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浮城弐

 翌日、会の中止を示した文を持って動揺した様子の忠良様がやって来た。



「何があったのですか?佳奈子様がいらっしゃる以上、そう簡単に中止などできないので大きなことが起こったことは分かるのですが」



 仁湖様は口を開いて忠良様の発言を促した。

 中止になったことを聞いて、大きなことが起きたって想像する仁湖様の予想多分当たっている気がする。特に根拠はないけど、これまでの経験がそう判断してくれる。



「実は.....後宮にある1つの殿が沈んだのです。しかも、一夜にして」


「ポンプで水を送ったんですか?」


「『ポンプ』という物は分からないが、今日この目で見てきたから、間違いない。莉子様がいる水鞠殿が沈んでいたんだ」



 電気なんてない世界にポンプの有無を聞いても、返答は思った通り。



「......それで、何を望んでいるのですか?わたしはただで動きませんよ?」



 前回の件は例外。基本的に無賃金では働きたくない。

 ......でも、莉子様のことは少し、ほんの少しだけ気になるんだよね。

 生きていくのが精一杯で自分のことしか見られなかったわたしが人の心配をするなんて......。少し、変わったのかな。



「もちろん、褒賞は準備しています。和葉様もいらっしゃる陰陽寮の役人はどうでしょうか?もちろん、百合殿は仁湖様の侍女である以上立場だけとなりますが、帝が後ろ盾となります。また、毎月給料もでます」


「やります」


「現金なやつだな。まあ、お前らしいといえばお前らしいが」


「和葉殿の通りね。ここで百合が承諾しなかったら、逆に心配になるわ」


「どんな相手でも絶対に無償で働きませんからね、百合は」



 わたしが即答したことはもう当然のこととなっているらしい。

 名前を貰うだけで給料がもらえるんだよ?でも、



「忠良様、何を望んでいるのですか?」


「......百合殿が役人となれば、何かあっても助けを求めやすいからですよ。とは言っても、百合殿は仁湖様の庇護下にいるので連絡は取りやすいですが」


「わたしだって知識不足でできないことはありますよ」



 高校の範囲で習うことしかわたしの知識はない。それ以上の専門的な知識はわたしには持っていないから、わたしの能力に過信しないで欲しいんだけど。



「だが、お前が博識であることも事実だ。仁湖様、本人が行くといった以上、後宮に行ってもよろしいですか?」


「......しょうがないわね。気を付けて行って来るのよ」


「いつでも行けるように隣の部屋に準備しときました。持ち物の確認をしてください」


「ありがとうございます」



 この間と行先は一緒なのに二人の顔に心配と不安が表れていた。

 反射的にやりますって言っちゃったけど、もしかして結構不味いところに行く感じ?

 どなたか教えてくれると助かるんですけど。




季節は夏ですが、我が家ではお夕飯にお鍋が登場しました。

白菜の代わりにキャベツでしたが、夏に食べるお鍋も美味しかったです。

次回は再び後宮に足を入れます。

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