか?」
まあ、ワシがそれを望んだからなのじゃが…
一応理由も無しに暴れ始める様なもんでもなかろうて
「実は…」
大男の話はこうじゃ
大男…名前はアカというそうなのじゃが、そのアカが言うにはこの兄妹はオニという種族で古代に戦闘奴隷として古代人達によって作られた種族でその古代文明が滅んで種族化したそうなのじゃ
その出自から差別を受けたり浚って奴隷にしようっちゅう不届きもんが後を立たないのだそうじゃ
それが原因で流転をせざるを得なくなり、最近この辺りに住み着いたらパーパスが暴れて居るからまた迫害を受けると勘違いしてしもうた様じゃ
で、ワシを見て追手と勘違いしたと
こんなにぷりちぃなのにのぅ
「あなた方の処遇は僕が預かります、どうか乱暴な真似はもうやめてくださいね」
理由はどうあれパーパスにも原因の一端があると言うのならあまり悪い様にも出来んじゃろう




