月へ
「桃太郎すごいね。」
「似たような話は無いんですか?」
「妖精に伝わる話ならたくさん知ってるよ。でも、教えちゃだめなんだよ。」
「そうですか。」
封印内で、一郎は、何故かいつかの妖精の1体と話をしていた。
どうやら、妖精は、一方的だが、魂をつないだらしい。
あのキスはそういうものだったようだ。
俺が死ぬ直前に、魂を食ってやろうとしていたようだが俺が、封印されたことに気づきやってきたのだという。
「妖精ってみんなこんなことできるんですか?」
「普通は、できないみたい。私だけのユニークスキルよ。」
「龍二は寝てるんですか?」
「向こうは完全に封印されて動かないよ。私も向こうには干渉できない。」
「そうですか。⋯そういえば、ここって、外とは時間の流れは違うんですか?」
「そんなこともないよ。でも、精神世界だからなんでもありだよ。」
「暇ですね。」
「私も暇。」
などと言って、しばらく長い時間を過ごした。
一郎はなんとなく、運ばれていることに気づいたのは、半日くらい経ったころだった。
「これって、外、見れたりしないのかな?」
「見れるよ。」
妖精が、トントンとノックするように空中を叩くと、視界が広がった。
「音も拾えるよ。」
「始虫を異世界人で封印するなんて⋯。」
つぶやく、男の声。
驚いた一郎と妖精。
「え、僕、封印に使われるんですか!?」
「えー、やだ、一郎は、私が食べるの!」
それから、何も抵抗できないまま、運ばれ、城の庭に行くと、すでに、たくさんの人が集まっていた。
「この戦いが、始虫との最後の戦いになる!皆、なんとしても成功させるぞ!」
それから、夜空に向かい飛んでいくたくさんの人の群れ。
持たれている自分も、空を飛ぶ。
「うわあ、空飛んでますよ!」
王都がどんどん小さくなる。
国を眺め、雲を超える。
「龍がいますよ!」
「ラガルドレイアに、ドルファーシル、テレドガルバ。5龍のうちの3龍ね。他の始原種の関連種もいるし、本気で、始虫を倒すつもりなのかも。」
雲の上には、月と、星、それに、びっしりと何か紫色に光るうごめくものがあった。
「うげ、星の結界に、あんなにくっついてる⋯。」
妖精が顔をしかめた。
みなが、星の結界を抜けていく。
紫に光る生き物と交戦が始まった。
3体の龍は、1体をのこして、結界を抜け、暴れ出した。
「ガラファス!道は開かれた。行くぞ!」
「ああ。」
月までの道をまっすぐ飛ぶガラファスと呼ばれた、俺を持つ少年とラガルドレイアと呼ばれた龍。
月にほど、紫色の奴らの攻撃が激しくなる。
それでも、なんとか、月にたどりつく俺達。
迎えたのは、3mの巨人だった。




