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ガールズ・オーバーヒート  作者: なとな
第一章 天羽さくら編
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5話 出動

 訓練の日々を終えた私たち七人は、ついに初任務へと赴くことになった。基地の格納庫に集まって、カイラスに乗り込む準備をしてると、外から遠くの爆音が聞こえてくる。訓練場とは違って、今回は本物の戦い。心臓がドキドキして、手が少し汗ばんでた。


「いいか! お前たちは強い! カイラスを着用し自由に動ける君たちこそ人類の希望となるだろう! それじゃあお前たち! 死ぬなよ」


 巴さんが私たちにそう言うと、みんなが頷いた。彼女の声はいつもより低くて、真剣そのもの。私も「はい!」って返事して、カイラスの操縦席に座った。そして、私たちはハーピィーが出現したポイントへと移動を開始したのだ。


「ハーピィー。やっと戦える、絶対に殲滅してあげるわ」


 私たちはカイラスで飛行しながら、ハーピィー出現ポイントまで進む。ブースターのゴォォって音が響いて、風がコクピット越しにビュービュー当たる。カイラスの飛行速度は自動車より速いくらいだろう。訓練で慣れたはずなのに、緊張で足が震えてた。空は灰色の雲に覆われてて、どこか重い雰囲気だった。


『ついにここまで来ましたね』

「玲奈ちゃん……」


 玲奈ちゃんも私と同じようにハーピィーを恨んでいる。だから今日この日をずっと待っていたんだ。彼女の声は静かだけど、目には強い光があった。私も同じ気持ち。もう私たちの星を好き勝手させたりなんてしない。


『さて、そろそろポイントだ』


 音声通信から巴さんがそう言った途端、私たちは辺りを警戒する。モニターに周囲の映像が映って、空がさらに暗くなってきた。そして次の瞬間、空からハーピィーが襲ってきたのだ。黒い影が一気に降りてきて、鋭い羽がキラッと光った。


『来る!』


 夢華ちゃんが叫ぶと、みんなが一斉に散り散りになって迎撃態勢に入る。私もそれに続き、右手のマシンガンを構えて牽制射撃を行った。ダダダって音が鳴って、弾丸が空を切り裂く。でも、なかなか当たらない。ハーピィーの動きが速すぎて、狙いが定まらない。そして、ついに一体のハーピィーが私の前に現れたのだ。


「キシャァアア!!」


 ハーピィーは鋭い爪を私に向けて振り下ろす。ギラッと光る爪が迫ってきて、心臓が跳ねた。私はそれをブースターで避け、マシンガンのトリガーを引いた。でも、ハーピィーはそれをひらりとかわして、私のカイラスに掴みかかったのだ。爪が金属にガリッと当たって、嫌な音が響いた。


「来たわね!!!」


 私はマシンガンを上空に投げて、超振動サーベルを手に取る。サーベルの刃がブーンって震えて、白く光った。私はそのままハーピィーに斬りかかった。私を掴んでいたハーピィーは逃げる間もなく一刀両断されて、緑色の体液が飛び散った。


『さくらはおっそいからすぐ捕まるね! 次は来る前に撃ち落としてあげようか?』


 菜月が冷やかすように笑ってきた。彼女のカイラスが私の横をスーッと通り過ぎて、マシンガンで別のハーピィーを撃ってる。


「うっさい! 見てなさい!」


 私はそう言って、次のハーピィーに狙いを定めてマシンガンを構える。でも、その隙をついて一体のハーピィーが私に向かって突っ込んできたのだ。羽を広げた黒い影が目の前に迫ってきて、息が止まりそう。そして、私のカイラスに掴みかかると、そのまま上空へ飛び上がったのだ。


「しまった!!」


 私はすぐに超振動サーベルでハーピィーを切り裂こうとするけど、それより先にハーピィーが撃ち抜かれて、私は上空から急落下。バンって銃声が響いて、菜月のマシンガンが私を助けてくれたみたい。なんとかブースターを噴かして体勢を立て直し、空中で姿勢を直せた。地面が遠くに見えて、冷や汗が流れた。


『えー? 何を見てればよかったのかなぁ?』

「菜月! アンタは、でもありがと」

『え、なになに? 聞こえないなぁ』


 私は菜月にお礼を言おうとしたけど、彼女は意地悪にそう言ってきた。音声通信越しに彼女のニヤニヤ声が聞こえて、ムカつくけど助けられたのは事実。私、やっぱり銃は向いてないな。だったら……

 私はカイラスの最高速度を出して移動しながら、ハーピィーの群れに向かって飛び込んだ。ブースターの熱が背中に伝わって、一気に加速。羽とか細い部分をめがけて斬りかかる。


「キシャァア!?」


 ハーピィーは慌てたように羽を振り回したりして攻撃してくるけど、私はそれを避けつつ斬りかかる。サーベルの刃がハーピィーの羽を切り裂いて、緑の液体が飛び散った。そして、ようやく一体のハーピィーを倒したのだ。


「やった!」


 私が喜んでいると、私のカイラスに何かが巻き付いた。それは、触手だった!


