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贈り物弐

「これで大丈夫か?」


「権力を駆使して正解でしたね。集めることも精製するのも困難でしたから」



 それについてはすみません......。

 数日後、仁湖様の部屋にはお願いした物が揃っていた。



「それでは実験を始めましょうか」



 どこで調達したのかは分からないけど、フラスコのような入れ物にこれまたどうやって準備したのか分からないアンモニア性の硝酸銀にアセトアルデヒドと反応を上げるために水酸化ナトリウムを少し加える。

 そして、フラスコを熱水にさらしながら振ってゆくと




「硝子が光って......⁉」


「どうゆうことだ⁉」




 硝子の中に銀が析出したことで、まるで表面が鏡のように光を反射する反応。

 わたしも教科書をさらっと読んだだけだから、詳しい原理は分からないけど、これは銀鏡反応って言って有機化学の時に登場したやつ。

 アセトアルデヒドが酸化されてカルボン酸となることでアンモニア性硝酸銀水溶液に含まれる銀イオンが還元されて銀が生成されるんだよね。

 ちなみにアンモニア性硝酸銀とは、硝酸銀水溶液にアンモニア水を加えると沈殿する褐色の酸化銀に、さらにアンモニア水を加えて、沈殿した酸化銀が錯イオンを作って沈殿が溶けて無色の水溶液となった液体のこと。



「この液体の中身は皮膚に触れると変色、そして脱落します。短時間触れただけではひりひりする程度で済みますが、話を聞く限りわりと重傷ですね」



 硝酸が皮膚にかかるとキサントプロテイン反応によってかかった場所がオレンジ色から茶色になる。その後、触れた部分が角質化して脱落。ピンク色の皮膚が表れる。

 また、硝酸は酸化作用が高くて皮膚に触れるだけで酸化剤として働く。だから、大量に浴びると発生した二酸化窒素が発生して急性肺炎になるんだよね。大量に浴びると、多くの場合は皮膚よりも肺炎が致死原因だし。



「百合殿、治療方法は......」


「水でよく洗う位しか分かりませんよ」



 中和反応させてみれば?と、言わなかったわたし、偉いと思う。この間の件で桂子様は苦手なんだよね。だから、塩酸をぶっかけて理論上の中和反応させることも考えたけど、比率をミスったら終わりだし、それはやりすぎなくらい分かってる。



「そういえば、この液体はどのように手に入れたの?交易品を探すのは大変だったでしょう?」


「実は、草寧(かやね)という名の女官が融通してくださったのです。この道具も薬品も全て」


「......ようやく名前が出ましたね」


「名前?どういうことです?」



 この感じからすると、わたしだけ分かった感じか......。



「草寧という名前の女官が犯人ですよ。後宮の火を変えたこともあの絵画も」


「......っ!」


 女官だったら、燭台の側にいってもそれほど不自然には見えない。

 それに、政治の中心にいる以上貴族の情報集めは簡単だから、絵画を売りさばく家を見つけるのも容易い。



「今から後宮女官、全員の身元を調べて来ます。行くぞ、忠良!」


「はっ!失礼いたします、仁瑚様。百合殿、進言感謝いたします」



 相変わらずの忙しなさで2人は帰って行った。

 ......和葉様と忠良様が落ち着いてここを去る日はいつになるんだろうね?

事件に進展が出ました。

ここからは2人が頑張ります。


次回はまだ書いていないので、7月19日土曜日を目指して頑張ります。

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