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ガールズ・オーバーヒート  作者: なとな
第一章 天羽さくら編
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8話 意思確認

 五人になってしまった私たちは、巴さんの通信で会議室に集合することになった。基地のスピーカーから『カイラス部隊は至急第一会議室へ』って声が響いて、私たちは急いで向かった。足音がコンクリートの廊下にカツカツ鳴って、心臓が少しドキドキしてる。

 会議室に入ると、巴さんがいつもの赤い髪を揺らして立ってた。大きなテーブルには何もなくて、部屋が静かで冷たい。私たち五人が並ぶと、巴さんが口を開いた。


「急に集まってもらってすまない。君たちの今後についてだ。今回の出動で我々はハーピィーと戦い、そして、撃退には成功した。それは喜ばしいことだ。しかし……」


 そこで巴さんは一拍置き、私たちにこう言った。彼女の目が真剣で、声が少し低くなった。


「私たちは二名の仲間を失ってしまった。たった七人のチームでだ……そこで君たちには作戦参加の継続の確認をしたく招集させてもらった」


 巴さんはそう言って私たちに視線を合わせていく。一人ひとりの顔を見て、返事を待ってる。私は胸に手を当てて、深呼吸した。玲奈ちゃんやひかりちゃんの顔が浮かんで、涙が出そうになるけど、グッと堪える。そして……


「私は、戦い続けるわ。玲奈ちゃんたちが命がけで守ったこの世界をほったらかしにはできない。戦えるのに護ってもらえる立場のままなんで嫌」


 私が答えると、続けて答えたのは菜月だった。彼女は私の横でニコッと笑って、いつもの明るい声で言った。


「もちろん私も参加するよ? 死ぬためじゃなくて生きるためにね」


 自信ありげな菜月からは恐怖は感じない。彼女は素であれを言っているのだろう。菜月の緑の瞳がキラッと光ってて、私まで少し元気が出た。


「私は、遠慮します。抜け出せるならここしかないから。でも戦闘には参加しなくても手伝えることがあるならするわ。ハーピィーを倒したくてここに来たことは変わらないもの」


 最初に辞退したのは、夢華ちゃんだった。彼女の声は静かで、青い髪が揺れてる。でも、これ以上戦い続けられない気持ちはわからなくもない。玲奈ちゃんの爆発やひかりちゃんの死を思い出すと、私だって怖いし、逃げたい瞬間もある。だから逃げる彼女を非難する気持ちはなかった。


「私は戦い続けます」


 そう言ったのは琥珀ちゃんだった。彼女の茶髪がポニーテールで揺れて、声は小さかったけどしっかりしてる。これで三人。みんなの視線は凛花ちゃんに向かった。


「私も、参加します」


 凛花ちゃんはそう言って巴さんを見た。金髪のツインテールがピンと立ってて、強気な目が光ってる。


「わかった。では、夢華君を除く全員が続投。カイラス部隊のメンバーは四人だ。改めてよろしく頼む」


 巴さんはそう言って私たちに敬礼した。彼女の軍服がシャキッと鳴って、気持ちが引き締まる。


「はい!」


 私はそれに答えるように敬礼する。菜月も凛花ちゃんも琥珀ちゃんも同じように敬礼して、会議室にカツンって音が響いた。


「それでは夢華君、君は私についてきたまえ。新しい仕事を紹介しよう」

「わかりました」


 夢華ちゃんは巴さんと共に会議室を後にした。彼女の背中が小さくなって、ドアが閉まる音が静かに響く。残った私たち四人はそれぞれ準備に取り掛かるために、基地内のスーツ整備室へと向かったのだ。

 スーツ整備室は大きな格納庫みたいで、金属の匂いがする。私たちは訓練に向かう事になった。四人でカイラスを着用している最中、私のカイラスの修復が完了していて、それぞれのカイラスには塗装が施されていた。

 なんでも戦闘中に通信音声で誰かわかっても、どの機体か視覚的にもわかるようにするためらしい。整備員が「これで混乱しないよ」って笑ってた。

 私のカイラスはピンク色で、菜月のカイラスは緑色。凛花ちゃんのは青で、琥珀ちゃんのは黄色いカイラスだ。ピンクの塗装を見ると、ちょっと恥ずかしいけど、玲奈ちゃんが好きそうな色だなって思った。

 武器もそれぞれ変わってて、私は超振動サーベルとブレードが二本追加。さらには腕部に牽制用のバルカンが追加された。一応ライフルも所持しているが、以前より小型だ。サーベルを手に持つと、ブーンって振動が手に伝わって、心が少し落ち着く。

 反対に菜月はブレードが一本に対して、マシンガンが一丁、ライフルが二丁。腕部と頭部にバルカンを設置。両足に隠しブレードが設置されていた。


「これで遠くからバンバン撃てるね!」


 凛花ちゃんのカイラスには超振動サーベルとマシンガンと標準装備に見えたけど、背部ユニットに大きなミサイルポッドが設置されていた。また、大きなメイスも所持しているようだ。青いカイラスにミサイルが光ってて、凛花ちゃんが「これで一気に吹き飛ばせそうね」って呟いてた。

 そして最後に琥珀ちゃんのカイラスだけど、拳が大きい。サーベルもマシンガンもなければ、追加武装もない。ただただ拳が大きいのだ。でも、拳には仕込みで指先からサーベルが爪のように伸び、胸部にはキャノン砲が設置されていた。膝にもスパイクがあって、格闘戦メインのようだ。

 これが私たちの新しいカイラス。一応夢華ちゃんが乗るはずだったオレンジ色のカイラスも隅にいるが、それは整備員が片づけ始めてた。オレンジの機体が布に覆われて、ちょっと寂しい気持ちになった。

 私たちはカイラスを着て、訓練場に向かう。ピンクの機体が動くたびに、ブースターがゴォォって鳴って、気持ちが少し高ぶる。玲奈ちゃんやひかりちゃんのためにも、私は戦うんだって、改めて思った。

名前: 藍原琥珀(あいはら こはく)

年齢: 15歳

外見: 小柄、茶髪ポニーテール

性格: 明るく活発、ポジティブ、仲間思い

目的: ハーピィーとの戦いで仲間と共に前進する

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