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贈り物壱

「この贈り物はそっちに置いて。食べ物だから慎重にね」


「かしこまりました」



 後宮に行って数日後、仁湖様の屋敷には大量の送り物が届いた。

 まだ年末年始じゃないけど、ちょっとはやいお歳暮のような物らしい。

 こんなに貰ってどうするんだろう?

 わたしは食べ物が入っているらしい物を片づけていると



「おや、百合殿。どうしたのですか、この荷物は?」


「仁湖様に対する物らしいです」


「相変わらず凄い量だな......」



 ばったりと廊下で会ったのは和葉様と忠良様だった。

 めっちゃいいタイミング!



「あのお二方にお願いがあるのですけど、荷物運ぶのを手伝ってほしいです。ちょっとこれ、重くて」



 手がプルプルしてくる......。

 わたしの限界を感じてくれたのか忠良様が両手で抱えている荷物を持ってくれた。

 ふー、手が軽い。



「ありがとうございます」


「ゆり、まだなのって和葉様と忠良様⁉どうしたのです?」


「あら?和葉殿と忠良殿が来ているの?」



 二人の声が聞こえたのか仁湖様と清さんがひょっこりと姿を表した。




「廊下を歩いていたら偶々あったので荷物を持ってもらいました」


「お客様に手伝っていただくなんて......。このお二人以外やってはいけませんよ」


「つまり、わたし達は大丈夫ということですか。認められているのか下に見られているのかいまいち分かりませんね」


「認めているわよ。それで用件は?」


「桂子様が怪我をして後宮から出ている。今のところ、戻る期間は不明だ」


「「⁉」」


「......どういうことですか?」



 桂子様ってあのわたしに持っていないたわわな物をお持ちの美魔女さんだよね。

 スーパー記憶レス女のわたしだってさすがに数日前にあった人が覚えている。



「事件の後、送り主不明の贈り物が来たらしく、中を開けると世に見たことないほど、己の姿がはっきりと映ったそうだ。まるで、器の中にもう一人の自分がいたかのように。よく見ようと器を傾けると中に入っていた液体が零れて桂子様に触れてしまったそうだ」



 いや、不明な贈り物が来た時点で捨てなよ。

 なんでそこで貰っちゃうのかな......?



「しかもその液には毒が含まれていたようで、触れた途端、皮膚が爛れてしまったそうです」


「それって銅鏡のような物ですか?」


「おそらくは」



 ということは鏡か。

 確かに磨いた金属に映る姿と鏡に映る姿は違うよね。

 わたしがこの世界にきて鏡を見たことがないから、慣れていないこっちの人にとっては物珍しく見えたんよね、きっと。



「で、わたしに何をしてほしいんですか?」



 この流れからなんとなく想像できる。



「この事件を解決してほしいんだ」



 やっぱりそうきたか。



「嫌です」


「嫌というのどういうことでしょう?もちろん報酬はありますよ」


「桂子様が毒を触れて爛れた。今回の事件はもう全容が見えているじゃないですか?わたしの役目は必要ありませんよね?」


「そっちじゃなくて調べて欲しいのはその贈り物についてだ。贈り物は痛みに悶絶している間に手が滑って割れて物がないんだ。だから、お前にやってほしいのは贈り物を作って欲しいんだ。こっちで頼んでいるから材料費も出す」



 わたしに鏡を作れと?しかも毒が入った?



「極限まで薄くした金属製の器が割れたのでは?」


「どうやって作るんだ?しかも、固い金属が割れるわけないだろう」



 これはわたしが見当違いな回答を言っているみたいだね。

 ......ちゃんと考えるか。

 鏡のように見える器。中に入っているのは有毒の液体。

 となるとあれか。



「あの、何でも用意をしていただけるのですよね?」


「はい。もちろんです」


「では、用意してもらいましょっか」



 ......材料が大変だけどよろしくね、お二人さん。

昨日、更新することを忘れてました。

材料費が和葉と忠良持ちということで、百合は色々と買わせます。

次回は実験です。



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