封印
「久しいな。始龍の子よ。」
3mの巨人が言う。
「子と呼ばれるのは、なんとも奇妙な気分だ。始まりの不死種よ。まあ、そんなことより、例のものを持ってきた。ガラファス、あれをこの男に渡すのだ。」
ラガルドレイアが、ガラファスを、始まりの不死種と呼ばれた巨人の近くに誘導する。
ガラファスは、しっかり持っていた2つの異世界人を封じた玉のような魔道具を手渡す。
始まりの不死種は、玉の1つをじっと眺める。
「⋯これは、大丈夫か?」
「⋯?何か問題があるのか?」
「いや、まあ、どうとでもなるだろう。これも導きかもしれんし。早速、使わせてもらう。」
始まりの不死種は、一郎と妖精の存在に気づいたが、あえてそれを無視し、始虫の魂を一郎と妖精の魂のいる玉に封印した。
一郎と妖精は空気なんてものもない魂だけの空間が乾いていくようなプレッシャーを感じた。
「なんか、やばいかも。」
「妖精さんは、最悪、逃げてください。」
「言われなくてもそうするよ。」
「ここまで、短い間でしたが、楽しかったですよ。」
「別れ際にやめてよ!逃げづらくなるじゃん!」
「それも作戦です。」
「うー。命張るなんて妖精の柄じゃないのにー。」
結局、妖精は残ってくれるようだ。
そうこうしている間に、黒い何かが、流れてくるように空間に入ってくる。
「聖属性:結界!長くは保たないからね。もし、生きてたら私と添い遂げなさい!」
「わかりました!もし生きてたら、よろしくお願いします。」
結界にヒビが入っていく。
黒い何かから大音量の雑音の嵐に突っ込んだような暴力的不快さの思念が飛んでくる。
「うるさい!一郎なんとかして!こんな死に方最悪!」
『ドレインを使え。』
一郎の頭に、念話が届く。
一郎は、割れそうな頭で、その念話の通り、魔法を使った。
思考力が鈍っていたこともあって、声を疑おうとか、逆らおうとか思うこともなかった。
「吸収属性:ドレイン!」
「馬鹿!何やってんの!そんなのと繋いだら⋯!」
意識がさらにう深いところに落ちる。
一郎は自分が小さな光になったのを確認した。
目の前には、壁と見紛うほどの大きな光る玉がある。
大きな光る玉は、絶えず、雑音のような騒音を撒き散らす。
一郎は、精神が壊れそうになりながら、それでも、ひたすらそれに耐えた。
そして、かなりの時間が経つ。
一郎は、目の前の大きな光る玉の出す雑音が、少しずつ理解できるようになっている。
どうやら、この光は、飢餓感に支配されて周りを捕食しているようだ。
というかそもそも、この大きな光は、飢餓しか知らないようだ。
大きな光の玉は、一郎を食っているようだ。
でも、一郎の意思が食いきれず困っているようだ。
そんなことまで、わかるようになってきた時、一郎はだんだん大きい玉が小さくなっていることに気づいた。
そして、一郎と大きな光る玉が、完全に同じ大きさになったころには、一郎は、相手と完全にコミュニケーションを取ることができるようになっていた。




