magic=drug…………………………16mg
〈海桜視点〉
紡希が倒れている。
それも意識を無くして。
紡希の太股にはプラグが刺さって、そこから血が滴って道路を濡らしている。
突然の展開に唖然として、身を固めた。
まさか、と思って、呼吸を確認する。
大丈夫だ。息はあるようだ。
胸が上下するのを見て、とりあえずは安心した。
そういえば、他のみんなは?
周りを見渡すと、走ってきているのが見えた。
ふっとばされたはずの蒼もきている。
あれ?怪我一つしてない。
かなり強くふっとばされたよね。
なぜだろう?と思ったのはほんの些細なこと。そんなことよりも紡希のことのほうが重要だ。
「息はある! けど、意識がない!」
自分ができる最大限の声量で叫んだ。
…
あの後、私の家に担ぎ込んで手当を試みたが、
結局、紡希は目を覚まさなかった。
絆や玲奈にも見てもらったが、それでもだめだった。
輪になって、紡希が目を覚ます方法を話し合った。
いや、正確には話し合えていない。
誰も何も言わず沈黙が続く。
その中でもなにか話そうとしてはやっぱり言えないと思ったのか口をつぐむ人物が一人。
明らかになにか知っている様だ。
でも、話さない。
そのことにムッとした。
なんで話さないんだ、と。
また言おうとまではするが、口をつぐむ。
それを何度も繰り返す。
わざとかと思うほど何度も。
何度繰り返すんだ。
もういい加減頭に来た。
「梨乃! 言いたいことがあるならちゃんと言って!」
怒りをあらわにして叱りつけるように言ってしまった。
梨乃は、
「それはその通りですわ。
…いえ……しかし───」
と言って煮えきらない態度をとる。
「言わなきゃ、紡希が助からないかもしれないんだよ。」
「100%助けることはできますわ。
しかし、この事実を言っていいのか……どうか……」
「お願い。言って。」
梨乃は悩みに悩んだ末、言った。
「紡希は魔力不足の症状によく似てますわ。
魔力が先程の戦いで底をついたのではないでしょうか。」
「じゃあ、休めば治るってことだな」
蒼が口を挟んだ。
「いいえ、それは真っ赤な嘘なのですわ。
驚かないで聞いてくださいまし……
魔力は、、"クスリ"、でしか回復できませんの」
「……」
絶句した。
しかし、桃香が口を開く。
「それって薬物のこと!?
魔力を全回復するには薬物を乱用しろってことなの!?」
とまくしたてる。
「違いますわ。薬ならなんでもいいんですの。
例えば、そう、ドラッグストアに売っているようなもの、風邪薬…、頭痛薬…、そのようなものでもなんでもいいんですの。」
「なるほど、隠すほどのことではないですね。」
玲奈が言う。
「ま、まぁ、そうですわね……
ただ、全回復するには量が必要ですの──」
「わかった。とりあえず紡希に薬を飲ませよう。
風邪薬でいいんでしょ。
そこの棚にある。」
棚から薬を取り出して、紡希に飲ませる。
その間、会話は続いていた。
「そういえば、
魔物討伐して疲れたとき、
薬を飲まないと疲れが取れなかったな。
あれは魔力を消費していて、薬を飲んだから魔力が回復して、疲れが取れたってことだね。」
絆は体験したことを思い出して、言った。
「そういうことですわね」
「ちょっと待って!」
疑問を持って手を上げたのは桃香。
「私、最近薬飲んでないんだけど。
魔獣討伐で疲れた時でも寝たら治るんだけど。」
「それはおかしいですわね。
魔力を消費してではなくて、単純に疲れただけなら、そういうこともございますが、魔法少女に変身して戦闘をしたなら、薬を飲まないとだめですわ。」
二人ともが不思議そうな顔をして、顔を突き合わせて、会話は終了した。
目線を下に落としたとき、
紡希がちょうど目を覚ました。
私はそれを見てホッと胸をなで下ろした。




