異世界人
一ヶ月かけて、王都まで移動する。
各地の虫種の被害がだんだん多くなっていた。
リリエットとアイシーは、魔法研究塔に、一郎と龍二は、王城へと移動する。
この一ヶ月間の移動中も空間拡大のついた馬車の中で、4人は魔法の勉強に明け暮れた。
そのこともあって、4人は、より一層打ち解けた。
リリエットの預金もすでに、50億貨を超えたようだった。
「転移の魔法とかあればいいのに⋯。」
「ないのには理由があるんでしょうね。」
龍二と一郎は、軽口をたたきながら、巨大な門を抜ける。
門の先には、堀と門。
そのさきにもさらに門がある。
30分かけて、王城の中に入った2人は、高級ホテルのエントランスのような部屋に案内された。
しばらくして、現れたのは、第二王子エドガー・クローディアと王の兄ガイラック・クローディアだった。
一郎と龍二は、仕立てのいい服で現れた2人を貴族だろうと見て、立ち上がり、一礼した。
「かしこまらないでください。僕は、エドガー、こっちがガイラックです。一郎さんと龍二さんですね。だいたい事情は把握していますが、一応、いくつか質問と検査をさせてください。」
それから、異世界の文化や、化学について、中には、恋愛観などの変な質問もあったが、それらに答えた。
その後は、魔力を練ったり、体を動かしたりして検査は終わった。
2人は、満足そうなエドガーとガイラックにお礼を言われ、検査結果をまとめるので、待つようにと言われた。
3時間はかかるとのことだった。
エドガーとガイラックはアカシック・レコードを読み取る魔法で、新たに増えた項目を確認する。
異世界のことが、より正確に読み取れるようになっている。
「新しい概念がたくさん生まれてしまっていますね。」
エドガーは、頭を抱える。
「向こうでは、空想でもこちらでは、概念を司るクーティルがいる。やばいものがどんどん生まれるぞ。」
ガイラックは、目を閉じ、最悪な場合のシュミレートを行っていた。
ガイラックがしばらくして、目を開ける。
「幸いなことに、クーティルも、今の世界の理と矛盾するものは、実現できないのが、救いか。」
「どうでしょう。」
エドガーは、まだ深刻な表情だ。
「いっそ、異世界人を処理してしまうか?いや、殺した瞬間、天国だの地獄だのわけわからん概念が生まれたら最悪だ。」
「異世界人を封印するのは、どうですか?」
「生きたままか⋯。」
「それが、安全だな。異世界人には、悪いが、世界の進化に巻き込まれて、人類滅亡なんて笑えない状況には、したくないからな。」




