戦いの痕………………………………17mg
─紡希視点─
体中から熱さを感じて、それが吸い出されるように消えてからのことを思い出せない。
その数秒前に海桜に端子を刺して、自分にもプラグを刺したことはかろうじて覚えている。
でも、なんでそんな行動に走ったのかがわからない。
自分の直感的な行動だったんだと思う。
私は自分の直感を信じている。
なぜなら、そうすることで上手くいくことが多かったからだ。
今回のもやはり直感を信じた行動だったのだろう。
そういえば、熱さが消えていった時、海桜にそれが伝わっていったように感じた。
それは何だったのか?
考えても答えが出ない疑問だった。
…
目を開けると、すぐ上に海桜の顔があった。
海桜は一瞬驚いたが、
すぐに安心しような顔を見せ、
「大丈夫?」
と尋ねる。
何が大丈夫かなのかが分からないが、
とりあえず体の不調はないので、
「うん」
と、答えた。
「なら良かった。」
頭の下になにか柔らかいものがある。
海桜の頭の位置的に……、これは海桜の膝だ。
海桜の膝の上は心地いい。
赤ちゃんが母親の腕の中にいるのと同じくらい安心感もある。
また眠ってしまいそうだ。
でも、流石にそういうわけにはいかないので、顔を上げて地べたに座る。
そこで周りに梨乃達がいることに気づいた。
一人として欠けてはいないし見る限り怪我はない。
みんな無事だったんだね。
良かった。
安心したところで、今の状況を知るために疑問をぶつける。
「みんな無事で良かったよ。
それで、ファージを倒すことはできたの?」
「倒したよ。」
海桜が答える。
「海桜がな!」
蒼が元気を有り余らせて海桜の発言を補足した。
「多分、紡希のおかげだと思うけどね。」
「どういうこと?」
「私がファージを倒したとき、近くに紡希が倒れていたんだよ。
見ると、紡希と私が充電技で繋がれていることに気がついたんだ。
それで思い出したんだ。
ファージを倒す瞬間、力が満ち溢れてきたってことを。
紡希が何かしたんだろうって思った。」
「覚醒したんじゃないですか」
玲奈が口を挟む。
「だって、紡希の武器ってなんというか──使いにくいじゃないですか。
使いにくい武器って覚醒しやすいので……」
玲奈の意見に桃香が同意した。
「確かに。
覚醒したとすれば筋が通る。
海桜の急に力が湧いたという証言から言うと、
覚醒した紡希の武器の能力は魔力の譲渡なんじゃない?
結構強そうじゃん。」
絆も桃香に便乗して言う。
「紡希ちゃんの性格にピッタリの能力だね。
あ、紡希ちゃん、優しいから、サポート役にもってこいだなーってことだよ。」
そうか私の武器、覚醒したのか……と、嬉しさを噛みしめる。
覚醒したということではなく、皆の役に立てるようになったことが嬉しいんだ。
「これからは皆の役に立てるように頑張ります!」
これからの意気込みを声に出して宣言した。




