じじい捕まる
いや捕まっとらん
ワシは無実じゃ
何もしとらん
等というのはただの杞憂じゃった
まあ、四歳児に言い掛かりを付けたハゲが派手に転んで気を失っただけしゃからのぅ
ワシは今、詰め所の待機所で衛兵の兄ちゃんから菓子を貰って食っとる
あまり美味くはない
まあ、貴族様が普段食べる物と比べるのも酷という物じゃな
「美味しいですぅ」
それでもワシは満面の笑みで美味しい美味しいと言って食べる
あまり美味いものではないが
駄菓子なのかのぅ
うっすら甘しょっぱい小麦粉の焼き菓子である
「そうかそうか、もっと食べて良いからな」
衛兵はワシの正体には気付いていないらしい
善人ではありそうなので取り敢えず良しとしておくかのぅ
「しかし、幾ら治安の良い場所ではあると言っても子供が一人で何をしていたんだい?」
衛兵に聞かれる
まあ、それはそうなるじゃろう
「母神さまへの挨拶の為に父上と来たのですが、父上が先に片付ける用事がありまして散策をしておりました」
ワシは丁寧に答える
多少鈍感なこの男でもワシの育ちの良さに気付くといいのぅ
「そうかそうか、四歳かぁ」
ニコニコと兄ちゃんが答える
こりゃダメじゃな
「お前がどれだけ良い子でも一人で街をウロウロするのはおじさん感心しないぞ?」
この歳になって説教されるのは逆に新鮮じゃのぅ
「取り敢えずお父さんを迎えに来せたいからお名前教えてくれるかな?」
知らぬが仏
この兄ちゃんの運命や如何に
まあ、良くはして貰ったからその様に報告しておこうかのぅ
「ダダダ…ダガー!!!」
予想通りの反応じゃった
もうそれは土下座でもしそうな勢いじゃ
パーパスの剣に紋章が刻印されとって助かったわい
これが無ければワシは虚言癖のヤバいガキじゃからのぅ
それにしても…
水戸黄門ってこういう気分だったのじゃろうか?
等と貰った菓子を食べながら待つこと数刻、セバスチャンが血相を変えて詰め所に飛んできた
本当に飛んできた
セバスチャンは風の加護を受けているらしい
加護は大きく別けて四つの分類が出来る
セバスチャンの風の加護みたいに自然現象の加護を受けている物
風の精霊の加護なら風を自在に操る精霊の加護を受けられてある程度自在に操る事が出来る
風の精霊王の加護なら風を支配下に置く事が出来る
風の神の加護だともうどうなるか解らん
少なくとも水の女神様の加護は複数の世界の水を支配下に置ける様じゃ
使わんが
セバスチャンは風の魔法で飛んできた訳じゃ
あれは便利そうじゃからワシも欲しいのぅ
「申し訳ありません、お坊っちゃま!!」
その声は詰め所全体に響いたのではないかという音量じゃった
「いえ、こちらの方に大変良くしていただいたので」
ワシは駄菓子を貪りながら答えた
不味い不味いと言うとったが中々とうして中毒性がある
「ほう、メケメケですか」
セバスチャンが駄菓子を見てそう答える
メケメケというのか、この菓子の名は
そしてセバスチャンが知っているという事はそれなりに有名な菓子なのだろうか
美味くはないけど
「お坊っちゃま、メケメケは本来茶と共に嗜む物ですぞ」
成る程、茶請けなのか
歯応えの無い煎餅と考えるとそうなのかも知れんのぅ
「もう少しお坊っちゃまが大きくなられましたらお茶もお出ししましょう」
このくらいの子供にはカフェインは良くないからのぅ
麦茶開発してワシ、また何かやっちゃいましたか?
とやれば良いのかのぅ
主食を嗜好品にするのは罰当たりじゃからやめとこう
それにどうせ過去の転生者か転移者が何か似た様なもんを作っとるじゃろう
「楽しみにしておくよ」
ワシはこの世界の茶に感心を持ちつつセバスチャンに笑顔で答え詰め所を出るのじゃった




