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一郎と騎士団長

「こいつの名前は、リュージだったか。戦士でも無ければ、騎士でもないが、存外、しっかりした奴だった。」


一郎は舞台から、龍二を受け取る。そして、横に寝かせた。


「お前はどうだ?」


一郎は、舞台に上がる。

「お手柔らかにお願いします。」


一郎も剣を断る。

剣を持ちながらの魔法に慣れていないからだ。

騎士団長は、一郎に優しくするつもりなど毛ほどもなかった。

なんなら、龍二を思いの外、気に入ってしまったこともあり、一郎に対してのハードルも上がってしまっていた。


「いつでもしかけてきていいぜ。」


一郎は、横たわる龍二を見る。

一矢報いたいと思うのは、当たり前ですよね。


一郎がしかける。

「火属性:魔弾!」

軽い魔力の魔弾。

目眩ましくらいになればいいと思ったが、騎士団長が、軽く剣を振るえば、風圧だけで魔弾がかき消される。


それだけでなく、騎士団長は切り込んできた。


一郎は、避けられないことがわかっていたので、霧属性:酸霧を使う。

騎士団長は、ぴりっとした肌の違和感を感じすぐに霧を吹き飛ばす。

騎士団長が霧を晴らした先には、無様に自分に背を向ける一郎があった。


騎士団長は、落胆し、少し強めで剣を振ろうとした時、目の前の一郎が爆発し、吹き飛んできた。

爆発属性:接触指定爆破。

スーツの前面を爆破させたこの行動は、騎士団長には、予想できなかった。


自爆か?

狙いは?

すでに、剣を振るうことを決めて、振るっている途中での行動のキャンセルのラグ。

そこに一郎の次の魔法が決まる。

重力属性:範囲指定重力強化

一郎を中心とした円状に重力を強化する魔法。

ダメージを狙うものではない。

足止めにしかならないこれも自爆魔法。

さらに言えば、一郎のこの魔法は第一階梯の弱さ。

魔力を限界まで込めたが、それでも、実践で使えるレベルではない。


しかし、騎士団長は、感心していた。

この魔法をもう少し極めて、第4階梯くらいであれば、さらに、今、仲間がいれば、この一瞬で、俺はダメージを負っていただろう。

ああ、そう言えば、酸霧も喰らっていたから2撃ももらっていたのか。


かすかに強くなっている重力も元に戻る。

一郎が倒れたのだ。


騎士団長は、一郎と龍二の手当てを命じた。


騎士団長は、今の戦い自体は、満足したが、これから、リリエットに謝罪に行くことを考えると気が重かった。


騎士団員は、生の臨場感が伝わる泥臭い戦いに胸打たれるものがあった。

騎士団は、安全重視で、レベルもあげて来たので、2人の無謀さは眩しく写った。


もし、2人が、同僚になっても仲良くやれる気がした。

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