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じじいと家族と

母神の儀を終えて数ヶ月

子供は八歳になると四年間の初等教育を学ぶ事となる

その後適正を見て更に四年の高等教育を受ける事となる

八歳になったシスは王族という事もあり王立学園都市の全寮制の学園に入る事となった

ワシが母神の儀を行っていた時に別行動をしていたのはこの手続きがあっての事じゃった

「お姉ちゃんに会えなくなるのさみしいぃ?」

シスはワシにイタズラに笑顔を作って聞く

思えば赤子の頃から若干距離感がおかしな娘じゃった

やたら引っ付いて来るし何度結婚すると言われたか解ったもんじゃない

「淋しいのですか、姉様?」

ワシはそっけなく返す

あまり大袈裟に反応すると調子に乗らせるだけだとこの四年間でワシは学習した

「ばっ、淋しくなんか無いわよ!」

シスはそう言うが明らかに動揺しておった

まあ、言うて八歳の子供が家族と離ればなれになる環境じゃ

そうおかしな話でもあるまい

今日はそんなシスの為の入学祝いを村の屋敷で行う話になっている

…のじゃが、一人とても違和感のある人物がおる

「ジョン、俺お前の事呼んだっけ」

パーパスが呆れて男に言う

国王ジョン・ソーディアス五世その人が何故か入学祝いに混じって参加しようとしとった

「やだなぁパーパス、ボクだって叔父さんだよ?」

ヘラヘラと笑って呆れるパーパスの話を軽く流す

幾ら治安の良い国と言ってもじゃなぁ…

「なぁジョン、お前少しは立場を弁えろよ?」

そうじゃパーパス、もっと言ってやれ

「仕事サボって何やってんだ?」

そっち?

「父上、叔父…国王が悪者に襲われたら大変なのでは?」

身辺警備のザルさに思わずツッコミを入れるとパーパスとジョンが顔を合わせて笑い出す

「いや、無い無い」

「ボクをどうこうするなら魔王を連れてこないとね」

二人はゲラゲラと笑いながら言う

そうじゃった、ジョンは勇者パーティのリーダーじゃったな

「でもそうだね、パーパスが刺客だったらボクも危ないかも知れないね」

ジョンは立場的に笑えない冗談を口にする

「そういうのマジでやめてくれ」

ジョンの肩を強く掴んでパーパスがトーンを落としながら言う

おそらくは冒険中はこういう関係性だったのじゃろうな

「確かに冗談が過ぎた、すまない」

お互いの立場を

考えたらそりゃ笑えんじゃろう

嫁や子を王に推そうとしたら何時でも出来る立場なのじゃからな

「お詫びと言ってはなんだけどこれをキミにあげよう」

そういうとジョンは簡易的だがちゃんと国王の封印がしてある書簡をパーパスに差し出す

「なんだこれ?」

パーパスは受け取った書簡を読んで青ざめる

「おま…辺境伯って…」

辺境伯は伯爵の上、公爵に次ぐ順位で領地内での権限においては公爵よりも上という強い権限を持つ大貴族じゃ

「だってお前、この辺りは国境に面してる訳でも何でもないのに辺境伯はおかしいだろ…」

パーパスの疑問も尤もな話じゃ

「不思議に思わなかったのかい?」

ジョンは言う

彼と彼の父が何故パーパスの故郷の辺境の片田舎の近くにいたのか?

彼も又王位継承順位十位以内のダガーであったにも関わらず

それはその近隣…それはワシらが今住む村もなのじゃが、この近くに特に瘴気が強く魔物が発生しやすい嘆きの森という魔の森があるから、環視と必要なら討伐の為に辺境領という扱いになっておるらしい

そして、辺境伯の地位を継ぐはずたったジョンが王になってしまった為に勇者パーティのメンバーの一人に領地を与えて様子を見ていたらしい

「お前謀ったな、最初から俺に押し付ける気だったろ!」

パーパスはジョンを指差し抗議する

あまり人に指を向けるもんじゃ無いぞ?

「やだなぁ、キミが有能過ぎるからいけないんだよ」

ジョンはイタズラに笑ってみせる

その顔はシスによく似ていた

若い頃もこんな関係性じゃったんじゃろうな

「それに辺境伯の息女ともなれば誰もシスちゃんにナメた態度は取らないよね?」

と、言いながらワシの方をチラリと見る

目が笑っとらん

いつぞやのワシを平民と呼んだあのガキの事かのぅ

それを聞いたパーパスがグヌヌしとるのをママンサは穏やかな笑顔で見守るのじゃった

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