父への報告
リリエットは、堂々と実家に帰る。
自身の望む形で得た1億貨が入っているギルド証を握りしめる。
不思議と笑みが浮かんでくる。
やってやったという達成感と、自信からくる高揚感。
しかし、それは、父と会うと全て虚構の物だったことを知ることになった。
「そうか。1億貨、よく集めた。次は3年後に5億だ。今のお前ならすぐに稼げる金だろ?」
「⋯なんで?」
「⋯?それは、どういう疑問だ?なんで、まだ金を要求するのかということか?それとも、なんで、自由になれないなどという青い冗談か?」
「3年後はどうなるの?」
「その時のお前の経済状況にもよる。5億か10億か。」
「あなたのこと尊敬していたのに、それは間違いだった。」
「⋯そうか。私は、お前のことを確かに見誤っていたことは認めよう。」
「⋯では、私はこれで失礼します。」
「リリエット、思考を止めるなよ。私は、お前に失望したくない。」
「何を勝手な!失礼します。」
扉が閉まる執務室。
リリエットの父、ハワード・ラスティルは、ため息を一つ。
「当主は、アルフィンと決めていたのだがな。どうして今頃。」
ハワードは娘が5年かけて集めてきた1億に若干の悲しみを覚えた。
銀位の家に生まれた者は、銀位の家に生まれた者としての務めを果たさなければならない。
リリエットは、そこに気づくのだろうか。
リリエットは、早足で、玄関に向けて廊下を歩く。
そんなリリエットを見つけた彼女の兄のアルフィンはなんと声をかけるか考えて、今、かける言葉が見つからないことに気づく。
代わりのため息を一つ。
リリエットの父と兄は、大きくなったリリエットという存在をどう扱うか困っていた。
さて、一郎と龍二は、中央都の宿で、ゆっくりしていたが、目をはらしたリリエットが、二人の部屋になだれこんで来てだいたい事情を察する。
リリエットは、泣きながら、父との話をし、すごく悔しいと言っていた。
龍二は、リリエットの涙にブチギレしそうな雰囲気だ。
一郎は、どうにか言葉を探す。
「⋯とりあえず。」
「とりあえず?」
「3年の猶予をもらったのは、大きな前進だと思います。それに、今までと違い収入もまだ入る状態です。だから、前より状況は悪くないはずです。」
「⋯そうだけど。」
「大丈夫。まだまだ、やれます!いや、とことんやってやりましょう!」
「⋯うん。」
「さあ、今日は、打ち上げましょう。1億達成記念です!」




