じじいと剣
突然の言葉にワシは言葉を失う
が、すぐに冷静を取り戻す
そもそもワシ、正体秘密にしろとは言われとらんからのぅ
「ああ、驚かせたならスマン」
男は何事も無かったかの様に続ける
「この世界とチキュウとかいう世界は繋がっているらしくてな…」
男の言葉をまとめると
元々住んでおったワシらの世界とこの世界は何らかの形で繋がっていて転生者や転移者はあまり珍しく無いらしいという事じゃのぅ
だからワシの様な年齢不相応な所作をすると解るもんには解るらしい
なる程、ガキのフリのスキルレベルを上げねばならんのかのぅ
「はい、女神様の導きでで二度目の人生を始めさせて頂きました」
特に隠す様に言われていないので男に素直に答える
「そうか…」
男は顎に手をやり考え事する
「お前はどっちだ?」
唐突な質問に困惑をする
「どっちだ…とは?」
もっとも返答しゃろう
「そうだな、お前はチートとかいう力で世界を変えようとする者か?」成る程、そういう輩もおるという事か…
「いえ、望みは有りますが世界がそれで変わるとも思えません」
ワシは素直に答える
当面の目的はドラゴンを斬る事じゃからのぅ
図鑑を読む限り大神龍とかいう神話級でもなければ世界はひっくり返りはせんじゃろうて
「そうか、武器を物色していた辺り冒険者でも目指していたか?」
色々と質問責めじゃのぅ
何がそうさせるのやら解らぬがまあええじゃろう
「強くなりたいだけです」
ワシにはやましい事など何もありゃぁせん
聞かれれば包み隠さず答えるだけじゃ
「強く…か、まあいい」
男は引き出しから一振の短剣を取り出してワシに差し出す
「くれてやる、表の連中や王公貴族が喉から手が出る程の俺の武器だ、喜べ」
ワシも一応その王公貴族の類いなのじゃがのぅ
とは言え短剣を貰ってものぅ
塹壕戦とかジャングルではお世話になるかもしれぬがのぅ…
「不服か?確かに今はただの短剣に過ぎないがこいつはお前の魔力と切ったら相手の血を吸ってお前好みに成長する、お前の好みの武器(なるかはお前次第だがな…」
妖刀邪剣の類いじゃな
なんぞ裏がありそうじゃがまあええじゃろう
「…ええっと、ありがとうございます」
一応恐縮したフリをして受けとる
手にした瞬間グニャグニャと形状を変え平凡だった短剣の拵えが変わっていく
「刀か、お前ら日本人がいかにも好きそうな武器だな」
男は拵えが変わった短剣を見て呟く
だが違う
これぞまさしく三式軍刀の拵えじゃ
『警告、この武器は使用者の魂にアクセスを試みています』
久しぶりのガイダンスさんの言葉である
『アクセスを許可しますか?』
ガイダンスさんの言葉にワシは二つ返事て許可を出す
『妖剣魂喰らいのアクセスを許可しました』
なにやら物騒な名前じゃのぅ
「お前、鑑定スキル持ちか?」
表情は伺い知れぬが男はワシのリアクションを不審に思ったのか問いかける
「いえ、そういうのは…ただこの武器が僕の魂にアクセスするのは理解しました」
ワシは嘘は言わん
中の人がちょっと100をを越えていて戦場帰りなだけの健全な四歳児っちゅうだけじゃ
それに母神様の加護がある内は妖剣じゃろうと無茶は出来んじゃろう
「わかった、俺も正直に教えてやる」
男が言うにはこの武器は魔力や血を吸って強くなるが、同時に怨念なんかも吸って使用者を蝕むらしい
物騒じゃのぅ
「どうしてそんな物を僕なんかに?」
率直な意見を口にする
「簡単だ、異世界人はロクなのがいない」
男の言うの事をまとめると、たまに現れる異世界人には三つのパターンがあるらしい
一つは片田舎で穏やかにすごす無害なスローライフとやらを満喫する者
一つは冒険者になってダンジョンなんかの攻略を目指す者
これは有害無害様々なのじゃそうじゃが、元々冒険者はそういう人種らしいから問題ではないらしいのじゃ
そして最後に自分達の価値観を押し付けて正義を振りかざす者
これが質が悪く、国家運用のノウハウも知識も無いのに国を乗っ取り箱庭遊びをして民を苦しめておるたわけもおるらしい
困ったものじゃのぅ
「お前の強くなりたいというのが本心ならその剣はお前の役に立つ」
だがと続ける
「お前があのクソッタレ達と同じならその剣に食い殺される、どうだ?自信はあるか?」
嫌われたものじゃのぅ箱庭の国の関係者なのかのぅ
「問題ありません」
そう、問題無いのじゃ
何故ならワシはもう…
「そうか、色々と済まなかったな」
ここで初めて男が笑ってませる
ひ孫が言うとっのぅ
エルフは美形
成る程、言う通りじゃ
「遅れたが俺の名はスミス…スミス・ブラウニーだ」
そういうとスミスは右手を差し出す
「僕の名前はカタナ、カタナ・ダガーです」
差し出された手を握るがスミスの顔が一気に青ざめる
「だ…ダガーだと…」




