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報酬

一郎は、流れが変わったことを感じ取る。

「質問してもいいですか?」


「ああ、一つだけなら答えてやる。」


「面白い話というのは、物語とかそう言った感じでよろしいでしょうか?それとも哲学的なこととか⋯。」


「⋯ふーん。お前、知ってそうだな。一つと言ったのは無しだ。俺達が満足いく話を思いつくかぎりしろ!」


一郎は、とりあえず、雲の話をしようと思う。


「雲って、水なんですよ。」


「ん?どういうことだ?」

「よくわかんないこと言うな。」

「雲は雲だろ?」

「水は浮かばないぞ。」

「いや、雨は雲から降るし⋯。」


「次の話しましょうか?」


「待ってくれ、今答え合わせ中。」

「あ、確かに水かも。」

「これ、水って呼んでいいのか?」

「素材的には、水かもしれない。」

「考えたことないことだった。意外なこと言う人間だな。次。」


「我思う故に我在り。とか聞いたことありますか?」


「当たり前のこと言ってるのか?」

「いや、深いぞ。」

「さすがにわからん。」

「ヒント。」

「考えている自分がいるから自分は存在するってこと?」


「答えではないかもしれませんが、さっきの雲が水って話とか自分意外のすべてはもしかしたら全部自分の妄想の中にしかないかもしれない。そう考えた時、最後に残るのはその考えをしている自分だけだってことだと、僕は解釈しています。」


「へー。」

「少し納得。」

「でも、まだ足りない。」

「もう少し話して。」

「できれば、簡単で楽しい物語。」


「じゃあ、シンデレラの話とかしてみましょうか。著作権切れてるし異世界だから大丈夫だと思います。」


それから、いくつか童話や昔話、こっちでも通用しそうな化学の話をすると妖精たちは満足したようだった。



「いい時間だったぞ。人間。鱗粉は恥ずかしいから嫌だが、これをやる。」

「私も。」

「俺も。」

「はい。」

「また、今度!」


「これは?」

一郎に手渡されたのは、妖精の魔力結晶と呼ばれる宝石だった。

リリエットを見るとガクガク震えて頷いている。

リリエットの反応を見て、一郎はゆっくり、妖精たちに向き直り、お礼を言った。


「ありがとうございます。」


「あと、そこの木から溢れてる妖精酒も持っていっていいよ。」


「ここらへんのもあげる。」

打ち捨てられた剣や装備がたくさん置いてあった。


「あ、これ。今、作ったんだけどどうぞ。水属性:スコールの魔導書。」


「最後にこれは、私から。」

一郎に妖精の1体がキスをした。


「あ、ずりい。」

「やりやがった。」

「仕方ないか。」

「速いもんがちだしな。」


「今のは?」


「無属性の契約魔法。内容は、お楽しみ。危ないのじゃないから、そこは心配しないでね。」

頬を染める妖精の1体。


「じゃあな。また、会おう!」


周りの淡い虹色の空間が、うすれ、夕方の森に戻っていた。

しばらく、赤い夕日をぼうっと眺めていた3人だったが、リリエットは突然思い出したようにバッグを漁る。


そして⋯。

「すごい。夢じゃない!魔剣が2本にミスリルの装備、妖精酒もたくさん。一攫千金!」


龍二は、なんだか、消化不良だったが、すごい成果には、違いないので、首をかしげた。


5つの妖精の魔力結晶と、スコールの魔導書を持つ一郎は、あせびっしょりになっていたので、とりあえず、浄化を済ませる。


皆色々思うところがあり、3人は、三者三様の様子で、村に帰ってきた。

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