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金の作り方弐

 お願いしてから数日しか経っていないというのに



「もう全部揃ったんですか」


「はい。どうやら、先日も同じような物を探していた方がいたということで」



 はい、でました。もはやお馴染みの容疑者行動。

 ここの部分だけわかっても、結局特定できないんだよね。

 そんなことより



「これで本当に金が作れるのか?」


「どのように作るのでしょうかね?」



 野次馬根性丸出しの和葉様も忠良様が何故か傍にいた。



「今日は何しに来たんですか?」


「百合、この二人は帝からの使いですよ。どうやら顔馴染みの役人を送って下さったようですね」



 わたしの中で役人というとこの二人しか知り合いがいないから必然と白羽の矢が立ったんだよね、きっと。



「もうさっそく錬金術を始めましょうか」



 用意してくれた硼砂と賞賛カルシウム、硫酸に銅と鉄を入れて作った硫酸銅と硫酸鉄の粉末を混ぜる。

 そして、混ぜ合わせた粉末に銀を入れて火で炙った後、坩堝に入れてもう一度炙れば、



「完成です」



 坩堝に入れる前に煮立った硝酸液に入れて何回か洗いたかったけど、硝酸を作っている時間がなかったので断念。

 ちなみに、わたしがやった方法は偽金づくりが横行していた中でも最も精巧に作られた佐土原藩の偽金貨作りがモデル。

 材料の都合上過程をいくつか省いたわりには上手く行ったんじゃない?



「山吹色になってしまいました......」


「どうなっているのでしょうか?」


「銀から金が作られるなんて......」


「一体こんな知識をどこで手に入れたんだ?」



 錬金術に近いことを見た四人の反応は疑いから驚愕、感嘆まで様々。

 国語と化学のクロスカリキュラムで初めて見た時、びっくりしたな。

 あれからもう二年経っているという事実が怖いけど。



「さて、証明したので、お二方はこちらを偉い人に伝えて偽金を回収してください」


「待て。質問には答えろ」


「質問ってどこで知識を手に入れたか、でしたっけ」


「ああ。偽造の知識なんてどこで手に入れたんだ?」



 ここで馬鹿正直に前世で得ました、なんて言っても誰も信じてくれないことくらい分かっている。

 ここにいる人たちって和葉様はともかく、お化けとかそういった類を信じる人達だったはず。それなら、



「夢で神様からお告げが来たんですよ」


「そうだったのですか。では知識を授けた神様に感謝しないといけませんね、百合」


「そうですね」



 仁湖様ナイス!仁湖様が信じたことで他の人達も見た感じ信じてくれているっぽい。いやー、現代の日本だったらかなり苦しい言い訳なのにここでは通じてちゃったよ。



「百合殿、一つ質問があるんですけど良いですか?」


「何でしょう?」


「どうして小判を回収するのですか?確かに偽物ですが、見た目は金なので問題ないのではないでしょうか?」


「国の経済が混乱しても良いなら、放置しても構いませんよ」


「国の経済が混乱するとはどういうことなのです?」


「わたしが作った金貨は表面を買えただけで中身は銀貨だからですよ、清さん。本物よりも金の含有量が低いにもかかわらず、金と同等の価値を持ちます。その結果、偽の金貨を作った者には余剰分の金が入ってくるので財源は潤いますが、物価が急激に上がり、経済が混乱するのですよ」



 ここまで言えば、これから先に何が起こるのか想像がつくはず。

 顔色を変えた和葉様と忠良様が


「助言、感謝する。行くぞ、忠良」


「はっ!それでは失礼いたします」



 慌てて帰って行った。



「......錬金術、か。わたしも非金属から金を作ってみたいな......」



 つい声にでた本音は冬の北風にかき消されてしまった。

錬金術パート終了。

和葉と忠良はいつも慌てて帰っています。


次回は遠出します。

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