九節
恭司達が屋敷に入るとまた、新いメイドが出てきた
「ただいまゆらさん」
沙耶が出てきたメイドに告げる
「お帰りなさいませ、お嬢様、」
ゆらと呼ばれたメイドが恭しく迎える
そのメイドに沙耶が言う
「いつもどうりでいいですよ」
沙耶が言うとさっきまでおしとやかだったメイドが
「わかった、お帰り、さータン」
メチャクチャ砕けた
「だから、その呼び方はやめてください」
沙耶は半面いやでもなさそうな顔で注意する
「あっれ〜、さータンが彼氏連れてきてる〜〜」
メイドが本当に驚いた顔をしている
「ち、違いますよ」
沙耶が顔を赤くして否定する
「お、赤くなった」
メイドが自分の主人をからかう光景に恭司は少し苦笑した
「あっ、なに笑ってるんですか!」
沙耶が言ってくる
「いやぁ、誰が笑ってた?」
「きょうちゃんですよ!」
「え、俺? 知らないねぇ〜」
「どんな女の子だって、横にいる男の人が彼氏か?って聞かれたらこうなります」
沙耶は怒ってそっぽを向いてしまう
それに対して恭司は沙耶の肩を抱いて
「そうなんですよ〜、俺達さっき出会ってもうこれくらいのできる仲なんですよ〜」
恭司が沙耶の肩を抱いたまんま言う
「まあ、まあ、まあ、」
目の前のメイドが苦笑する
「ちょ、ちょっと、恭ちゃん変な冗談は・・・・」
やめてくださいと言おうとしていたのだが突然大きな声が後ろから聞こえてきた!
「あ゛ーーーーーーーーーーっ!!!!」
四人がびっくりして後ろを見ると
一組の男女がこっちを見ている
そのうちの男の方が叫んだようだ・・・
「さ、ささささささささ沙耶ぁ!!」
なんだかものすごく動転している
恭司がなんだかめんどくさそうなことになりそうだなぁと思っていたら
「沙耶ちゃん・・・・誰だ!その男は?」
恭司を指差して男が叫ぶ
チワワみたいにふるえている
「あの・・お父さん・・・」
「沙耶は黙ってなさい!」
「ぴっ!」
沙耶が説明しようとするが父親は・・・・って、お父さん?!!
「じゃあ、アノ人が沙耶の親父?」
恭司が指を刺して沙耶に聞く
「うん・・・・悪い人じゃないのよ」
沙耶が消えそうな声で言う
「沙耶!早くこっちに来なさい!」
沙耶は言われたとうりにそばに行った
「沙耶ちゃんアノ男の人は誰なの?」
女のひと(恐らく沙耶のお母さん)が沙耶に聞く
「恭ちゃんですよ!」
沙耶が告げる
「沙耶ちゃん、恭ちゃんはもう10年も前にいなくなったのよ」
「ちがいます、今目の前にいるの・・・・」
「沙耶!こんな男にだまされてはいかん!」
なぜか沙耶(父)が怒っているようだ
「宝典部隊はどうした!早くここに呼べ!」
「「「「「「此処に」」」」」」
突然六人のメイドが目の前に現れた
彼女達の手にはそれぞれ色とりどりの宝典が携えられている
「アノ男にうちの娘をたぶらかすとどうなるか教えてやれ!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
そう言うと同時に彼女達はそれぞれの呪文を唱え始めた
「エル・ガリウス」
「シン・ダツーム」
「ダグイ・バラス」
「カウエ・ルーグンズ」
「ダウム・スーラ」
「フル・ダクーン」
最初の呪文は炎の呪文、巨大な火球が放たれる
つづいて木の呪文、ダーツ状の木が放たれる
次は土、地面が隆起しつつこっちに迫ってくる
次に氷、これはあまりヒネリがなく氷の矢が降ってくる
さらに雷、電気の球体が、こっちに向かって放たれる
そして水、水が高温の蒸気となって襲ってくる
