貴族と司祭
「それでねー。貴族様は、金位、銀位、銅位、鉄位で階級が分かれてるの。鉄位は、1代限りって言ってたかな。銅位以上は、血がつながっている子供にどんどん継承されてくんだよ。」
「鉄位の人は、銅位になれないの?」
「功績があれば、なれる人もいるみたい。でも、治める土地がないと銅位にはなれないからそこらへんはタイミングなんだって。」
「あー、じゃあ、もしかして金位、銀位、銅位の貴族様の数って決まってるのかな?」
「待って。お母さんに聞いてくる!」
タッタッタと走っていくラト。
戻って来ると宿屋の女将さんも一緒だった。
「すみません。うちの子が無理言って浄化してもらったみたいで⋯。」
「いえ、こちらから言いだしたことですから⋯。」
「お母さん!ほら、お話してあげて!」
「なんでしたっけ?貴族の数は決まっているのかですよね。金位が4家、銀位が10家、銅位が30家ですよ。鉄位の方は、だいたい20人くらいです。」
「鉄位の方もだいたい数は決まっているんですか?」
「鉄位の方は、腕に自身がある方ばかりで、領地もないでしょう?だから結託して、銅位の方をやっつけようってなったこともあったんですよ。昔のことですが⋯。そういうこともあって、バランスをとっているようです。」
「貴族の方って強いんですか?」
「魔法とかも独自に発展させていっているみたいなので、永代の方なんかは、並では倒せないはずですよ。」
「貴重な情報ありがとうございます。女将さんも、浄化いります?」
「え、そんなこの程度の情報でなんて。」
いえいえ、そんなそんなのやり取りを重ね、女将さんは、浄化を受けてくれた。
「これは、スッキリですね。」
満足そうな女将さん。
心なしか、若若しくなっているようだ。
「あとは、司祭様の話ですか⋯。あんまり大きい声では言えませんが、私たち平民にとっては人気がない方たちです。聖属性を神聖視して、宗教まがいなことをしている人たちです。」
「どういうことですか?」
「聖属性魔法は、神の御業だ!とか言って、偉ぶってるよ。確かに、聖属性のヒールでしか治らない怪我や病気もあるんだけどね。」
「ああ。治療を盾に権力を持った感じですか。」
「そういう感じです。お布施とかで、ヒール1回5万とられますから。効果は絶大なんですけどね。」
「貴族の方で、聖属性を使える方はいないんですか?」
「それは、わからないですね。もしかしたら、お抱えの聖属性使いの方がいるのかもしれませんし。なんなら、貴族の方なら、エリクサーとか、マスターポーションとかで済ませると思いますけど。」
エリクサーにマスターポーションか。
気になるけど、また今度にしよう。
「ありがとうございました。」
一郎は頭を下げる。
女将さんは、朝食で、果実水をおまけしてくれた。