表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/48

狼と少女

「ありがとう。龍二君。」


「どういたしまして。っていうかあれって。」


「モンスターだろうね。あんまり、この森に長くいたくないな。」


「あれくらいだったら、なんとかできるよ。」


「あれくらいのより強いのだと怪我するだろ?」


「まあ、確かに。」


「せめて、高い場所から周りの確認ができれば⋯。」


「俺が、木に登って見てこようか?」


「大丈夫かい?」


「多分、大丈夫。」


「森が終わってる方を見つけてくれ。」


「了解。」


しばし、木を登る龍二を不安そうに見る一郎。

降りてくる龍二。


「向こうの方向に、村があるよ。」


「どれくらい歩きそう?」


「結構。」


「頑張るか⋯。」


二人は、歩く。

ひたすら、そして、夕方になるころ一郎は気づく。

「寝床どうしよう。」


「寝てる場合じゃないと思う。」


「まあ、確かに。」


「ともかく、村を目指そう。」

龍二は、しっかりとした足取りで、進む。

一郎もそれになんとかついていく。


途中で、コンビニのおにぎりを分けて、進んでいく。

次の日の昼ころには、村が見えるところまで来ていた。


そんなところで、一郎と龍二は、お互いに背を預け、狼の群れに囲まれていた。

「おっさん、絶対あきらめんなよ!」


「わかってますよ!」


一郎は、ともかく手足を振って威嚇する。

龍二は、蹴り飛ばしたりもしているが、致命傷は与えられていない。

狼たちは、先に手強い龍二を倒すことに決めたようだ。

3匹が一気に飛びかかる。

龍二を突き飛ばす一郎。

「龍二君!」


群がられ、かじられる一郎。

一郎は、最後の力を振り絞り、叫ぶ。


「龍二!逃げろ!!」


龍二は、門に向かって走る。

追ってくる狼は2匹。

龍二の横を一陣の風が横切る。


「ラッキー!緑狼の群れ。」


女の子の声。

後ろを振り返ると、痺れて倒れている2匹の狼。

龍二を追っていた二匹だろう。


一郎は、最後まで諦めず、なんとか暴れていた。

そこへ、急な体のしびれが襲う。

体が自由に動かない。


「おじさん!ナイス囮!」

一郎がなんとか目を向けると、おしゃれな軽装備の女の子が、ナイフで、狼たちを刺しているところだった。


「一郎さん⋯。」

龍二が戻って来る。

女の子が、龍二に話かける。

「ポーション売ってあげようか?」


「頼む!今は手持ちがないけど、なんとか返すから!」


「はい。これ。使い方はわかる?」


「わからん。」


「飲ませるか患部にかけて。いっぱい噛まれてるから飲ませた方がいいよ。」


一郎は、だんだんしびれのおさまってきた手でポーションを開け、飲み干す。

痛みがじんわり引いてきた。


龍二は、安心して、座り込む。

一郎もなんとか立ち上がる。


「色々言いたいことあるだろうけど、まず村の方に行こう。」

女の子は、村を指さした。


一郎と龍二は、頷き自分の足で歩き始めた。

狼の死骸はすでに、無くなっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