恭司は思った「これは思い知らせると言うよりは殺すってことだよなぁ・・・」
まあ、そんなことはどうあれ、今はふせがないとなぁ
のんきに恭司は考えて今度は違う言葉を言った
「闇宝典・第4章7節・すべてを統べる者」
言ったと同時に恭司の目の前に一冊の黒表紙の本が表れた
その本は恭司に吸い込まれるように消えて行き
恭司の様子が変わった・・・・
髪は白く・・・
肌は褐色に・・・
目は深い黒に・・・
そして体中から黒い瘴気が目に見えるようにあがっていく
そして一言
「止まれ」
するとどういうことか今まで恭司に襲いかかってきていた攻撃が全部時が止まったようにその場にとどまった
そのまま恭司が目で相手の6人の少女をにらむとすべての攻撃が元の主の元に戻っていくかのように襲いかかる
「ど、どういうこと!」
メイドの一人が叫ぶように言う
「こんな能力聞いたことがないわ」
「ダメ、やられる!!!」
メイドの全員が身構えるがそれぞれの術は彼女達の目の前で止まった
「どういうこと?」
メイドの一人がまた言った
それを見て恭司が言う
「そんなに一気に全員で攻めると一気にやられるってことだ、覚えとけ馬鹿ども」
彼女達は恭司の言葉に驚く
まさか自分を襲った相手に説教をするとは思えないくらいの殺気を恭司が放っているからなのだ
「消えろ」
恭司が言うと彼女達の術はその場で何もなかったのように消えた・・・
「そんな・・・馬鹿な・・」
沙耶パパは、その光景に唖然としている
そんな横でさっきからずっと沙耶は自分の母親と話し合っていたみたいで、ちょうど話し合いが終わったとこであった
「そんな・・・」
沙耶ママが恭司を見てビックリしている
「じゃあ・・あなたが本当に恭司君なのね?」
「まぁ、そうなりますね」
恭司は宝典による体質変化を解きながら言った
「では、質問をするわ」
沙耶ママが言う
「なんですか?」
恭司が答える
「あなたが始めて沙耶ちゃんと遊んだ時に沙耶ちゃんにしたことは?」
恭司は苦い顔になる
その答えは簡単なのだが、思い出が強烈過ぎるのだ
「さあ、答えて!」
沙耶ママが恭司を急かすので、恭司は半ば投げやりに答えた
「空・・・・プ」
「はい?」
沙耶ママがよく聞こえなかったようで恭司にもう一度言うように促す
なので恭司は大きな声で答えた
「だ・か・ら・!空手チョップです!!」
それを聞いた沙耶ママは下を向いて肩をワナワナと震わせていた
やべ、俺、まちがえた!?
恭司がヤバイと思った瞬間沙耶ママは・・・大爆笑!!
「プッ、アーーーーッハハハハハハ!!」
沙耶と恭司と沙耶パパが沙耶ママを見てポカァンとなっていると
「正解!大正解!どうやら本当に恭司君ね!アッハハハハ」
沙耶ママが大爆笑しながら言う
「恭司君ったら沙耶ちゃんと初めて会った瞬間に沙耶ちゃんに思いっきりチョップ!わたしったら、心配どころかそれ見て大爆笑!!今思い出しても笑っちゃうわ!」
沙耶ママが笑いながら沙耶パパに説明する
「ほら!あなたと初めて響家に行ったときよ!あなたの目の前で!」
沙耶ママが言うと沙耶パパが「アッ!」といった
「あったあった!それで、この子は許婚に相応しいと思ったんだよ!」
どこの親に娘に出会い頭にチョップかます男が相応しいなんて考えるんだよ・・・ってここにいるか・・・
恭司は二人に言った
「もう、わかりましたか?」
正直うんざりするように言った
「いや〜すまなんだ、恭司君!」
沙耶パパが恭司の背中をバン!バン!と叩く
何で俺が響恭司だって知ってもらうのにこんなに時間がかかるんだ?
悩む恭司であった・・・・




