脅威
この星には、クローディア王国の他にもいくつか国がある。
もちろん、その他の国にも始虫の危機は伝わり、それぞれの国が対応を決めていた。
国以外にも、長く生きる知的生命体は、お互いのネットワークを通じ、危機に備えていた。
5龍のうちの1龍、ラガルドレイアは、クローディア王国を影から支え、守ってきた龍だ。
そんな彼は、王国に面している山脈の上から、無数に増え続ける紫色に輝く虫を目視で確認していた。
幸いにもまだ、星の結界は破られていないが、物量にもの言わせ突破される可能性も大いにありえる。
そう考えさせられるほどの物量だった。
12始原種で、始虫を滅ぼすことはできなかったのか?
なぜ、始龍様は、あれを残したのか。
そんな、不遜なことまで考えてしまう。
「俺達はどうなってしまうんだ⋯。」
この世界の最強の一角である5龍でさえが危機を抱いている。
そんな状況だった。
紫に輝く新種の虫のサンプルを解析する第二王子エドガーは、ため息をつく。
「スキル:高速繁殖、高速成長、自己栄養生成、自己再生、自己進化。ほっといたら、どんどん増えて、どんどん厄介になりそうなモンスターだ。早く対処しないとやばそう。とりあえず、報告を上げとこう。」
また、ある森の奥にて。
「おい、あれ、ソルジャーマンティスか?」
「でかすぎんだろ!しかもなんか凶悪だ。」
「狩れるか?」
「危険察知のスキルが反応してるから逃げよう。これは、無理そうだ。ギルドに報告しよう。」
始虫だけでなく、新たな新種の紫の虫、既存の凶暴化した虫も脅威となっていく。
一郎と龍二が、そんな状況を知るのは、もう少し先の話。
一郎、龍二、リリエット、アイシーは、早速、騎士団にて、朝から短距離を走るようなペースで、身体強化を受けながら走らされていた。
身体強化を受けているので、いつもよりかなり早く走れる。
筋トレ効率もいいらしい。
走り込みの後は、柔軟を行い、個人ごとの訓練だ。
龍二は、剣を使わないので、格闘訓練を、一郎は、戦闘スタイルが特殊なので、ともかく避ける訓練を、リリエットは、ヒットアンドアウェイで、毒を当てる訓練を、アイシーは、魔槍と魔閃を何度も打っていた。
ドリアス騎士団長は、周りに訓練指示を出しながら、4人の様子を遠目に見る。
龍二はやっぱり、負けん気がつよくていい。
リリエットも本気だ。
アイシーに至っては、言うことがないほどの集中力だ。
だが、一郎がかなり不格好だ。
「あれは、一応真面目にやってはいるんだろうが⋯。まあ、はじめの日だから仕方ないのか?」




