王会
皆が一気に報告を上げる。
声が重なり、それについての質問も並行して飛んでいく。
ただの怒鳴り合いのような報告会。
しかし、カルヴァンの一言で、空気が変わる。
「サラティー!ラスティル銀位領にいる山田一郎と火宮龍二という者を調べてくれ!」
第2王女サラティー・クローディアは、自分の研究を報告しつつ、自身の遠隔精神魔法で、言われた二人の記憶を読む。
そして、絶句し、そのまま、情報を全員に共有する。
王会が静まりかえる。
静まった王会など、カルヴァンが、王会に参加して一度もなかった。
だが、そんなこともどうでもいい。
共有された記憶のイメージを精査する時間。
皆、一様にその時間を楽しんでいた。
一番最初に再起動したのは、やはり、現王。
手を上げ、告げる。
「カルヴァンは、異世界転移について、早急に報告を。ガイラック兄さんは、原因をアカシックレコードから引っ張ってきてくれ。他のものは、いつも通り研究報告も忘れるな。」
現王の冷静な発言にみな、戻ってきて、報告を再開した。
しばらくして、国王の兄ガイラックが、手を上げる。
「今、共有しました。」
再び、静まりかえる王会。
「月には、始霊が自らを犠牲に封印した始虫がいます。どうやら、その始虫が活動し始めたようです。」
「始原種は、経験値関係なく成長する。始虫は、封印中も成長し、滅び成長しなくなった始霊の封印を破ったというところですか。」
「封印が破られた時、世界が一瞬歪み、世界の外から2人が落ちてきたと。」
「王会はいったん、中止する。5龍のラガルドレイア殿に急ぎ、連絡を。次いで、ガイラック兄さんは、解決策を立ててくれ。」
「共有したよ。」
すでに言われることを予想して解決策をいくつも立てていたガイラックはすぐに対応した。
「有り難い。では、追ってそれぞれに伝令が行くようにする。これにて、本日は、解散だ。」
ガイラックと国王アルガノスを除き、皆が、退出する。
アルガノスは、第一王女サリエルに部屋を出る前に、伝令を送る。
サリエルは、一礼して、行動に移った。
「確認された異世界か。研究テーマとして、これほどそそるものはないのだがな。」
ガイラックがため息をつく。
「始虫。どれだけの脅威になるのやら。」
アルガノスは笑う。
「そこで、笑えるお前は、本当に狂王だよ。」
「いやな。始虫は、私の研究テーマだったので、ついな。」
「この国、滅んでも知らないからな。」
「滅びんさ。どんなことをしてでも、国を守る。」
「それは、研究テーマか?」
「いや、ただの私の意地だ。」