「え? 何これ!? 気持ち悪い!」


 どうしてハーピィーから触手? よく見ると、尻尾みたいなものが伸びてきて、自在に動かしてるみたい。ヌルヌルした感触がカイラス越しにも伝わってきて、気持ち悪すぎる。でも、超振動サーベルでぶった切れば問題ない!

 私はサーベルを振って切り捨てる。触手がズバッと切れて、ハーピィーがキシャって叫んだ。そして、二体のハーピィーが私に飛びついてきた。マシンガンはもう持ってない。切ればいい。

 私は、斬撃こっちだ。ブースターを噴かせる。レースのような長距離は上手くいかなかったけど、一瞬一瞬の加速とコントロールなら苦手じゃない!! 訓練で何度も転んだ経験が生きてる。

 ハーピィーの攻撃をかわし、的確に細く柔らかい部位を切りつける。羽の付け根とか、首とか。サーベルがブーンって唸って、二体のハーピィーを倒しきったのだ。緑の体液が空に散って、私のカイラスに少し付いた。


「やった!」


 私はそう呟いたけど、すぐに新たなハーピィーが姿を現した。また来た! 空を見上げると、黒い影がどんどん増えてきてる。


「もうどれだけいるのよ!?」


 だけど、負ける気はしない。だって私にはこのカイラスがあるのだから! 仲間も近くで戦ってるし、一人じゃないって思うと力が湧いてくる。


「キシャァア!」


 ハーピィーが私に向かって爪を振り下ろす。私はそれを超振動サーベルで受け止めて弾き返すと、そのまま胴体を切り裂いた。ズバッって音がして、ハーピィーが二つに分かれて落ちていく。


「よし! もう一体も!」


 でも、そのもう一体のハーピィーは突然私のカイラスに噛み付いてきたのだ。ガリッって歯が金属に食い込んで、モニターに警告が点滅。そしたら、私を地面に叩き落としたのだ。


「きゃぁあ!!」


 私は地面に落下し、コンクリートに打ち付けられる。ドシンって衝撃が体に響いて、カイラスがガタガタ揺れた。まずい、このままじゃ!! ハーピィーの群れが私に向かって集まってきた。サーベルは手元にあるけど、マシンガンは落としちゃった。ブースターも火花が散ってて、動きが鈍い。

 手足だけが動かせる状態。


「どうしたら……」


 私は必死に考えるけど、何も思い浮かばない。ハーピィーの羽音が近づいてきて、恐怖で頭が真っ白になりそう。そして、ハーピィーの群れが私に襲いかかってきたのだ。爪と触手が一気に迫ってきて、もうダメかって思った。


『さくらちゃん!!』


 玲奈ちゃんがそう叫ぶ。彼女のカイラスが私の前に飛び込んできて、マシンガンをゼロ距離射撃。ドドドって音が響いて、ハーピィーが吹き飛んだ。さらに、玲奈ちゃんは別のハーピィーを蹴ってけん制し、マシンガンを乱射しながら横薙ぎ払いして追い払ってくれた。弾丸が空を切り裂いて、ハーピィーの羽がバサバサ落ちてきた。


「玲奈ちゃん、ありがと」


 私は玲奈ちゃんのおかげで事なきを得た。カイラスを起こして、彼女の隣に立つ。地面に緑の体液が広がってて、少し気持ち悪い。


『大丈夫ですか? さくらさん』

「うん。大丈夫、だけど……」


 そう言って私は上を見上げると、そこには数十体のハーピィーが浮遊して、私たちを見下しているような態勢を取っていたのだ。黒い影が空を埋めてて、羽音がブーンって低く響いてる。


「やばいかも……」


 私と玲奈ちゃんは並んでカイラスを構えたけど、数が多すぎてどうしようもない気がした。モニターに映るハーピィーの数がどんどん増えてて、息が詰まりそう。

名前: 風間ひかり(かざま ひかり)

年齢: 15歳

外見: 小柄、黒髪ロング、メガネ

性格: 無邪気で好奇心旺盛、元気

目的: カイラスでハーピィーと戦い、仲間と未来を切り開く

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