銀位当主
結局、騎士の宿舎で歓迎会を楽しむ一郎と龍二。
騎士団長は、ドリアスという名前だった。
ドリアスは、第一印象こそ最悪だったが、さすが団長だけあって、人望もある男、話は楽しく、豪快でいい人だった。
一郎も龍二もすぐに打ち解けて、いろんな料理をつまみつつ、団員たちとも親交を深めていった。
そんなところにリリエットがやってくる。
「なんで!?」
「リリエット?」
「お嬢様つけろ!新入り!」
団員からの野次がとぶ。
リリエットは、その声を無視して、ドリアスに詰め寄る。
「これ、どういうこと?」
ドリアスは、気づく。
リリエットもどうやら、銀位忠臣勲章のことに気づかなかったのだろうと。
それを、そっと、伝えるドリアス。
リリエットは、青い顔になって、宿舎から出ていく。
一郎と龍二はそれをどういうことかと見ていると、ドリアスが、やってきて教えてくれた。
「行き違いがあったかもしれん。どうやら、リリエットお嬢様は、龍二と一郎の騎士団入りを知らなかったようだ。」
「あー。そういう反応か。」
「僕らも、彼女もお父様の手のひらの上で踊らされていたのかもしれませんね。」
リリエットは、父にしかられていた。
「わかっていたのかと思っていたが⋯。」
「すみませんでした。」
「一度受勲したものを取り上げることなどできんぞ。」
「そうですよね。」
実は、リリエットは、鉄位として独立する時、一郎と龍二を連れて行こうと思っていたのだ。
本当は、アイシーを頼りたかったが、なんとなくアイシーは、その誘いを断る気がしていた。
だから、フリーで、そこそこで、人となりもわかっている二人を狙っていたのだ。
「しばらく、うちにいるか?」
「えっ?」
「準備期間の1年。しっかり鍛え直してやる。」
「⋯お父様。もしかして。」
「やっと、気付いたか?最初から、お前をそのまま外に出す気はさらさらない。そんな貧弱なお前などすぐに殉職するのが目に見えている。だから、少々強引でもお前を手元においておきたかった。」
「はあ。」
「許せ、娘よ。お前の自由を奪うのは、いつも私だ。」
「いえ、ありがとうございます。私もどうしていいかわからず、困っていましたので。ただ、あの二人には少し申し訳ありませんわ。」
「そこらへんは、後で考えればいい。銀位忠臣勲章を持っていれば、彼らが自分の道に進むときにも助けになるだろうしな。」
「では、これからまたよろしくお願いします。」
「私も、全力でサポートしよう。」
「ところで、お父様のレベルっていくつですの?」
「銀位の当主は最低条件がレベル700だ。」
「はあ。なんで、この人から逃げられると思ったのかしら。」
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