終わり
始不死種は、12の始原種の系譜を呼び起こす。
「事態は、深刻だ。どこで何が出てくるかわからない。今まで、なんとかうまくやってこれていた世界はない。」
「いきなり、呼びかけてきてどうしたかと思えばそんなことか。逆に今まで、俺達ごときが世界を管理できていたことの方が不思議なんだよ。」
「世界は未知にあふれている方がいい。ここ最近のアカシックレコードは最高。」
「種が滅んでもいいのか?」
「進化の際に、何かが退化したり無くなったりするのは普通のことよ。」
「この星が滅んでも同じことが言えるか。」
「始物質が作ったこの星じゃ、限界が来るかもね。ははは。笑えねー。」
「でも、解決策はあるよね?」
「存在値が高い俺達がうまく自分の存在値を削って俺達に都合がいい概念を作れれば、あるいは。」
「いや、もうそれも手遅れか。俺達に残されているのは、存在をかけて奇跡に祈ることくらいだろう。」
「分が悪いなんてもんじゃないぜ。」
「やらないよりはマシなのか?」
「はあ。やだなあ。」
「俺は、別にいいんだがな。」
「存在のエネルギーを消費しても死ぬわけじゃない。弱っちくはなるかもしれんけど。」
「あー、俺等の中で、世界の平和より自分の力を優先したい奴いたりすんの?」
夜が明けるころには、5龍、7獣、5水獣の存在の力の大半を使い、世界はさらに改変された。
空には見たこともない龍や獣や鳥、精霊が飛び交い、魔法研究塔には、魔法の概念の神が現れ、新たにダンジョンや遺跡が現れ、野生の生物の知力が大幅に上がり、お互いにコミュニケーションをとるようになった。
神は気まぐれに街や森に現れ、世界の調整を行う。
そうして、不思議に、世界は、変化した。
一郎と龍二は、もはやあまり関係なく、その世界の話を聞いていた。
そんな一郎の膝の上には、始不死種より小さな幼女が座っている。
一郎が願った概念。
まだ、名前もない概念が意思を持った存在。
一郎は、その子供に色々、教えてもらっていた。
龍二はというと、奇跡の概念に話を聞いていた。
「あなたにならもう一度だけ、奇跡をプレゼントしますよ。」
「ああ。それなら、ハッピーエンドが欲しい。俺だけじゃなく、みんなの。」
「これは、また、なかなか無茶を言いますね。」
「奇跡なんだ。スケールはでかい方がいいだろ?」
「わかりました。では、みんなをハッピーエンドにするという奇跡を願います。」
しばらく、奇跡の概念が輝く。
「⋯これは。」
「どうした?」
「いえ、不思議な結果です。そもそもハッピーエンドの概念が人それぞれなので⋯。今世のバッドエンドが、来世やさらに来世でハッピーエンドとかもありますね。結局、何が言いたいかって言うと、この世界は皆、ハッピーエンドにつながっているみたいですよ。」
「よくわかんないな。」
「不思議なものです。」
「好きに生きればいいってことかな。」
「あなたは、そのままあなたらしく生きた方がいいと思います。」
「⋯難しいこと言うなよ。俺らしくなんて考えたこともない。」
「それでいいと思いますよ。」
一郎と龍二はこの後、変わっていく異世界を見つつ、一生を異世界で過ごした。
2人とも各々のハッピーエンドで人生の幕を降ろしたらしい。
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