それぞれのこれから
夜、中庭に集合する6人。
「っていうわけで、私、鉄位の貴族になっちゃった。」
リリエットは、おどけて言った。
「冒険者は続けんだろ?また、いつか組もうぜ。」
カインはしみじみ言った。
「ええ。それまでにお互い強くなっておきましょう。」
リリエットはカインと握手する。
「寂しくなるわ。私は、もうちょっと一緒にいようかしら。」
アイシーは、リリエットを抱きしめる。
「そう言うと思って、この城の図書室の閲覧許可ももらってるわ。」
リリエットが、してやったりという顔で言った。
「しばらく、勉強させてもらってもいいの?」
「もちろん!」
「セティはどうする?」
「私は、いったん家に戻ります。私じゃ、色々力不足ですから⋯。」
「そんなことないわ。あなたの力が必要な時は助けてくれる?」
「それは、もちろんです!」
「一郎と龍二は?」
「あー、その前に一ついいか?」
龍二が、一郎に耳打ちする。
「俺達が異世界から来たこと隠す必要ってあるか?」
「このメンバー内だけなら言ってもいいのでは?」
「そうだよな。」
2人は、4人に向き直る。
「俺達、実は異世界から来たんだ。」
「え、そうなの?」
「さすがに嘘とかじゃないよね。」
「よくわからないです。」
「⋯異世界かあ。確かにいろんな娯楽知ってたものね。」
「そんなわけなんだが、一郎さんぶっちゃけ帰りたいとかある?」
「僕は、特にないですね。心配してくれる身内ももういないですし。」
「俺は、帰らないまでも、無事で元気にやってるってことを伝えたいんだ。異世界にそれを伝えられる方法を探したい。まあ、だからなんだって話なんだがな。」
「じゃあ、龍二と一郎には、街の図書館の使用許可もらっとくから、色々勉強しつつ、異世界へのアプローチを探したら?」
「それは、ありがたい。」
「でも、ほら、僕たちこっちの字読めないんですよ。」
「あー、じゃあ、翻訳の魔道具貸してもらえるように頼んでみる。」
「ありがとうございます。」
夜が明けると、カインはすぐに旅立った。
朝食後に、セティも馬車で、家路についた。
アイシーも早速、図書室へ向かっていた。
一郎と龍二は、図書館の利用許可証といっしょに勲章をリリエットの父から授かった。
銀位忠臣勲章。
要は、良い働きをした部下へ贈られるものだそうだ。
いきなりだったので、作法もわからず焦った。
リリエットが横で、教えてくれてなんとかなった。
「リリエットのことこれからもよろしく頼むぞ。」
それに対する2人の答えはもちろん「はい。」の一言だった。




