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甘い企み陸

 金属製の火が灯る部屋でわたしは一人ずつ呼びだして話を聞くことにした。

 命じられた以上、しょうがない。形だけでもやるか。




 《更衣 莉子の証言》

「百合様、大変なことになってしまいましたね......。どうしましょう......?わたしはずっと百合様と一緒に談笑していたので何が起きたのかさっぱり分からないのです。外で桂子様の悲鳴が聞こえて、屋敷の中に入ったら、このような感じで......。その時の部屋の様子、ですか?百合様と同じですよ。わたしが中に入ったら、桂子様と薬子様がやり始めてしまって目の置き場の困ってしまったわたしはそうですね......。器に入った生地を見てました。お散歩する前に見たら二倍ほど膨らんでいたのですよね」




 《女御 桂子の証言》

「盗まれてしまった扇は帝から頂いた一品だったのです。そのような物が盗まれてしまうなんて......!許せませんわ!百合殿がいない時、何をしていたか、ですか?佳奈子様が抜けた後、わたくしと薬子様二人っきりとなったのですよ。佳奈子様がいらっしゃれば、また薬子様も大人しくなっていましたのに......。あら、申し訳ございません。つい私情が入ってしまいましたね。そのような感じでわたくしと薬子様はいたのです。生地の様子?随分と不思議な質問をされるのですね。盗まれた時刻の時はもう同じくらいでしたよ。今の大きさと同じくらいです」




 《中宮 佳奈子の証言》

「ごめんなさい。このようなことを押し付けてしまって。当時の状況?そうね......。わたくしも二人が出た後、わたくしも外に出てしまって戻ったら、盗まれていたみたいなの。ごめんなさいね、助けになれなくて。あら、その時の生地の様子も欲しいのね。いいわよ。わたくしが出る時は全く膨らんでいなかったけど、戻ったら膨らんでいて。正直、盗まれたことより、そっちの方が驚いたわよ」





 《女御 薬子の証言》

「桂子様だけではなく、百合様もわたくしのことを疑っているのです?ただ、調べるだけ?あっそう。わたくしはずっと桂子様と一緒にいましたよ、運が悪いことに。それで生地の様子ですか?そのようなことを調べて何が分かるのか知りませんが、変わっていませんでしたよ。ただ、そうですね。佳奈子様がいなくなった直ぐ後くらいにはもう今の状態になっていましたよ」




 ◇◇◇




「あの、百合様、何か分かりましたか......?」



 最後の薬子様と一緒に戻ると、話を聞いていた時より顔色が悪くなっている莉子様に詰められた。

 そうだね。全員に協力してもらったから、何か言った方がいいよね。



「そうですね。犯人が誰なのか分かりました。では、これから授業をはじめましょうか」

ようやく学校の行事が一段落しました。


次回は珍しく犯人が特定されます。


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