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明日はあるのか  作者: 虎麻
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前向きだった時

この物語は、うつ病を患った主人公の暁が、明日への希望を求めていく物語。

現代社会において、うつ病を含む精神疾患を患う人は多く存在します。

しかし、それは目に見えない事がほとんどです。

うつ病になる人が悪いのか。うつ病を生み出す世の中が悪いのか。そこに答えはありません。

乗り越えるには、最初の一歩目を踏み出す勇気。そして踏み出すきっかけを与えてあげる周囲が非常に重要です。


社会問題といってもいい、精神疾患者の増加。


精神疾患者の人は、共感をしながら暁と一緒に前へ。

健常者の人は、理解をしながら暁の傍へ。


 2021年 12月25日

 もう何日家を出ていないだろう。

今日は、雨が降っているようだ。部屋の窓に雨が当たる音で気付く。

ただ、あきらには晴れだろうと、雨だろうと関係ない。

巷では、クリスマスイブらしい。動画配信者もサンタの恰好をしている。


「はぁぁ」と習慣のため息を吐く。何に対してのため息なのかは自分でもわからない。

決してサンタの恰好をした配信者やクリぼっちに対する妬みのため息ではない。

息を吐くように、ため息が漏れる。いや溢れる。日常茶飯事だ。


いつから俺はこうなってしまったのだろう。



9ヶ月前 3月


 「西野です!24歳です!よろしくお願いします!」

暁は、新しい職場で元気よく挨拶をした。笑顔は素敵だし、社交性もあると周囲からよく言われていたし、暁もその自負はある。だから、初日で緊張はしているが、やっていけるだろうと思っている。


 暁は元々、カラオケ店で働いていたが、先輩の江澤さんに誘われて全国的に有名な車のコーティング屋に転職した。車は実家の車をよく運転する程度で、好きというわけではない。知識は皆無だ。転職を決意したのは、カラオケ店に不満があったわけではない。むしろ仲間にも恵まれ楽しくやっていた。先輩に声をかけられて心機一転しようと思っただけで、そこまで深い理由はない。

 江澤さんは感染症が広がり、カラオケ業界の景気が悪い事を気にして声をかけてくれた。

要は良い先輩だ。


 初日は、洗車から教わった。

高田さんという1歳下の先輩が業務を教えてくれた。

 まずは、タイヤのホイールの奥まで洗う。これが意外と難しい。体制もしゃがみっぱなしは腰に来る。中々な肉体労働であることを痛感して初日は終わった。

 

 ある日の職場の喫煙所--

この会社は区切りが良いところでちょこちょこ休憩をとっていいシステムである。

喫煙者の俺からしたら良いシステムだ。

 ラッキーストライクに火をつけ、一人くつろいでいると、「お疲れ様でーす」とニコニコしながら社長も煙草を吸いに来た。

 社長は31歳で俺を紹介してくれた江澤さんの同級生だ。つまり江澤さんは社長の紹介で入社した。

っていう経緯もあり、社長は俺を気にかけてくれている。

 俺もいつかは自分で起業して会社をやりたいと思っていたので、社長という存在が近くにいるとついつい経営等の質問攻めをしてしまう。

社長も俺に対してニコニコ答えてくれるのだからよい人だ。


 ただ、社長も元は現場でやってきた人だ。職人気質なのか、たまに作業に加わると人を寄せ付けないオーラを放つ。


 社長や江澤さんをはじめ、先輩方に悪い人はいない。皆優しく、個性がある。

必死にやっていくにつれ段々仕事にも慣れていった。

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