始虫と一郎
吸収属性は特殊で、相手も吸収属性に適正があると、使う方も使われる方も綱引き状態になる。
そして、魂状態の魔力が関係ない状態でのこの魔法は、かなり危険で、下手すれば片方は、存在ごと全部持っていかれる可能性すらある。
始虫と一郎。
ドレインで、つながれた2つの存在は、例にも漏れず、一瞬の間に綱引きを行った。
結果、始虫は、一郎にかなり食われた。
一郎は、意図していなかったが、始虫はそもそも魔法が苦手だった。
適正がないわけではない。
むしろ全ての属性100%適正を持っている。
ただ、魔法を理解する知力がないのだ。
結果、一郎は始虫の存在を食っていき、始虫は、本能的に抵抗し、一郎を学習に使うことになった。
一郎は、始虫から存在を半分ほど奪う。
始虫は、理性を手に入れ、精神的成長がなされた。
始虫が、理性を手に入れ、存在をかけた綱引きをやめたことで、一郎がつなげたドレインの魔法は砕けた。
戻って来る一郎と始虫。
一郎は、長い間、意識が飛んでいたかのように、妖精の張った結界内で、はっとした。
「まだ、戦い中だったようですね。」
「一郎?」
いつの間にか、結界の外は穏やかな雰囲気になっている。
とっとっと。
と足音を立てやってくるのは、人化に成功した始虫。
妖精の張った結界に触れると結界は一瞬で砕ける。
「やばいって!一郎。」
焦る妖精。
しかし、始虫は、妖精になど目もくれなかった。
「一郎。何かしよう?」
結界を砕いた始虫は、一郎に抱きつく。
ビビっていた妖精は、それを見て、自分も一郎に抱きつく。
「一郎は、私と添い遂げるのよ!あげないわ!」
2体に抱きつかれた一郎はというと、始虫から吸収した力に侵され、気分が悪くなっていた。
『こうなったか。』
「嫌いな奴の気配がする。」
始虫は、手を伸ばす。
『どうあっても、相容れんようだな。だが、半分になったお前に私は、倒せんだろう?』
始まりの不死種と呼ばれていた巨人が、現れる。
そして、一郎が見ている前で、まるで、世界の終わりのような戦いが始まった。
一郎は、妖精を連れて避難する。
しばらくして、ズタボロの始虫が始不死種に引きずられて戻ってきた。
「まあ、こんなものか。」
そんな感じで、封印の中での、4人の奇妙な生活が始まった。




