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magical dose -魔法少女は破滅の道を歩む-  作者: 伊草


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もや靄…………………………………28mg

その後六つ目の噂、歩き回る人形も確認しに体育館に行ったが、見つけられたのは壁の中の空間だけで人形自体は見つけられなかった。

一から六の七不思議を全て試したが、特になんということもなく、わかったものといえば、五つ目の噂──封印された空き教室、は本当だったかもしれないということだけだった。

最後の七つ目は何が起こるのかどこで起こるのかの情報は紙に書いていなかった。

だから七不思議は内容がわかるものはすべて試したが、結局魔獣も現れなかった。ほかに条件になりそうなことも思いつかなかったので、桃香と相談して今日の所は帰ることになった。


来るとき通ってきた生徒玄関を通り抜けて運動場にでた。

この小学校の出入り口は一つだけある校門だけで、校門は校舎から運動場を挟んだ位置にあるため、外に出るためには必ず運動場を通らなければいけない。

そしてその運動場なのだが、元は砂のグラウンドだったようだが、あちこちから草が生え散らかしていて、とても見栄えが悪い。

草の高さは中庭ほどの背の高さではなく、あってもくるぶしから少し上程度なのであまり気にはならない。


運動場へ入ってしばらくして、視界の端に何か黒いものが入った。最初は見間違いだと思っていたが、なんだか様子が変だ。

一時に気になったものはその正体を確認しなくちゃいられない。

その黒いものを視界の中央に収めてみる。


それで姿が明らかになると思った。しかし、その姿はわからなかった。先ほど視界の隅に映った姿がすべてであった。


そう、濃く黒いモヤが滞留していたのだ。


モヤといってもただのモヤではないだろう。風が吹いているというのに、その影響を受けないで微動だにすらしなかった。

その姿を見て固まった私に正体不明の不気味さを醸し出し、目もないはずなのにそのモヤから視線を感じさせ、現実感の無い恐怖が迫ってくる。


風がピタッと止んだ時、それを合図に動き始めた。動くといってもフラフラとしてゆったりとした動きなのだが、やはり風とか自然現象の影響を受けず動いている。そして、意思のある動きのようにも見える。ということは、モヤのような物体ではなく生物ということか。それにしても生物らしくない。もしかして、幽霊や怨霊の類なのか。


──わからない……


正体が不明だというのはやはり怖い。

それから逃げたくて後ずさりしてしまう。


「恐れないで」


桃香は諭すように勇気を与えてくれるような声で言った。

そして、桃香は続けて言った。


「あれはきっと魔獣だよ。だからいつも通りの動きで。」


──そうか、あれは魔獣か!


いつの間にか出現条件を達成していたんだ。そう思えば怖くない。だって、魔獣に立ち向かう恐怖には慣れているのだから。


とはいうもののどう倒せばいいんだろう。


「まず、あのモヤの性質を確認してみよう。物理攻撃が効くのかどうか、ロープでやってみて」


桃香はそう言ってから、彼女の武器であるリモコンを取り出した。


「了解」


私も赤いロープを取り出した。私の武器はこのロープだ。最初は細い紐で頼りなかったが、編んでロープにすると、捕縛することができたりいろいろなことに使えるようになったんだ。


「やっ!!」


ロープをしならせ鞭のようにモヤめがけて振るう。

攻撃が届く瞬間、手ごたえがなかった。そのため、ロープはすり抜けてしまう。

そう思われたが、ロープは何かに当たりバチッと音を立てた。


「桃香!中に何か固形のものがあるよ!」


「よし、もう一回おねがい!」


「わかった!」


もう一度ロープを鞭として打つ。するとまたもや何かに当たる感触。

つまり、モヤの中に本体がいるってことだ。


中の本体の全貌を知りたい。まとっているモヤを晴らそう。


さらにロープを打ち、何とかモヤを晴らそうとする。空を切る音が繰り返し鳴るにつれて、だんだんその中身が明らかになる。


しかし、一発だけ失敗した。ロープは魔獣から外れて、自分に返ってきそうになった。ロープの先は加速していた。それに当たれば、いくら魔物といえどかなり損害を受けるだろう。それが自分に返ってくれば……無事では済まない。


とっさに腕で顔を隠したが、これだけではきっと防ぎきれない。

ぐっと目をつむった。


「……」


……来るはずの衝撃が来ない。

なぜだろう……?


ゆっくりと瞼を開ける。

まず自分の腕が見えた。腕は外相はなさそうだし痛くもない。

鞭は当たってない?


腕をどけて視界を開ける。

目に飛び込んできたのは、大けがを負った桃香だった。

何で桃香が、と思った。だって帰ってきたロープに反応するためにはそれが起こることを事前にわかっていないといけない距離にいたからだ。


「桃香!!」


「大丈夫。気にしないで。」


「でも、私のせいで……」


「自分から飛び込んだんだよ。それにここで魔獣を倒せるのは絆しかいないでしょ。私のことなんか気にしないであいつ倒してきてよ。絆ならできるでしょ。ほら行った行った」


桃香に促されて魔獣を見ると、その姿が明らかになっている。大きい手に小さい手を集めた非常に奇妙な姿をしている。しかし、鞭の跡でボコボコになっている。

あの大きい手にコアがあるのだろう。


ロープを強く握りなおして、魔獣の手めがけて打った。


魔獣は一発で崩れ落ち、消え去った。





あの後、桃香は驚くほどすぐに怪我が完治して事なきを得た。

桃香は自分でしたことだからと私を許してくれたが、私は自分を許さなかった。

そして、ロープを鞭として使うのはそれ以降やらなくなった。

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