自由
セティと龍二が仲良く治療に専念していることもあり、気まずい一郎は、まあ、普通にカインとアイシーと過ごすことが増えていた。
リリエットは、やはり少しピリピリしているようだった。
「ありゃ、言っても聞かねえよ。好きにさせとこうぜ。」
「ああいう時は、納得するまで、放っておかないとだめ。」
「遠回りに見えて、近道なんてこともありますよね。」
冷えたビールを呑みなながら3人は、しみじみと語り合う。
話の内容は、リリエットのこと、それから龍二とセティのこと、それから二人の冒険の話だ。
「それでよお。アイシーの奴が、言い寄ってきた奴のこと雷でやっつけてよ。その時、魔撃ができるようになったんだってさ!急に魔撃を覚えてくるからおかしいと思ったんだぜ?」
「カイン⋯。そんなこと言っているけど、はじめの方、私にかっこつけてドヤってたの忘れないよ。私は、何言われてもあのドヤ顔の情けなさで、許せてしまうから。」
「お二人は、仲いいんですか?」
「男女の関係ではないんだけどな⋯。こいつには、もう欲情しない。」
「昔は、したの?」
「雷の魔女とか呼ばれている女がいるって聞いたときは、少しした。」
「二つ名に欲情したの?」
「そう。⋯ククク!」
「あははは!」
笑う二人。
どうも、笑うタイミングがわからなかった。
まあ、二人が楽しそうならいいか。
魔法の他に、スキルと、技というものもあるらしい。
魔力とは、違うエネルギーを使うので、並行して覚えていくといいと言われた。
カインは、技主体で、魔法はほとんど、使わないのだそうだ。
魔力を持て余すのは、もったいないので、指輪の魔道具で、魔力を体力に変換しているとも言っていた。
スキルは、夜目が使えると言っていた。
アイシーは、魔法主体で、雷の適正が60%、土が12%、風が10%らしい。
ともかく雷が好きと言っていた。
スキルは、理解というスキルが使えると言っていた。
リリエットは、俺達が、呑んでいる時間一人、屋根の上に寝転び、夜空を眺めていた。
「⋯もういいかな。十分楽しんだ。」
自然と涙がこぼれる。
自由な時間への別れ。
自分が自分でなくなるような不思議。
少し怖くなった。
次の日の依頼終わり。
「カイン、アイシー、一郎!今日までありがとう!最後に楽しかったわ。」
「おう。」
「また⋯ね。」
「最後になるんですか?」
カインが一郎を小突く。
アイシーもジト目だ。
リリエットは、苦笑いして目を背けている。
ああ、本当に最後なのか⋯。
一郎は、何か後ろ髪引かれる思いだった。




